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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第三章~天然都市・ファンノン~
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決意

第64回!


だが、それでも僕は諦める事なんて出来るわけがなかった。


雫とした約束だって果たせていない。

それに、この世界に来て、僕は彼女に守って貰ってばかりだった。

僕は彼女に、何もしてあげられていないのだ。


例え、この世界の最上級魔法使いに諦めろと言われようとも。


僕は…。


(…諦めるつもりはないようだね)


僕の表情からか、ウィルは僕の気持ちを察してくれたようだった。


「…はい」


(忘れた方が楽かもしれないよ?)


「…それでも…いや、忘れるくらいなら死んだ方がましです」


はっきりと気持ちを言葉にした。


(そうか…苦しい旅になるだろうね)


この先の僕の未来でも見ているのだろうか。

ウィルは寂しそうな声でそんな事をつぶやいた。


そこで、雫の話は一旦終わりとなった。


次に大精霊の話となる。

ウィルも大精霊とは会った事がないのだという。

実際にその存在も文献などでは確認されていない。


(私の研究の対象ではなかったからね…申し訳ない)


何か情報が得られるかと思ったのだがそう簡単にはいかないようだった。


だけども、いないという確証もない。

そこはやはり精霊、または精霊族と出会い話をするしかないということだ。


ウィルとの会話が終わる頃には日も傾き始めていた。

簡単な夕食の用意をし、僕達は夕食をとる事にした。

明日は日が昇る頃には出発する予定だ。

なので、今日は早めに休む事になった。

かといって野宿と言う事もあり、見張りは必要となる。


慣れているというヒリナが買って出てくれたが、ここは男である僕の出番だろう。

何より、主戦力であるヒリナが消耗していたらいざという時に困るのだ。


それに…今晩は寝れそうになかったのが本音だったりする。


―――その少女の事は忘れたほうが良いね―――


ウィルが言ったあの言葉が頭からこびり付いて離れなかった。


忘れられるわけがない…。


パチパチと音を立て燃え盛る火を見つめ考えに浸っていると。


「隣良いですか?」


と、テントで寝ているはずのクラサが声をかけてきた。


「うん」


「ありがとうございます」


その返事を聞いたクラサは僕の隣に腰掛けた。


「二人は?」


「はい、ウィーネはいつも朝が早かった見たいで、もう寝てます。ヒリナも後で見張りを交代する気で居たので既に寝ていますね」


正直、明日も何時間も歩く予定なので、貫徹なのは辛かった。

だから、ヒリナの気持ちは素直に嬉しかった。


「交代の時にちゃんとお礼言わなきゃね」


「…そうですね」


なんだか、少しクラサの様子がおかしい気がする。

なんというか…。

元気がないような…?


「クラサは大丈夫?」


僕はそれとなく聞いてみる事にした。


「あ、はい。今日は全然歩いていなかったので。まだまだ大丈夫です」


「そっか」


体の調子ではないようだ。

もしかしたらキリヤードの事で話があったのかもしれない。


「…もしかして、キリヤードの事?」


「…え?」


「違った?」


「いえ…それもありますね…。」


「それも…?」


「はい、シズクの事で…」


そうだった、雫の事で気を病んでいるのは僕だけじゃない。

クラサは自分の不用意な言葉でシズクを失わせたと思っているのだ。


自分の事ばかりで、そこまで考えが至らなかった自分が少し恥ずかしかった。


僕は、クラサの為にも諦めるわけにはいかなかったのだ。


「大丈夫。今は無いって話なだけだから…見つければ良いだけの事なんだよ…」


見つけられるか分からない。

もしかしたら、ずっと見つからないのかも知れない。


「…そうですね。ちゃんと最後まで見届けますから」


そう口にしたクラサの目には強い意志が感じられた。

多分、この先一人だったら、その道のりに心細く折れてしまうかもしれなかった。

でも、こうしてちゃんと見てくれる人が居てくれるのなら折れるわけにはいかない…。


「…ありがとう」


何度この少女の言葉に救われた事か。

何度目かのお礼の言葉を僕は少女に伝えた。

人間の心は弱いので!!

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