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希望のシャワー

如何にもクライマックスなタイトルなんですが、サプライズは次です(笑)。

47.希望のシャワー


 そして、作戦開始の時間が来た。


 「さあ、始めよう。・・イリーゼ、マジュ粒子蓄積はどうだ?」。

 『ファミリーの計算量、安全係数込みで大丈夫よ』。


 「イルミ、ラクエンドの位置と距離は大丈夫か?」。

 『もちろん!把握済み、いつでも跳べるよ』。


 「このまま跳んだら、ラクエンド人にはどう見えるんだろうな?」。

 『ならば、私が炎輝鳥のイメージに調整しますよ』。

 「イリーゼの中にいるエクラのイメージだな?」。

 『よし、それで行こう。ラーノにも伝えよう」。



 ラクエンデ本星周回中のアークフェニックス艦橋にギンガのイメージが浮き上がる。


 「?!・・ビックリしたー。・・何ですか?コマンダー・ギンガ?」。

 『いやぁ、申し訳ない。こういうプロジェクションになってしまうのだよ。・・作戦開始だ。そちらに顕われる私の姿は火の鳥に見える。攻撃しないように周知してくれ。まあ、攻撃されても問題ないと思うが、リスクは避けたい』。

 「了解。政府との調整は終了。地上の放送傍受ではすごく期待されています」。


 『期待には応えないとな。引き続き、監視と調整を頼む』。


 イメージは消えた。


 「びっくりしたよ。それにしても火の鳥とはね」。

 『おそらく、イリーゼに融合した炎輝鳥という精霊獣のイメージを使うのでしょう』。


 「ふーん、そんな種族もいるんだ。今度の休暇にイリーゼの故郷に連れて行ってもらおうかな」。


 半分本気でそんなことを呟きながら、待機を続けるラーノであった。



 『さあ、行くぞ』。


 ギンガの掛け声と同時に炎輝鳥のイメージをまとってラクエンドに進路を取る。


 『空間跳躍、突入ー』。

 イルミの思念と共に空域から消えるイメージ。



 『行ったわ』。

 『あのイメージ良かったよね』。

 『フレアーノたちも驚いていたよ』。

 『あのイメージの子を作ってみるのも有だと思うの』。

 四姉妹が話をしている。


 一方でカラルとリュミエルは静かに見送った後、

 『母様、あの娘たちはどこまで行くのでしょうね?』。

 『どこに行くにせよ、スター・マインドを導いていくことになるよ』。

 『やはり鍵となるのは?』。

 『ギンガ、だね』。



 超時空間を通り抜け、ラクエンド星系円軌道に顕われるフュージョン・ギンガ。

 遊弋中の封鎖艦隊は直ちに探知するがその不可解な探知結果(解析不能)に困惑した。しかし、アークフェニックスからの情報提供により、通過を認めた。


 そして、星系内ショートジャンプで本星外周に到達。


 光の翼(実際はマジュ粒子のスクリーン)を広げ、マジュ粒子を広域照射しながら飛翔を開始する。ラクエンデ本星をあまねく覆うように周回していく。


 マジュ粒子はあまねく降り注ぎ、ラクエンドの住人にとっては光のシャワーを浴びるような感覚だった。後にこの現象は【希望のシャワー】と呼ばれることとなる。



 静止属性を吸収したマジュ粒子を空間格納しつつ、ギンガは周回を続ける。



 ラーノのもとには主席から感謝の言葉が届けられた。


 「私の黒色病変も消えたよ。疾病対策本部からはこの星から感染が消えたと報告があった」。

 「それは何よりです、主席」。


 「ギャラクシー・コマンダーの存在価値がよくわかったよ。コマンダー・ギンガにも伝えて欲しい」。

 「作戦中は通信不能ですが、必ず伝えます」。


 そして、主席はスクリーンの向こうから探るような視線を投げてきた。

 「今回の原因はわかっているのかね?」。


 来たーーー!予想していた質問にラーノは身構える。このことは作戦前に議論済みだ。シナリオは決めてある。嘘ではない範囲で、だが。


 「主席、以前ギンガからもお伝えしたと認識しておりますが、本件はまだ公表できるほど論理が完結しておりません。不用意の公表された場合、ギャラクシー・コマンダーおよび星海連合情報局では責任を取れないということをご了解願います」。

 

 主席が渋い表情になる。しかし、

 「解っている」。


 「では、この宇宙には多くの古代文明があります。我々が知る以上に。そして、多くが滅んでいます」。

 「壮大な話だね」。

 

 「はい。そして滅びのいくつかにある自滅要因があるのではないか?という仮説が提起されています。この仮説が現段階で開示不能なのです。あまりも影響が大きいので」。

 「自滅?・・」。


 「まだ明確になってはいませんが、文明があるタブーを超えようとすると何らかの因子がその文明の環境に干渉し、その文明を瓦解させるのではないか、と」。

 「何だって?!・・それでそのタブーとやらは?」。


 「大きな要素は、種族の寿命の人為的大幅延長、と推定されています」。

 「・・なんと・・。まさしく当てはまる、な。・・なぜ事前に言ってくれなかったのだ!」。

 「公表できるとお思いですか?そして、寿命延長に沸き立っている時に、受け入れられますか?」。

 

 「・・・そうだ、・・な・・」。

 

 「現在も検証中です」。

 「・・了解した・・」。


 通信は切れた。



 「ふうー」。

 思い切り息を出すラーノ。


 その時、ギンガの意思が伝わる。

 『格納庫をシールドしてくれ。まだ六連星系で溜めこんだエネルギーが残っている。フュージョンを解いた瞬間に漏れる可能性もある』。

 『了解しました』。

 マザーが答える。


 不思議だ、音声でなくテレパシーの概念に近いが、AIにも伝わるようだ。確かにここは研究テーマにあふれている、研究者にとっての楽園のようだ。


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