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恒星のスター・マインド

登場人物(?)が増えてきて大変になってます。でもそれもまた面白いのではと思います。如何でしょうか?

18.恒星のスター・マインド


 グランスィ六連星系外縁部でディメンジョンアウト。


 いつものようにイリーゼの声が響く。


 「お姉さま・・、お姉さま方がいらっしゃいます。6体です」。

 いつもは子供たちに近い生物体を模した姿で現れるスター・マインドが、6体とも光の状態で現れた。

 姿には関係なく、イリーゼが空間記憶の交換を始める。


 困った、ギンガの正直な気持ちである。メカ体はある。だが識別をどうする?そして6体分の名前をどうしようか?そんなことで困っていた。


 記憶交換が終わったのか、イリーゼが説明をしてくれる。

 「ここの六恒星には全てお姉さまが宿っておられます。第三世代の方を中心にその娘さん一体と娘さんの娘さん四体です。空間記憶は六体でほぼ共有しておられます。とりあえず、」。


 「名前とメカ体だな」。

 「よくおわかりですね」。

 にっこりとほほ笑むイリーゼ。


 「マザー、メカ体6体だ。外見はローブだけはおらせて後で調整。イリーゼそう伝えてくれ」。

 「はい。もう伝わってます」。

 またまた、微笑むイリーゼ。ギンガが慌てているのを面白がっているらしい。


 起動する6体のメカ体。初めての人型を興味深げに点検しているようだ。外見についてイリーゼにいろいろ質問しているようだ。イリーゼとシスターの操作で少しずつ変化している。その間にマザーがブラザーと一緒にお茶の準備である。今回は人数が多いので応援要請が出たようだ。


 外見調整が終わったらしく、6体が並んでいる。まだ、珍しそうに体のあちこちを見たり触ったりしている。

 「こちらが第三世代のお姉さまです」。

 「六連星のどの星だ?」。

 「中心の変光星です」。

 「ファザー、登録名は?」。

 『リュミエルです』。


 「スピリット・スィ・リュミエル、如何でしょう?」。

 『スピリット・スィ・リュミエル、・・気に入りました」。

 満足そうに微笑んでいる。マザーがお茶席に案内していった。


 「第四世代のお姉さまです。一番明るい星です」。

 『カラルです』。

 「スピリット・スィ・クラル。如何ですか?」。

 微笑んで頷き、ブラザーの案内で席に着く。


 「第五世代の四体のお姉さま。順番に、白い星、やや赤みのある星、青っぽい星、橙色の星」。

 『順に、ロクサ、シャルー、エスポー、オランジュ、です』。


 ギンガが口を開く前に、

 『良いわよ、私がスピリット・スィ・ロクサ』。シルバーの髪のメカ体。

 『私は、スピリット・スィ・シャルー』。こちらはシルバーと赤のグラデーション。

 『スピリット・スィ・エスポー』。シルバーと青のグラデーション。

 『・・スピリット・スィ・オランジュ、ね』。輝くオレンジの髪のちょっと幼い顔立ちのメカ体。


 イリーゼが四体を席に案内し、まずはお茶を振舞う。


 プラズマの世界にいる恒星のスター・マインドたちにとって全く初めての経験である。見たこともないということだろう。6体ともゆっくりお茶を飲み、クッキーを頬張る。


 『・・・これが食べるという事?感動するわね・・・』。

 リュミエルの言葉に他の五体もコクコクと頷く。


 『母様と同じように恒星を選んだけどもこういう選択もあったのね』。

 これはカラルだが、イリーゼが訂正する。

 「確かに精霊姫の時は食べることもできますが、私の経験ではもっと感覚は鈍いです。スター・マインドになって惑星に宿ればもう実体は持てなくなりますから」。


 『これを体験できるというのは、イリーゼとあなたのパートナーのおかげなのね?素晴らしいわ』。

 リュミエルをはじめ6体とも初めての経験に大盛り上がりである。


 『物質生命体との接触は私たちも初めてなのだけど、何かあってきたの?』。

 リュミエルから肝心の質問が飛んできた。


 ギンガは、次の各ポイントを説明した。

  ・イリーゼの故郷で起こったクラインの事件、

  ・その後発見したイーヴィル・ダストと【リセットの意思】のこと、

  ・イーヴィル・ダストとルエーニとの接触とジャアクのこと、

  ・マジュ粒子がジャアクの防御対策にならないかという仮説

  ・この星系で観測された大量のマジュ粒子のこと


 『まず、私自身について話したほうが良いかな。イリーゼに聞いたと思うけど、第一世代の記憶ってすごく曖昧でしょ?何故だかわかる?』。

 「理由は判らない。でも始祖スター・マインドはビッグバンコアに宿っていたのではないですか?」。

 『優秀ね。その推測は正しいわ。正確には判らないけど、すぐにビッグバンを起こした、その瞬間に多くの第二世代を巻き散らしたらしいのだから記憶の継承をしていないのよ』。


 「なるほど、でもどうしてそこまでの記憶が残っているのですか?イリーゼの記憶にもなかったのですが?」。

 『空間記憶交換の時に私もチェックしたけど、イリーゼの直系第二世代は遠くに飛ばされたようね。ほとんどの第二世代はそうなったらしいけど。でね、私の母様はたまたま近くの原始太陽に宿ったのよ。それでも第一世代のコアからは急速に遠ざかったけど、すでに宿っているからその間の経過をしっかり記憶に残せたの。そして、私は母様の最後の娘なの。原始太陽はもう燃え尽きたわ。その最後の時に母様は私を産み出した。だから母様の全ての記憶を継承しているのよ』。


 とんでもない情報だった。この宇宙創成ビッグバンの記憶を一部とはいえ保持している存在がここにいた。ファミリーはあらゆる機能を総動員して、全ての情報を漏らすまいとフル回転しているようだ、まあ、ファミリーの能力を総動員なんて、ファミリーを建造した私でも想定できないようなレベルだが・・・。

 宇宙創成の情報なんてAIでも興奮するような情報のようだ。・・でも、AIが興奮って、・・・イリーゼが来てからやはりファミリーの感情が豊かになってきている。これは、イリーゼのスター・マインドとしての能力の影響なのか?

 研究のし甲斐が膨らむギンガだった。

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