兄妹
第69回!
「君はウィーネの何なの?」
「兄妹だよ」
「え…?」
兄妹…。
それはどういう意味だろう。
人類皆兄弟的な意味なのだろうか。
それとも、精霊族は一つの大精霊から生み出されているとか?
単純に兄妹?
…二人は雰囲気からしても全然似てないない。
腹違いの兄妹とか…?
いや…養子という線もある。
そもそも、精霊族の子孫繁栄システムってどうなっているんだろう。
「この世界の精霊族って、どうやって生み出されるの?」
「人間と変わらないんじゃない?よくしらないけど」
まぁ、そうだよね…こんな子供に聞く質問ではなかったかもしれない。
「ウィーネと、えっと君は…」
「ギュレンだけど?」
「ギュレン…うん。あ、僕はユウタ、宜しくね」
相手に名乗らせて自分は名乗らないのは失礼だ。
僕は礼儀的な挨拶をしておいた。
「別にいいよ。そういうの…で?」
そっぽを向くギュレン。
意外と恥ずかしがりなのだろうか。
怖いイメージがあっただけに、そのギャップに少しかわいく思ってしまう。
「何だよ…」
ギロリとにらまれてしまう。
おっと、まずい…。
僕は質問を続けることにした。
「ウィーネとギュレンは、本当の兄妹なの?」
「そう聞いてる。会ったのは初めてだけど」
多分、父上と言っていた大精霊からだろう。
初めて会ったのには、何か複雑な理由でもあるのだろうか…。
普通に考えたら、このギュレンは火の性質、ウィーネは水の性質。
それが兄妹ということは…。
「…帰る」
僕がそんな事を考えている間に、ギュレンは踵を返し、宿の前から去ろうとしていた。
「ウィーネに会わなくていいの?」
ついそんな言葉が出てしまう。
「苦手なんだよ。あいつ…」
どういう意味なんだろうか、やはり火と水だから性格的に合わないという事なんだろうか。
ギュレンと名乗った少年はそのまま姿を消した。
焦ることはないだろう。
あの少年はまたウィーネに会いに来るはずだ。
またその時に少しずつ情報を引き出そう。
今回で、ギュレンから色々と情報は得られた。
やはり、この世界も大精霊が居るようだ。
後は、時の大精霊の存在・所在を確かめて、時の大精霊に会ってキリヤードをあの時間軸に戻してもらって…。
その後は…。
その後はどうするんだろう。
あっちの世界での雫の身体は朽ち果てている。
ウィルの予想の範囲内だけど、それは確実なのかもしれない。
なら、一緒にあちらの世界に戻るには、魂を入れる器を用意するしかない。
漫画とか、物語によくある…ホムンクルスとか…?
「……」
なんだか頭が痛くなってきた。
やる事が多すぎる。
ただ分かる事は、一歩ずつでも前に進まなければ、雫と会えなくなってしまう事だった。
僕は腰につけたキリヤードに触れる。
―それがあなたの戦う理由だからです―
クラサの言葉が頭をよぎる。
優しい気持ちと、勇ましい気持ちが交差する。
僕は顔を上げ、ゆっくりと一歩を踏みしめ前へと歩き始めた。
雫さん復活への道は険しい。




