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恒星精霊姫その2

六人の描写はたいへんです。前回の続きですね。

28.恒星精霊姫その2


 一方、パツィを摘まみ上げているギンガのもとへ他の五人の精霊姫がやってきた。自分たちの力も試したいようだ。


 順番に確認する。ラヴィ、重力属性だ。不可視の重力波が飛んでくる。しかし、ギンガは気でこれを弾く。弾かれた重力波がたまたま浮遊していた映像センサーを直撃。確認するとセンサーはペチャンコになっていた。


 「うそ、見えないのに弾かれた。しかも的確に・・・」。

 驚愕するラヴィ。


 見ていた親スター・マインドたちのお茶会の席では、イリーゼが解説している。

 「あれが、結界、ですね」。

 

 シャルーがコメント。

 『物質生命が重力波を知覚するのか?フレアーノのようなエネルギー生命体でないと無理かと思っていたのだが・・』。


 

 次はテポ。時間属性である。相対する前にギンガが左腕を振るい何かを叩き落とす。それは浮遊していた映像センサー。

 ところが、シスターが驚愕の声をあげる。

 『そのセンサー一体どこから?数が一個多い!』。

 AIが取り乱すほど驚くとは・・、実に興味深い、とギンガは思った。


 「今から送られるよ」。

 ギンガがそうつぶやいた瞬間、テポがセンサーの一つを消す。その瞬間ギンガがテポを確保。

 

 「これで辻褄は合ったな」。

 『なるほどそういうことですが?』。

 シスターもわかったようだが、これはとんでもない能力だ。


 「どの程度まで出来るんだ?」。

 「大きさと重さは今のが限界かな。時間は15秒」。

 「なるほど、・・それでもエネルギー保存則は既知の理論では崩れる、ということだ」。


 これにはブラザーが反応してくる。

 『既存の量子論では無理ですな』。

 「そこにマジュ粒子、じゃないのか?」。

 『なるほど、大きなテーマです』。



 三人目は、オーレ。これには、ギンガが準備時間をくれと言った。初めてのことだ。


 『どうして準備時間を取ったの?』。

 オランジェから質問が飛ぶ。


 「物質生命体としての私の限界がそこにあるからだ」。

 『限界?』。

 「そうだ、物質生命体としての私の種族は次元を知覚できない。感覚的にも理解できない。それは、空間、時間も同じ。重力ももほぼ同様だ、当たり前すぎて忘れている。だが、その三つは頭では想像できる。故に結界に感じれば何らかの対応は可能と考えている。実際できた。だが、次元、は判らない。想像もできていない。だから結界の精度を最高レベルに挙げる。それだけだ」。


 そしてギンガは気の循環のスピードと精度を格段に上げる。外見は何も変化が無いが、

 「すごい。このパワーはクラインとの戦いのとき以来だわ」。

 イリーゼが珍しく興奮している。

 

 ファミリーも興奮しているようだ。ギンガの最大パワーなどそう見れるものではない。


 『ふふっ、そこまで強いのにスキは一切見せず、出来る限りの準備をするのか?たいしたものだ。イリーゼのパートナーはすごいな』。

 感心しているのはリュミエル。何か満足そうだ。


 

 ギンガは気の循環を高めた状態でオーレに顔を向ける。ニヤリと笑うと、

 「さあ、何時でもいいぜ」。

 ギンガの周りにはあらゆる色の輝きが瞬いていた。


 『へえ、すごいな。フレアーノでも自分では輝かないけど』。

 『あれがギンガの二つ名、数多あまたの輝きを纏う者、の由来です。私たちが自我を持つ前からの記録ですが、初めは緑の輝きでした。修行を詰んでいるうちに、青、紫、白、銀、金、虹色、そして今の、数多の輝き、に進化しました』。

 エスポ―の感想にファザーが答えている。


 『あれはねぇ、物質の属性と同調したチカラが輝きとして見えているのね。私たちには、といってもまだ私とカラルしか見えていないけど、属性フレイバーのチカラよ』。

 『『『『!』』』』。

 またまた、重大情報がリュミエルからもたらされた。ファミリーの高速会話はさらに加速しているようだ。



 オーレから何かゆがみのようなものが放たれた。


 歪みはギンガに向かうが、ギンガは華麗な捌きで躱していく。躱された歪みの一つにシスターがセンサーの一つをわざと接触させる。瞬間的にセンサーはチルのように消滅した。


 それをチラッと見たギンガは、

 「とんでもない威力だな。エネルギーを高次元に逃がした対消滅か?」。


 『指摘どうりと確認。危険ではありませんか?』。

 「シスター心配するな。オーレは判ってやっている」。


 そのまま舞うように歪みを受け続けるギンガ。


 しばらく続けると、動きが変わってきた。ギンガが歪みを操作しているように見える。場合によっては増幅したり、減衰させたりしたりしているようにだ。


 「だいぶ慣れてきた。創り出すことはできないが操作はできるな」。


 「終わりにしよう。ありがとう」。

 ギンガの言葉に頷くオーレ。ありがとう、には笑顔で応じてきた。


 さて、四人目はルチェ。


 相対するなり仕掛けてくる。

 「スターダストストリーム!」。


 輝く光の帯を鞭のように、華麗に打ち付けてくる。しかし、ギンガも華麗にこれに応じる。


 「美しい舞のようです」。

 イリーゼの感想が全てを表現しているようだ。


 ところが、

 「これは半分しかないだろう?ネーロも参加だ」。


 発言と同時に今度は闇の帯が光の帯と対になるように流れる。華麗さはさらに二段も三段も跳ね上がる。


 今度もしばらく舞った後、仕舞を迎える。


 「ありがとう参考になった。楽しかったよ」。

 「「良かった!」」。

 ギンガの感謝に嬉しそうに返事を返すルチェとネーロ。



 ラウンジに戻って、新たにお茶と、今度は煎餅が供される。


 『これも良いわね』。

 リュミエルとカラルは楽しんでいるが、四姉妹と六精霊姫は不満そうなので、甘い茶菓子が出されると飛びついて食べている。微笑ましい光景である。


 『で、どうなの、私たちの精霊姫は?』。

 カラルの質問にギンガが答える。


 「生まれたばかりのパワーとしては、イリーゼの時より明らかに上ですね。六人のスター・マインドがそれぞれ一人の精霊姫を生み出したからでしょうか?」。


 『そうみたいだね。私の時のリュミエル母様も、娘たちの時の私も、一人で六精霊姫を生み出してたからね。今回のようなことは初めてなの』。


 リュミエルが補足する。

 『これからのマジュ粒子ネットワークは壮大な試みだ。大きなパワーは不可欠。あなたたち頑張りなさいよ』。


 「「「「「「はい!」」」」」」。

 元気の良さはイリーゼの時も同じだなと思うギンガだった。

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