恒星精霊姫、パワーアップ
ちょっと詰まってしまって・・・すいません。
32.恒星精霊姫、パワーアップ
さて翌日。今日も実験衛星である。
いつもの位置につくギンガ・イリーゼと六精霊姫。
一方ファミリーのセンサーは、属性検知のための感度をさらに上げていた。何を検知すべきかが明確になっていくのに合わせてセンサーのチューニングを行ってきているが、未だ成果は無い。
しかし、今回の情報はかなり参考になったようだ。シスターが全センサーをフル稼働させて何かを掴んで見せるとテンション上げまくりである。
ただ、AIがテンションMAXって・・・?ギンガの疑問は果てしなく深いようだ。
真マジュ粒子ストリームから修行は始まる。
六精霊姫がストロームに飛び込む。前回同様、二人一組だ。
いつものように巻き込まれると思いきや、ストリームに乗っている。ニヤリと笑うギンガ・イリーゼ。
六精霊姫たちが自分の属性をトリガーに真マジュ粒子にアプローチしようとしている。
「一人一人のチカラでは難しいんだがな」。
「それはそれでチカラを増強する良い修行になりますけどね」。
ギンガとイリーゼが心話を交わす。
いろいろとトライが続くが、テポとパツィが一個の真マジュ粒子を何とかキャッチし、それを中心にゆっくり回転を始める。
それに気付いた他の二組も同じことに成功する。
「うまく気が付いたようね」。
イリーゼの言う通り、流れに逆らわず自分の属性をアンカーにして流れに乗る、これが自分たちの位置を確保する第一歩なのだった。
真マジュ粒子ストリームに乗ること一時間。本日の業務終了。
ストリームダイビングに初めて成功した充実感に満ちているが、六人はヘロヘロになっていた、ということで、夕食までは気の循環の中で全員睡眠中。
夕食の食欲はすさまじいの一言だった。精霊姫ってこんなに食べるの?という戦争状態だった。それだけエネルギー消費が大きいということだろう。
ファミリーはそのエネルギー消費を何とか計算しようと、センサー記録と首っ引きで推論を行っていた。仮説でもできれば、そのままマジュ粒子・真マジュ粒子の解明につながる可能性もある。ファミリーの興奮も凄まじい状態だった。
何度も言うが、AIの興奮って何だろう?気になって仕方がないギンガではあった。
そして、夕食が終わると・・・。六人は速攻で寝てしまった。
「さすがに疲れたようですね。でも、今日はすごい進歩でしたよ。精霊姫の霊格がかなり上がりました。あの子たちはまだ生まれてから時間が経っていませんが、スター・マインドになるレベルに近づいていますよ」。
「それは数値化できるのか?」。
「できません」。
ギンガの質問にはあっさり否定するイリーゼ。
「そうか」。
若干がっくりするギンガ。
「ところで、マジュ粒子、真マジュ粒子の解析はどうだ?」。
『以前として解析は進んでいません。ただ、・・・』。
「何だ?」。
言い淀むブラザーに、先を促すと。
『今日の訓練で、真マジュ粒子の一部で干渉を受けたような形跡が見られます。どうも精霊姫たちがアクセスしようとしたときにごくわずかですが、軌道干渉が起きたようです』。
「なるほど・・・」。
イリーゼのほうを向いて尋ねる。
「精霊姫たちの使う属性ってなんだ?」。
「もともとはマジュ粒子にフレイヴァーのパターンを与えて特定の効果を与えるものですわ」。
{?・・もしかしたら真マジュ粒子は複数のスピンを合成できるマジュ粒子の拡張版か?」。
「正しくはっ全てのフレイヴァーパターンを合成したパターンを持つ、ですね」。
イリーゼの答えに色めき立つファミリーの面々。
『もっと早く教えてくださいよ~』。
「具体的に聞いてくださらないと何を答えて良いのかわかりません」。
ブラザーの悲鳴に澄まして交わすイリーゼ。
しかし、例によって高速会話が始まっている。マジュ粒子・真マジュ粒子解明も遠くないかもしれない。
ふと、シスターからイリーゼに質問が飛ぶ。
『スター・マインドは全属性のフレイヴァ―を扱えるのですか?』。
「一度見れば思い出して使えるわ」。
『思い出す?』。
「封印されているような感じね。だから私もリュミエル姉さまに会うまでは、時間・次元・重力・空間は判らなかった。今は大丈夫。でもあと二つは判らない」。
『では、クルルも?』。
「あの精霊姫たちを見れば思い出すでしょう」。
シスターはすっきりしたような表情を見せたので、ギンガが尋ねる。
「何か前進があるのか?」。
『ネットワークのイメージが出来ました。ハブ衛星をコアにしたセントラル方式で行きます。ハブ衛星は3機を想定。次元と時間、空間属性を付けたマジュ粒子をトークン交換する形態とします。衛星の位置と運行情報をノードのスター・マインドに伝えてコネクトします』。
「必要な情報は?」。
『3属性のマジュ粒子をキャッチするセンサーの開発です』。
「ならば、それなりの属性マジュ粒子を常時作れるようにあいつらを鍛えないとダメだな。ということだ、イリーゼ」。
にっこり微笑んで頷くイリーゼ。
そして、
六精霊姫はギンガのフードの中で・・・・・グースカ眠りこけていた。
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