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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第二章~首都・グランモール~
55/76

感謝

第55回!


僕達は、天然都市ファンノンへと向かう。


魔法都市とは位置が異なり、僕達が来た森からは、首都グランモールを軸にしてL字に曲がる形の進行となる。

そこで僕たちはグランモールからの手紙を渡し、天然都市ファンノンの長の協力を仰ぐ算段だ。


天然都市。

この名前からは、どんな都市かは想像もつかない。

やっぱり、名前から察するに自然がいっぱいの都市なのだろうか…。


「……」


…それは…都市と呼べるのだろうか。

つい自分の思考にそんな突っ込みをしてしまう。


そんな複雑な思考を持ちながら、僕たちは街道をてくてくと歩いていく。


首都を出た頃は、出店が並んで賑わっていたが、数十分も歩くころにはその姿はなくなっていた。

こちら側は森が深いようで少し薄気味悪い。

たまにすれ違う商人は、傭兵のような人数人雇っているのが目に見えた。


「この道は、結構モンスターが出るの」


僕がそういう人を気にしていたのが分かったのか、ヒリナが声をかけてきた。


「あ、そうなんだ…?もしかして結構強いの?」


「ん~…そうね…私からしたら雑魚だけど…」


相当腕に自身があるのだろう。

雑魚という言葉が飛び出してきた。


さすが、首都の師団長様である。


「一般人からしたら強いかも知れないわね」


すみません。一般人で。


「……あ」


なるほど…。


僕はそこである事に気がついてしまった。


「ここを通るから、ヒリナはついてきてくれたって事?」


僕の推測に。


「…ま、まぁ…?息抜きもしたかったし?」


空いている手で髪をいじりながら、少し照れたように答えた。


「はは、ありがとう」


僕はその気遣いに嬉しくなり、ちゃんとお礼を述べておく。


「どうしたんですか?」


すると、クラサとウィーネが僕たちの会話に入ってくる。


「あぁ、ヒリナがついてきてくれたのは、この道が危ないって知ってたからなんだよ」


僕がヒリナが付いてきた理由を二人に説明すると、二人も納得したようで、それぞれにお礼を述べた。

すると、照れの頂点に達したヒリナは顔を真っ赤にして。


「いいから!もういいから!!」


と、手をぶんぶんと振っていた。

その感じがヒリナという人となりを十分に表していた。


そんな出来事もありながら、僕達は先へと進んでいく。

夜に近づき、周りが暗くなる頃、僕達は中間地点とも言える村へとたどり着いた。


モンスターに一度も鉢合わせする事無く。


「私必要なかったかなぁ…」


そんな風にちょっと落ち込むヒリナ。

皆にお礼を言われてやる気を出していた分、余計に脱力を感じているのだろう。


「そんな事無いです!ヒリナちゃんが要るだけで、安心して歩けました!」


そんなヒリナを必死にフォローするクラサ。

それに必死に頷くウィーネ。


なんだか平和な世界だなと思いました。


村に辿り着いた僕達は、宿へ向かい部屋を取る。

今回は二部屋。

グランモールで支度金も頂いたので余裕で二部屋取れた。

クラサ・ウィーネ・ヒリナで一部屋。

僕で、一部屋。これで二部屋だ。


これまで一緒の部屋だっただけに、ちょっと寂しい気持ちはあるにはあるけど…。

今までがちょっとおかしかっただけなのだ。


部屋に入り、久しぶりに一人になれた時間を利用し、僕はこれからの事を考え始めた。


まず、雫の事だ。

小物置き台に置いた剣をとり眺める。


「…雫?」


呼びかけるがやはり反応が無い。


ため息をつき、僕は剣を小物置き台の上に戻した。


ファンノンへ行き、長に協力を仰ぎ、精霊と強い結びつきのある部族を介して精霊達の協力を得る。

その時、精霊に時間の巻き戻し方を聞く、もしくは時を司る精霊の居場所を聞く事だ。

僕としては、前者・後者、両方大事な事ではあるが、特に後者の方に重点を置かなければならない。


本当にうまくいくのだろうか?

とても現実的な話ではない。

…が、今はこれに縋るしかない。


自分を強く持とうとすればするほど、つかみ所のない焦燥感は消えなかった。

重苦しい雰囲気にため息が止まらなかった。


…すると、隣からは笑い声が聞こえてきた。

あの三人の部屋からだろう。


その声を聞き、僕は優しい気分になっている事に気付いた。

もし、一人でいたのなら、ずっとこんな感じでずっと悩んでいたかも知れない。


僕はこれまでの旅が、一人ではなかった事に感謝した。


落ちた肉まんにぃ感謝ぁ~☆

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