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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第三章~天然都市・ファンノン~
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魔力

第75回!


二人をその場に置き、僕とクラサはウィルの魔力を手に入れるため。出来るだけ早く、その場に急ぐ事となった。


ウィーネが魔力を集める間、魔族の影を引き付けてくれるが、早い事に越したことはないだろう。

僕たちの目的が終わるのが早ければ早いほど、ウィーネ達の身が保障されるのだ。


それに戦力として、僕とクラサだけでは不十分という点がある。

行く途中でモンスターが出た時点でアウトなのだ。

そんな理由もあり、出来る限り早くウィーネとヒリナと合流する必要がある。


(そろそろだね)


かなり進んだところで、ウィルが声を上げた。

僕たちは、一度立ち止まる。


かなり急いだから息が乱れている。

それはクラサも同じだった。


「大丈夫?」


僕は、クラサに声をかけてみた。

どちらかと言えば僕の方が足に来ているかも知れないけれど。


「はい、大丈夫です。ありがとうございます」


その様子からは、無理をしている感じはしなかった。

魔力を得た場合、いざとなったらクラサにキリヤードも使ってもらう可能性もある。


僕では使いこなせるものではないから…。


(居るね…)


ウィルの言葉で僕の気持ちは引き戻された。


魔族の影達の事だろう。

僕たちは、一応物陰に隠れ、そこから魔族の影達の様子を伺った。


数体の不気味なあの女性の影が何かに導かれるように一直線に進んでいく。


(完全に察知されているね。ウィーネが集めている魔力も少しずつ集まってきているけど…さて…間に合うだろうか…)


ウィルの雲行きの怪しい言動が僕の心を焦らせた。

だが、焦っても仕方ない。


「進もう。ウィーネ達を信じて」


「そうですね」


魔族の影の後を追い僕たちは進んでいく。

僕たちには目もくれず魔族の影は進んでいく…。


前に会った魔族の影はキリヤードに反応した様子があった。

しかし、今回の魔族の影はその様子もない。


僕はそれをウィルに質問してみた。


(キリヤードに反応した…?おかしいね…魔力なんてない状態だろう?)


「…うん」


(どう考えるべきか…君たちがキリヤードを最後に使った魔力がキリヤードに残っていたとかか…?)


ブツブツとウィルが考えをまとめるためにつぶやいている。


その時だった、数名の魔族の影がピクリと別の方に反応した。


「…!」


(間に合ったようだね)


ウィルの声と共に魔族の影はゆらりゆらりと道を反れて行く。


その方向は僕たちが来た方向だった。


(この短期間で、この魔力量か…。正直間に合うとは思わなかったんだけどね…)


ウィルはまたしても何かを考えているようにつぶやいた。


「どういう意味?」


(普通の子ではないと言う事だよ)


「普通の子ではない?」


(…いや、いずれ分かる事かも知れないね)


ウィルはそんな意味深な言葉を残し口を閉じた。


それから数秒後、全ての影がその場からいなくなった。


それを確認した僕達は、行動に移す。

遂にはウィルの隠している魔力の場所へと近付く事に成功した。

そこは、とても大きな大樹だった。

天然都市を形成している5本の大樹には劣るものの凛としてそこに存在している。


(少し待ってくれるかい?)


そう言葉を残し、ウィルはぶつぶつと何かを唱えだした。


きっと何か魔法によって、魔力を感知されないように最大限抑えていたのだろう。

魔力を感知できない僕たちにはわからない事だけど。


(よし、僕の入ってる宝石をかざしてくれないか?)


僕は、キリヤードからウィルの入った宝石を外し、その大樹に向かい宝石をかざした。


「……」


終わったのだろうか?

僕では何も感じない。


(終わったよ。行こうか)


「え…あ、うん」


終わったらしい。


変な音楽と共に【ウィルの魔力を手に入れた】というテロップはやり過ぎにしても、ピカーっと光ったりする演出とかはないものなのだろうか…。

少し質素過ぎる気がしないでもない。


「……クラサ?」


僕はクラサが宝石を呆然と見つめているのが気になった。


「どうしたの?」


「え…あの…よくは分からないんですけど…宝石に引っ張られる感覚が…」


もう一度、僕はウィルの入っている宝石を確認する。

だけど、僕にはそれを感じる事は出来なかった。


それは多分、この剣の持ち主はクラサだからだ。


…それはもう分かっている。

分かった上で、承知の上で僕は僕のわがままを突き通さなければならない…。


「…戻りましょう」


僕の表情で僕の考えを読み取ったのだろうか、少しぎこちない音程でクラサはそう口にした。


そうだ。

今はそんな事を考えている場合ではない。


僕はクラサに抱いている罪悪感を心の奥に仕舞い込んだ。


ふっかーつ!(二重の意味で)

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