ネットワーク構築 3
順番にスター・マインドを訪問していきます。話の整合性を取ってみようと思っています。
35.ネットワーク構築 3
引き続き回線増設である。今度はルオーブの娘ルエーニ。
星系の小惑星帯に滑り込むとルエーニが早速やってくる。
『ご無沙汰ね。・・えっ?かわいいのがいる!』。
文句を言おうとしたようだが、六精霊姫に気付いてそっちに話が飛んでしまった。
イリーゼとの記憶交換すると、途端にテンションが爆上がりだ。六精霊姫への関心もどこかへ飛んでしまった。
『母様とお話しできるの?それすごいんだけど!』。
さっそく接続確認。
チルドレンから受信確認後、ルオーブをコールする。
『もしもし、こちらはルオーブよ』。
『・・ホントに母様?・・ルエーニです』。
『・・・ルエーニ?・・ルエーニなの?』。
感動のあまり言葉が続かない。旅立ったスター・マインドが母親と話をするなどというのは、近くに宿った六連星系や、特殊なスター・マインドであるイリーゼ以外にはなかったのだろう。
過去に空間記憶を投げるという荒業で一度通信(?)を行ったルオーブとルエーニだが、リアルタイムで話をするのは旅立ち以来である。何億年も前だからそりゃあ興奮と感激があるよな、と思うギンガであった。とはいえ、スター・マインドの時間感覚なんてわからないが・・・。
母娘の話は延々と続いている。でも、スター・マインドの情報能力を駆使して、お茶会も楽しみつつ、さらに六精霊姫とも交流を深めるルエーニ。
『惑星ルエーニでもお茶みたいのを作っているのよね。ぜひ飲んで欲しいのよね』。
その瞬間イリーゼと六精霊姫の瞳がギラリと光る。
どんなものかということを詳細に説明を受けている。つでにお茶請けのお菓子についても!
話はどんどん盛り上がってきた。
ギンガが何か悪い予感を感じていると、イリーゼがギンガを見つめて、
「ぜひ入手したいんですけど・・」。
やっぱり、キター!
「いやぁ、勝手に持って来ちゃだめだろう?」。
『私の神殿に供えられたのなら良いだろう?』。
ルエーニが余計なことを言う。
「空間属性マジュ粒子を使えば、ここから掴めると思う。場所わかる?」。
パツィめ、言っちゃったよ。
ルエーニのメカ体がパツィを抱えて座標を伝えている。ファミリーはセンサー感度を最高レベルに挙げた。
「現地に見ている生命体がいないことは確認しろよ。マザー、ウィルスなどの確認のための遮断フィールドをルエーニの前に展開」。
仕方ないなぁ、と思いつつ、最低限の対応を指示するギンガである。
すると、パツィが両手で何かを掴むような動作をすると、目の前の空間に袋(おそらく茶袋)と皿に盛られた羊羹のようなもの、が現れた。
「成功!」。
歓声を上げるパツィ。
『微生物スキャン、遺伝子的構造体は存在しません』。
「何?」。
『微生物など生命体への進化に関わるものは転送しないようにしたわ』。
マザーがウィルスなどを消去準備をしたが、ルエーニはそこは心得たもので対処していた。と言っても、ギンガがもはやほぼエネルギー生命体となった以上、感染する生命体はいない。アークフェニックスの汚染を避ける処置も不要だった。
『成分解析完了。葉はお茶と呼んでよいものと分類します。羊羹的なものはでんぷん質からなるいわゆる羊羹です。コピー可能ですが如何しましょうか?』。
「ともにコピーして、イリーゼに渡してくれ」。
ということで、イリーゼが茶葉と羊羹を受け取り、準備する。
『私もメカ体が無いと味わえないのよね』。
と、のうのうと仰るルエーニ。初めから自分も味見するつもりだったようだ。
イリーゼがお茶を淹れ、羊羹を出す。全員静かに味わってみる。
「これは薫り高いお茶ですね」。
「甘くておいしい羊羹だ。お茶と合う」。
イリーゼとルチェの感想の通りだ、ギンガもそれは認めた。イリーゼのコレクションに加えられた。
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