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「 砂城の果てのシルヴィア 」  作者: 秋山 トシヤ
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幕間




「また途切れてしまった…」

 うまく意図を伝えられただろうか。

 これまで何度も彼と繋がることができてもすぐに途切れてしまった。今回も唐突だった。

 たまたま近くにいた才のあるご老人の口を借りたけど、あれからどうなっただろう。ことの流れは途絶えていないからきっと大丈夫なはずだ。


 目の前にみえている光の粒子が集まってできた長くて右へ左へ流れていく一本の線が何本も重なって、楽譜の五線譜のように川を描いてどこまでも続いているように見えた。


 そう、あるところまで。


 それは世界の時間の流れ。たくさんのものが折り重なってできた砂のお城を時間とすれば、それをひとつの流れとしてここでは可視化できた。


 煤汚れた深緑色のフードをかぶった男が言った。

「でも、これでようやく会える。そのはずだ。解は示した」―――このときをどれだけ待っただろう。


 黄金色の空と大地と草花が風によって狂想曲を奏でていた。男は黄金色の空を見上げて、杖をついた。


 早くこい、早くこい。


 世界は君が来たことを知らない。彼女はなにも知らない。誰も君のことを知るものはいない。しかし、君の来訪には世界から喝采と祝福が待っている。みんな知らないだけで待ち望んでいる。世界は、まだ知らぬ君を待っているんだ。


 だから、早くこい、早くこい。

 彼女が消えてしまう前に。世界がなくなる前に。




 そのときまで、あと少し、あと少し――――

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