経緯
第63回!
普通に戻った森を抜けるのは容易かった。
半日もかけて彷徨った森を、僕達は出ることに成功したのだ。
「やっと出られた!」
一番最初に森から駆け出したヒリナは、太陽の光を浴び気持ち良さそうに背伸びをした。
それにつられ、僕も背伸びをしてしまう。
すると、クラサもウィーネもつられたように伸びをしていた。
なんだか面白い光景である。
周りに少数の人が見受けられ、僕達の事を不思議そうに見つめ過ぎ去っていく。
(いや~すまなかったね)
すると、ウィルが一言謝って来た。
「身を守るためですから、仕方ないですよ。それに、キリヤードが導いたんですし」
僕がフォローを入れると。
(そう言って貰えると助かるよ)
そう返してくれた。
クラサもヒリナもウィーネも森で時間をくった事はあまり気にしていないようだ。
ここからファンノンまでまだまだ時間がかかる。
それまで村もないようなので今夜は野宿だ。
女性三人を野宿にさせてしまうのは申し訳ないけど、彼女達そんなのはあまり気にしていないようだ。
この世界では当たり前の事なのだろうか。
僕たちは野宿するに適した場所を探しつつ、先に進むことにした。
ポツリポツリと、商人達だろうか。
野宿の準備をしている人たちが目立ってきた。
が、やはり女性の姿は滅多にみないような気がした。
「私達もそろそろ野宿の準備をしましょうか」
クラサがそう言葉を僕達にかけた。
まだ日は傾いていない。
その言葉に則り、僕達は野宿の準備を始めた。
テントを張る係、火を起こすために木を集める係りと分かれる。
水の確保もしておきたいところだけど、その点は大気からウィーネが水を練り上げる事が出来る。
一日程度なら問題は無いと思う。
水場を探しても良いがやはり避けるべき難所である。
水場は生き物が集まる場所。
モンスターも然りである。
このメンバーならモンスターに遅れを取ることはない。
…が、用心に越したことはないだろう。
テントを張る係は、僕とウィーネ。
焚き火する木を集める係りは、クラサとヒリナが担当する事になった。
戦力的に考えて、この配役が妥当だと思う。
テントの設置し、焚き火の木を集めも何事もなくすんなりと終わり、夕食までの間、僕達はウィルにこれまであった旅の経緯を話す事にした。
(―――面白い事になっているね)
話し終えた時、ウィルはそんな風に言っていた。
面白いかはさておき。
僕がウィルに話したのは、僕が違う世界の人間ということ。
そこでクラサと出会い、元の世界で一緒だった大切な少女がキリヤードに入ってしまった事。
ウィーネが精霊族である事、そのウィーネを縛っていた契約書。
その縛りからウィーネを解き放つ為に剣に宿った少女が消えてしまった事。
そして、グランモールであった魔族の事、今の状況を打破するために、知識のある大精霊に話を聞くために、ある部族の元に向かっている事だ。
(初めに、君がここに来たのは落雷による転移だろうね)
大雑把な感想の後に、ウィルが自分の見解を述べだした。
(君とその少女、シズクは違う形でこの世界に召還されたものだろう)
「違う形?…つまり?」
(君と違い、少女の体は既に朽ち、魂だけが移転していると言う事さ)
「…っ!」
予想はしていた。
だが、はっきりそれを口にされると心が鷲掴みにされるように痛かった。
(すまないね。だが、はっきりしておく必要があるからね)
「…はい…」
(続けて言うよ、その少女の事は忘れたほうが良いね。どうにもならないよ)
続けさまに、ウィルは僕の心を抉る言葉を繋げた。
「…何故ですか?」
(僕達の身には荷が勝ち過ぎている)
最上級魔法使いの彼が言うのだ…。
魔法があるこの世界の人間でも無理な事なのだろう。
僕の希望が打ち崩された瞬間だった。
事実とは無情なりぃ…!




