光速を超える?
一回飛ばすようなスケジュールになってしまいました。何とか頑張ろうと思います。
24.光速を超える?
クルルも参加して議論は続く。
「旅立ったスター・マインドとの通信は、連星系の一家とルオーブとルエーニのトライ以外にはないかな?」。
『私の呼びかけに答えが返ってきたことはありませんし、継承した記憶の中にもありません』。
「マジュ粒子は光速を越えられるかで、ネットワークのコストが左右されるな」。
『ルルーの観測では、イーヴィル・ダストは光速以上の速度で移動していた可能性が高いと思われます。とすればスターマインドの移動速度も光速を超える可能性があります』。
「スター・マインドの移動がマジュ粒子を利用しているならば、マジュ粒子そのものが光速を超える性質を持つ可能性があるな」。
『現在までマジュ粒子の光速突破についての観測はありませんが・・』。
ファザーが指摘してきた。
「私たちは見落としをしてはいないか?」。
『どういうことでしょうか?』。
「マジュ粒子は属性を加えて大きな力を解放するという点だ。君たちはフレアーノたちを観測してどう感じている?」。
ギンガの指摘に、改めてデータの確認に入るファミリー。AIとしてデータ分析はお手の物とはいえ、分析対象のセレクト(セレンディピティへのアプローチ)ではまだまだなぁ。
【なるほど、早速六属性との組合せ仮説を検討します』。
「ああ、頼む。ただ、属性は6つしかないとは限らないぞ」。
ギンガの指摘にAIが驚いている。面白い現象だ。
「重力属性、時間属性、あるいは次元属性などあり得ないということ自体が駄目だ。あらゆることを考えよう。もしかしたら、真マジュ粒子、反マジュ粒子も未知の属性を持ったマジュ粒子の可能性すらある。いや、その可能性が高いかな」。
『なるほど、ギンガのフュージョン体、あるいは暴走クラインはその未知の属性を使っているという可能性ですね?』。
『それは面白いですね』。
『久しぶりにチャレンジしがいのあるテーマです』。
マザーブラザーそしてシスターも興奮している。
ギンガは、またまたAIが人間臭くなっているな、と感心しきりだった。
あまり期待していなかったが、クルルに六属性以外の属性について聞いてみる。
『始祖か二代目の記憶にそういうのがあったかもしれません。私ではよくわからないので・・・。イリーゼどうかしら?』。
「ちょっと待ってください。・・・二代目のかなり曖昧な記憶ですね。何か私の知らない属性?があるみたいです。でも、私にも理解できません」。
「フュージョンすれば私にも読めるのか?」。
「多分。・・やってみましょう」。
「ファミリー、声を含めて可能な限り情報をトレースしてくれ」。
『『『『了解』』』』。
フュージョンしたギンガは、二代目スター・マインドから継承した記憶を見る。
「これか?なんだこれは?」。
「・・瞬間移動?いや、・・ワームホール生成?・・・空間属性?、なのか?」。
「なんだ?ブラックホールか?・・シュバルツシルト径内から離脱だと?・・重力属性・・なのか?」。
「この位置関係は何だ?順番が滅茶苦茶だぞ。・・・もしかして時間属性か?」。
「これはわからない!・・理解不能だ。いったん打ち切るぞ!」。
記憶探査から復帰したときギンガの体は全身酷い汗だった。フュージョンしていたイリーゼは実体を消しているのでそんなことは無い。なんかずるいな、ギンガはそうぼんやり考えていた。
美味いお茶で喉を潤し、原状復帰するギンガ。
「ふぅー、参ったぜ。とんでもないものを見た、ような気がする」。
クルルを含めて全員の視線がギンガに集中する。
「私には様々な光の奔流があらゆる方向に迸るように見えましたが」。
「おそらくビッグバンの瞬間のイメージだな。私にも、見えた、というのは自信が無い。だからイメージとしておこう。多分、始祖スター・マインドの記憶じゃないかな」。
イリーゼの感想に応えるギンガ。
「しかし、問題はその後だ。凄まじい速度で移動する光の奔流を、コマを跳ばすように視点が変化していった。そう見えたが・・」。
「私もそう感じました」。
『瞬間移動、そう仰っていました』。
ファザーが指摘する。
「ああ、言ってみればそういう感じだった。ということは第二世代の記憶かも知れない」。
『それはビッグバンの宇宙膨張の中でスター・マインドはうちゅに広がって行ったということになりますが』。
「そうだな。そのスピードは光速を越えていたのではないか?という仮説だ」。
『空間属性と仰っていましたが?』。
今度はブラザーが質問する。
「そうだ、その光速を超える方法が、単に光速以上の速度というのではなく、リープというかスライドというか、空間をそのものを操作しているという印象を受けたんだ」。
『次は重力属性でしたが?‥』。
ファザーはこれに興味があるようだ。
「全てが飲み込まれていく空間があった。その先は本当の無としか感じられなかった。しかし、その流れにを軽々と乗り越えて光の世界に返ってきていた」。
『だから、重力属性ですか・・』。
「単にエネルギー生命体だからということかもしれん。しかし、無に流されている時は引っ張られる感覚は会ったような気がする。それに逆らったということは重力遮断、ないし反重力の可能性があると推測したんだ」。
『次は時間属性でしたね』。
マザーからの確認である。
「三番目の感覚は極めて曖昧だった。通常ならば時系列に沿った記憶のはずだが、その順番が乱れているように感じた」。
「非常に限定された範囲での記憶でしたが、私もそう感じました。記憶の他の部分にそんな事例はありません」。
イリーゼがギンガの感触を補った。
『最後は、わからない、でしたか?』。
シスターが念を押してくる。
「すべてが、感覚すべてがバラバラというか、歪んでいるというか、そういう感覚だ。センサーに出ていないか?」。
『脳が五感認識を拒否しているような振る舞いを検知しています。何なのでしょうか?』。
「これは仮説だ。その前提で聞いてくれ」。
頷くファミリーとクルル。イリーゼは薄々察しているらしい。まあ、体験している時は一心同体だからな。
「次元突破じゃないかと思っている。だから、四次元生命体の感覚と脳はその認識を拒否しているんじゃないか?」。
『少なくとも五次元以上の情報ということですか?』。
これには、ファザーはもちろん、ファミリー全員が食いつく。
「そうだ、次元属性も可能性がある。そしてその検証のためには、私自身の進化が必要なんだろう。どうやるかはわからないけどな」。
「フュージョンを繰り返せばできるような気がしますが・・」。
イリーゼがなんか言っている。ホントかよ。
ギンガが説明を一通り伝えた時に、クルルから質問が入る。
『空間、重力、時間、次元なんていう属性は知らないし、どうやって作りだせば良いのかわからないわよ』。
「そう、問題はそこなんだ。超光速ネットワークを作るためには、少なくとも空間か時間、もしくはその両方の属性をマジュ粒子に与えないとダメなんだろうな」。
そうなのだ。大問題が横たわったままだった。
しかし、その時、解決の糸口が開かれる。
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