表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のろわれたポピー  作者: ゆずこ
3/7

タイラーのターン

 タイラーの幼馴染は、ちょっと有名である。

古の魔女の呪いを御身に受けた侯爵令嬢。

それがポピーだった。


 呪いをうけた当初、タイラーもポピーも精神的にまいってしまった。あんなに可愛く、花のように笑う幼馴染から、笑顔が消えてしまったのだ。


それも、自分を庇ったばっかりに。



 確かに、その呪いの効力は絶大だ。

見る人すべての視界に干渉する呪い。


 みんな、彼女を全身イボだらけの顔色が悪い目元が窪んだ醜い女性。

そう思っている。


しかしそれは違う。



 呪いがかかってしまった瞬間、ポピーはタイラーを庇ったし、タイラーもポピーを庇うように抱きしめた。だから最初、ポピーの姿が変化していることに気づかなかったのだ。


ポピーに触れていれば、いつもの、花のようなポピーに会えるのだ。



 タイラーは公爵家の3男で、兄が二人いる。当時はまだ自立していないので、兄たちに何かあったら自分がどうにかしないといけないという使命感から、呪いの詳細がわからないポピーに近づくことは許されていなかった。当たり障りない手紙のやりとりだけ。


 それから長兄に続き、年子の次兄も18歳の成人を迎えたその年、タイラーはポピーを婚約者に迎えた。


正直この一件がなくとも、ポピーを迎えるつもりでいたのだが。





 まじめなポピーのことだ。きっとこの婚約が自分を庇ったことへの罪悪感だとか、傷者になった令嬢をもらう義務だとか、面倒なことをぐるぐる考えているに違いない。




 そんなことないのに。



 タイラーは、ポピーが大好きだった。

名前が花なので、ポピーから花言葉を聞いた記憶がる。



『いたわり』

『おもいやり』

『陽気で優しい』



どれも全部ポピーを作り上げる言葉だ。そしてこれは自分で調べたのだが

『恋の予感』

という意味もある。


正直予感どころではない。

もう深い泥沼だ。



 魔女の呪いを受けても、しゃんと前をむいて、強く歩む。

周囲の視線や心無い言葉に傷ついてるのも知っている。




けど、それを支えるのは自分でありたい、と。



 しかし、いくつか懸念すべき点はある。

いつか解呪できた時、本来のポピーの姿が学院に知れ渡ったら?

嫌な予感しかないが、婚約者の立場の自分だけが、異性である彼女に触れることが許される。


社交界の花になりうるポピー。




 なので、タイラーは今日もポピーに会いに行く。

何度でも言葉にするのだ。





「君は僕の婚約者だよ」



タイラー(当時6歳)

「兄上…どこに行っていたのですか」

次兄

「いや、ちょっと擬態についての研究をだな」

長兄

「ばれるのも時間の問題だぞ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ