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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第一章~異世界移転と神殺しの剣~
6/76

協力

第6回!


「違うんだ!」


僕は慌てて否定した。

いや、否定など意味がないほど、見たままの状況だったんだけども…

その…少女の変態をみるような目だけは納得できない。


「何がですか…?」


怪訝そうな表情で少女が答える。


あ…れ…?

言葉が分かる…。

気絶する前は、何を言っているか分からなかったのに…。


「その…返してもらっても良いですか…?」


「え?」


あ、このナイフの事かな…。

でも…この中には…小野さんが居る。

渡したくないのが本音だけど…。

ちゃんと説明してみようか…?

いや…説明した所で、自分達でもこの状況をちゃんと理解できていないのだ、ちゃんと理解して貰えるのだろうか。


「気絶してる時も離してくれなかったので……ずっと目が覚めるのを待っていました」


やろうと思えば、手を切り落とすことも出来ただろうに。

ここまで運んでくれたばかりか、ずっと待っててくれたらしい。

もしかしたら、話を聴いてくれるかもしれない。


「聞いていますか?」


余程、大切なものなのだろう。

早く返して欲しそうにそわそわとしている。


「…その前に聞いて良いかな?」


「なんですか?」


何を聞く?何を言えば良いんだ…。

混乱した僕が発した言葉は…。


「助けて欲しいんだ」


助けを求める言葉だった。


「は…い…?」


―――僕は少女に、この世界に来た現状を分かる範囲で説明した。


少女は…少し考えてから。


「その衣服は…こちらでは見受けられませんね…。それに魔物の多い森で軽装だったのも頷けます」


「…うん」


「魔法…でしょうか…。モノや人を移動させる魔法…聞いた事はあるけど…」


…魔物や魔法。

この少女はその単語を普通に使っている。

と、いう事は、あるのだろう。ここには魔法というものが。

それなら、それを使いこなす事が出来れば、もしかしたらこの僕達の問題も解決できるかもしれない!


「それに…魂が武器に混入してしまうだなんて…でも、この剣だからこそ…」


ぼそぼそと最後の方は聞き取れなかった。


「…そうですね、私も助けて頂きました。その人の魂を元に戻して、あなたを転移して貰える様手伝います。」


「あ…ありがとう!」


僕は全力でお礼を述べた。


ここで一つ分かった事がある。

小野さんの声はこの少女には聞こえないという事。

だから、先程の僕と小野さんの会話は聞こえていなく、僕が独り言をしゃべっていると思われていたのだ。


「いえ…今の状態だと私も困りますので…あ、お名前を聞いても大丈夫ですか?」


川本(かわもと) 雄太(ゆうた)…で、このナイフに入ってるのが小野(おの) (しずく)


小野おの しずくです)


きっと姿が見える状態なら、小さく頭を下げながら挨拶をしただろう。

少女に彼女の声は聞こえてないだろうに律儀である。


「カワモト・ユウタとオノ・シズク…ファーストネームはどっち?」


「雄太と雫かな…?」


「はい。分かりました。私はクラサ。剣の番人をしています」


剣の番人…?


「剣って、このナイフみたいのが…?」


「はい、そのユウタが持っている剣は、『神殺しの剣』と呼ばれています」


「神殺し…?」


「はい、神を唯一殺せる剣として言い伝えられている剣です。」


(えっ…えっ…)


小野さんが混乱している。

いやいや、僕だって混乱してるよ…


だって、神だよ?話が大きくなりすぎてる。

でも、魔法がありえるのなら、神もありえるのかなぁ…ありえそうだなぁ…。


「今はそんな状態ですが、来るべき時がくれば、剣の姿を現すそうです。…私はその剣をある場所に運ぶ役目を受け、こうして旅をしています」


「それって、森での出来事と関係してたりする?」


だとしたら結構ヤバイ品物かもしれない。


「…狙う者は多いでしょうね…。神の天敵となりえるもの…ですからね。」


神を守るもの、神を倒したいもの両方から狙われるという形だろうか。


「私としては…あなた方に迷惑をかけたくはないのですが…」


そう…僕達も逃げられない。

僕達の理由もこの剣なのだ…。

そういう奴らから、命を狙われるのは同じというわけだ。


「でも、何で君みたいな子が…?」


(うん…もっと強そうな人でもいいと思うけど…)


小野さんが僕の意見に同意する。

確かに、もっと強そうな人でもいいはずだ。

別に、仲間が殺され、怯え、腰を抜かしていたこんな少女に任せなくても…。


「どういう意味ですか?」


むぅ…っとした顔で僕を見つめる少女。

今までも散々言われてきたのだろう。

明らかに機嫌を悪くしている。


これ以上は突っ込まない方が懸命かもしれない。


「えっと…これから宜しく…」


(えへへ、よろしくね)


むすっとした表情のまま、少女は口を開く


「…はい、宜しくお願いします」


こうして、僕達はこの世界の少女・クラサの協力を得る事が出来た。

戦える戦力が欲しいところ…。

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