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竜の里の変化

閑話のような内容ですが、伏線として書いてみようかな、という試みです。それなりに書いているつもりです。よろしくお付き合いください。

11.竜の里の変化

 

 その日は郷をあげての大宴会となった。


 さすがにメカ体は酔うことはまだできないが、クルルはここでも絶好調。歌って踊って大活躍だった。


 

 翌朝、ほとんどの里の者がまだ酔いつぶれて寝ている中、ギンガとイリーゼは竜の三長老のところに向かった。クルルは置いていく(メカ体の維持も含めて)つもりだったが、どうしてもゲルダを見舞うと言って聞かないので同行することにした。この地球を離れる前にもう一度寄ることにして、上陸艇はそのまま残し、リームに乗って移動する。


 クルルはここでも絶好調、竜に乗るのも初体験と言ってご機嫌である。イリーゼも調子を合わせて賑やかな事この上ない。苦笑を交わすギンガとリームであった。


 

 楽しい空の旅をしばし、竜の三長老の平原に到着。気の利くイリーゼがドーレのチャネルを使って三長老に到着を伝えていた。もちろん、クルルのことは内緒。この親子の連携は完璧。


 三長老のそばにリームは着陸。降りた瞬間、三長老は来るrの存在に気付き、恭しい態度になった。自分が初めて来たときとはさすがに違うなぁ、と感心しているギンガ。


 またもやイリーゼを交えて情報交換。今回の訪問はゲルダの回復と伝えると長老たちの感情がすっと明るくなる。そそくさとゲルダの眠る祠に案内していく。


 ついて行きながらリームに向かってギンガが感想を言う。

 「すごい扱いだな」。

 「そりゃそうさ。竜族は長生きだし記憶もちゃんと継承していくから、竜族の生みの親があの人、まあ人じゃないけど、だって解ってるからさ。親には敬意を示すよ」。

 「そう言うわりに、君はあっさりしていると思うよ」。

 軽口を叩いているとゲルダの祠に着いた。


 中に入ってしばらく目を閉じていたクルルが、

 「感じていた通りですね。生命活動が著しく低下しています。暗黒竜とやらの瘴気を浴びた時の反動です」。


 「大丈夫なのですか?」。

 トリアが心配そうな声で尋ねる。

 「このままでは5000年くらい眠りますね」。

 クルルの見立てにほっと息をつく三長老。


 「寿命の長い竜族には5000年くらいかもしれません。でも、この地球は人族と魔族の協力で大きく羽ばたこうとしています。イリーゼやギンガの世界と交流するのもそんな遠い話ではないと私は思っています。そこに竜族が関われないのは問題です」。


 クルルの指摘に困ったように答えるトリア。

 「しかし、どうすれば・・・」。


 クルルは微笑んで、

 「簡単です。マジュ粒子を流せば、回復します」。


 「「「何と!」」」。


 「でも、マジュ粒子を生成できるのはスター・マインドだけ。そしてこの星に宿っている私では、このゲルダに焦点を当ててマジュ粒子を生成することはできませんでした」。


 この説明に、またガッカリする三長老。


 それを見て、またまた悪戯っぽく笑みを零すクルル。このスター・マインド、お茶目すぎる。急速にそういう感覚を身につけつつあるようだ。

 「でも今ここに、私の娘イリーゼがいます」。


 三長老がイリーゼを見つめる。

 「自由に行動できるスター・マインドがね」。


 ようやくそこに気が付いたのか、期待に満ちた目でイリーゼを見つめる三長老。


 「では、始めます」。

 眠るゲルダにそっと触れ、ゆっくりとマジュ粒子を生成し気と共にゲルダに循環させていく。よっくり、ゆっくり。無属性のマジュ粒子が四属性を纏い、光と闇の増幅を受けて満ちていく。


 「終わりました」。

 イリーゼが告げた時、ゲルダの瞳に光が戻った。ゲルダの体は二回りほど大きくなり、トリアすらしのぐサイズになっていた。


 ゲルダに近寄り声を掛ける三長老。


 「トリア、マグマナ、レッカ。心配を掛けました」。

 ゲルダの声に、三長老は涙を流している。


 ゲルダは体を起こすと、

 「聖なる母よ、ありがとうございました」。

 

 言われたクルルは、

 「気にしないで。それより私のことはクルルと呼びなさい」。

 と、少し拗ねていた。


 次にゲルダはイリーゼに向かい、

 「ありがとうイリーゼ様、・・・えっ?」

 そこで気付いたようだ。


 「ゲルダ、私の中にあなたの子ドーレもいます。私はあなたの娘でもあるのです。様、など要りません。イリーゼと呼んでください」。

 ピタリとゲルダにくっつくと、ゲルダも人型に変化し、(そう言えばリームも変化するからできるんだよなぁ、とギンガはぼんやり考えていた)、イリーゼを抱きしめていた。


 なぜか三長老も人化し、予想通りお茶。すると、この地に来ていた竜たちが集まってきた。まだ人化できない若い竜を除いて皆人化している。


 「なあ、リーム、どうしてみんな集まって来てるんだ?」。

 「決まってるだろう、好奇心。好奇心だよ」。

 「?」。

 「ボクたちは寿命が長い。若いうちは、強さとか速さとかで競ったりもするけど、それなりに歳くってくるといろいろ知りたくなるんだよ。そして、自分の思索で思いついたことを議論を始めるんだ。だから、この星の命を産み出し、その記憶を持つスター・マインドと知己を得るなんてのは何よりも重要なのさ」。


 「好奇心と成熟か・・・ん?」。

 「どうかした?」。

 「いや、何でもない」。

 「?」。


 ギンガは答えなかった。しかし、その時考えていたのは、

 【イーヴィル・ダストはリセットの判定をどうやって下しているのか?その基準は何か?】であり、竜たちの行動がなんとなく関係あるような気がしてならないのであった。



 そんなギンガの想いとは全く関係なく、クルルと竜たちのお茶会兼討論会はの七日七晩続いた。とんでもない体力である。まあメカ体のエネルギーは普通には無尽蔵といっても大丈夫だが。

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