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ラーノ治療

各話の長さがまちまちになってしまいました。読みにくいかもしれませんが、ご容赦願います。

42.ラーノ治療


 アークフェニックスは六連星系外縁部に到着。すぐに六体のメカ体が起動。会議卓に着くとさすがに今日はオートサーブでお茶が用意された。


 『後ろのほうに積まれているのが感染者だね。・・間違いない。静止属性と波動属性の影響を受けているね』。

 リュミエルの見立てだ。


 『どのような状態なのでしょうか?』

 マザーの質問にカラルが説明を始める。


 『本来はマジュ粒子に静止属性と波動属性を与えるフレーバーが直接生命体の細胞に作用しています。結果はあの通り、まず生命活動が静止していき、次に生態そのものが崩壊します。生命体を必ず殺す仕掛けですね』。


 「酷い・・」。

 「死んじゃうの?」。

 精霊姫たちが騒いでいる。



 しばらく考えていたギンガが口を開く。

 「・・本来はマジュ粒子の属性フレーバー。・・ならば、無属性のマジュ粒子に吸着できるのではないですか?あるいは、真マジュ粒子であれば?・・」。


 リュミエルはふっと笑ったような気配がした。

 『おそらく二つのフレーバーを除去できる。そのショックに生体が絶えられればだが。フレあーののようなエネルギー生命体なら問題ないが物質生命体への影響はやってみないとわからない』。


 実に率直な意見だった。



 「やってみるしかないか・・。ラーノ、聞いていたか?」。

 「自分のことですからね。随分残酷なことを言われてるような気がしましたが・・」。

 搭載艇のセンサーに繋がれたままのラーノが答える。


 「マジュ粒子による治療を試みる。検体は君だ。治療に同意するか?」。

 「このままでは10日で死にます。治療をお願いします。・・で、どなたが担当ですか?」。

 「私だ。今から見ることは最重要機密事項だ」。

 「・・了解です」。


 搭載艇から見える位置にやってきたギンガとイリーゼ、六精霊姫。人のように見えるイリーゼはともかく、ふよふよと浮かんでいる精霊姫には、目が点になるラーノ。

 「その娘たちは何なんですか??」。

 「精霊姫だ。治療が終わったら紹介してやろう」。

 「はぁ・・」。


 「それでは始めるぞ。イリーゼ、フュージョンだ」。

 「はい」。


 イリーゼが光のようになりギンガに吸収されていくように見える。ラーノは理解することをあきらめた。


 「まず、マジュ粒子でいく」。


 ラーノに向けた両手から柔らかい光の靄のようなものが搭載艇に流れてくる。

 暖かい風が全身を優しく撫でていく感触がラーノを包む。


 冷たくなっていた病変部分の感覚が戻ってくる。


 『生体回復』。

 マザーから報告。

 「回復したようだが、24時間様子を見よう。再発の可能性もないとは言えない」。

 

 ホッとしたのか、ラーノは眠りに落ちていく。


 「マザー、治療に要したマジュ粒子量を計算してくれ」。

 『フュージョンを解きましょうか?』

 「いや、もう少しこのままだ。イリーゼ』。


 「真マジュ粒子も試してみよう。ラーノの持ってきた植物でね」。

 『なるほどね』。

 「やるぞ」。


 今度は真マジュ粒子を別ポッドに置かれている植物体に流す。

 『生体回復』。

 マザーから報告が上がる。


 「フュージョン解除」。

 イリーゼが現れる。

 「会議ルームに戻ろう」。



 スター・マインドたちが、治療の様子をスクリーンで見ていた会議ルームに戻る。


 『うまくいったわね』。

 「助言ありがとうございました」。

 『必然の結果だし、私たちが言わなくてもやったでしょ?』。

 「それでも逡巡したし、結果として時間が稼げました」。

 リュミエルとカラルに礼を言うギンガ。


 イリーゼと四姉妹は、精霊姫たちと何かおしゃべりをしている。

 そこは自由に任せて、ギンガはファミリーと治療結果の検証に入る。


 「まず、病変部分の変化を見せてくれ」。

 『細胞レベルでの変化を可視化します』。


 マジュ粒子が病変部に接触すると生命活動を停止していた細胞が再生するように見える。

 『細胞の構造・分子あるいは原子レベルでも全く変化はありません。データ上は、まるで止まっていた時間が動き出したかのようです』。


 「真マジュ粒子も見せてくれ」。


 時間が動き出すように見えるのは同じだが、かなり活性化しているように見える。

 「これは、生命活動が強化されているのか?」。

 『効果は微小です。正確な測定はできませんが、静止していた時間を補う形でのブーストではないかと推測します』。

 「真マジュ粒子には、静止属性の影響を時系列的になかったことにできるということか。とんでもないな」。


 沈黙して思考するギンガをリュミエルとカラルは面白そうに見ている。



 「マザー、治療に要した質量はマジュ粒子と真マジュ粒子で異なるのか?」。

 『計測可能な範囲で同じという結果です。活性効果の分だけ真マジュ粒子が効率的と言えると推測します』。



 さらに沈黙が続き、最後の質問をギンガは口にする。

 「ファミリー、ラクエンドの静止フレーバーを除去するのに必要なマジュ粒子量は計算可能か?」

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