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恒星精霊姫、修行する

新しい六精霊姫のお話が続きます。

30.恒星精霊姫、修行する


 一方ギンガとファミリーはマジュ粒子ネットワークの検討を続けていた。


 「ネットワークは、このウィルスターをセントラルにした形態にしようと思う」。


 『セントラル型でないと、ピアの設備負担が大きくなりますからね。ブロードキャストや、カンファレンスも設定しやすくなります。管理は私が行いますか?』。

 通信と言えばシスターのテリトリである。


 「そうだ。必要があればファミリーでサポート。スター・マインドがどの程度現存するか不明だが、当面はそんなに多くは無いだろう」。


 『サービス機能として、ライブラリや個人用(人か?)のデータ保管庫などが想定されます』。

 「逆だ。スター・マインドには空間記憶がある。必要なのは情報交換用のメールボックスのような機能だろう。私信と共有の2タイプかな」。

 『なるほど、了解しました』。



 「至急必要なのは、距離の制約を受けないリアルタイム会話だ。時間ないし空間属性を提供することで実現できないか?もちろん、重力、次元も検討するが発想の転換が必要になるな」。


 『常時コール可能とするためには、かなりの出力が想定されます。精霊姫のパワーが課題になる可能性が想定されます』。


 マザーから新たな課題が提示された。そちらの育成も検討しなければならないようだ。


 課題を整理していると、イリーゼたちが戻ってきた。六精霊姫はギンガのもとに来て気の循環に参加する。ギンガの見立てでは、気への順応は順調のようだ。さすがはハイパワーで生み出された精霊姫たちだ。


 検討課題を説明した後、ギンガは新しい訓練計画を提案する。


 「気の循環はこれまで通りだが、真マジュ粒子との親和性向上を取り入れたらどうかと考えたんだが、どうだろうか?」。


 イリーゼが答える。

 「なかなか挑戦的な試みですね。真マジュ粒子を生成できるのは私たちだけ。この娘たちはリュミエル姉さまたちから記憶をもらっているから真マジュ粒子を知ってはいるでしょう。でも、知っている、と経験する、では根本的に違います。なにより、真マジュ粒子を体感した精霊姫は未だ存在しません」。


 イリーゼの意見を聞いた六精霊姫の表情が引き締まる。そして、締め役のパツィが吠える。

 「やってやろうじゃないか。大体、イリーゼ姉さまにできて私たちにできないわけがない」。

 「「「「「そうだー!」」」」」。

 威勢は良い。ギンガとイリーゼは内心この状況をとても好ましく思っていた。



 早速だが、アペンドに来ている。ここなら被害は出ない、はずである。


 「まずは、真マジュ粒子を感じることから始めるんだ」。

 「「「「「「はい!」」」」」」。


 フュージョンするギンガとイリーゼ。そして、真マジュ粒子を生成・循環し始める。最初は、ゆっくり、ゆっくり、と。しかし、それでも精霊姫たちは大騒ぎである。


 「なにこれー?!」。

 「目が回る~」。。

 「溺れる~」。

 「ひや~~」。

 「わ~~~」。

 {・・・・・・・・}。


 最後の一人は気を失っているわけではない。テポは口数は少ないがよく状況を見ている、とギンガは評価している。最初に何か対応してくるのはたぶんテポだろう。


 しばらく真マジュ粒子の流れに振り回されたところで休憩。おやつに抹茶オレが出てきた。イリーゼがフュージョンを解いて精霊姫たちにオレを配る。ゴクゴクと良い飲みっぷりだ。


 もう1ターンやって本日は終了。六人とも翻弄されて終わった。最初の威勢の良さは吹き飛んでしまって、疲れた~と言いながら帰ってきた。

 ギンガは何も聞かない。今は自分で、あるいは自分たちで考えることが大事だ。今はギンガのフードに入っていろいろ議論しているようだ。その間も気の循環には参加している。どうもギンガとイリーゼに良い様にあしらわれたことがお気に召さなかったようだ。


 

 そして一週間ほど修行が繰り返される。


 「真マジュ粒子とはあれだけのパワーがあるのか?」。

 「属性を付与されたマジュ粒子とは桁が違う」。

 「私たちの属性のどれとも違う」。


 様々な体験から得られる情報が六人の会議で出される。しかし何もわからない。ただ一人ずっと黙っているテポを除いては。


 「テポ、どうしたのだ?」。

 「いつにもまして静かだな?」。

 落ち着いて議論を先導していたルチェとネーロがテポに問いかける。


 「ん、ちょっと考えていた。もう少しで何かが・・・」。


 五人は待っている。・・・テポのセレンディピティを。


 !


 「一人じゃない。みんなで乗るんだ」。


 「どういうことだよ?」。

 パツィがよくわからないと、説明を求める。


 「私たちは、真マジュ粒子の流れに逆らって自分というものを保とうとしていた。違う?」。


 五人は少し考え、そして頷く。


 「それで何か問題があるの?」。

 これはルチェだ。ネーロも同じように首を傾げている。


 「なぜ逆らうの?確かに私たちはギンガに挑発された、わざとね」。

 

 「引っ掛けられた?」。

 パツィだ。


 「そう、本来私たち精霊姫はマジュ粒子に属性を与える役割。そして真マジュ粒子とは言え、マジュ粒子に何らかのパワーを与えて生み出されるはず。でなければ、イリーゼ姉さまの役割が説明できない」。


 「そうか、真マジュ粒子にはあらゆる属性が組み込まれていると考えるべきなのね?」。

 オーレの指摘にテポは答える。

 「そう、だから私たちは真マジュ粒子の中に自分の属性を見つけ出すべき」。


 「でもそんなに簡単じゃないでしょう?」。

 今度はラヴィ。テポは頷きながら、

 「属性の結合は強力。だから一つだけの属性でのセンサリングでは弾かれる。力を合わせるべき」。


 「見えたわ。最終的には私たち六人の力を合わせるんだけど、すぐには無理。二人から始めるのね?」。

 ネーロの答えに、微笑んで頷くテポ。


 「よっしゃ!明日の修行では二人一組でやろうぜ。俺とテポ。オーレとラヴィ、ルチェとネーロでどうだ?」。

 「対極属性で流れに乗ってみるのね。良いわよ」。

 パツィの提案にルチェが乗っかる。他の四人も頷く。


 「よし行くぞ!」。

 「「「「「おー」」」」」。


 気勢を上げる六人だが、その会議をギンガの普段着のフードの中でやっているのだから、ギンガはずっと聞いていた。

 間違っていないので、ギンガは見守ることにした。

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