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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第二章~首都・グランモール~
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第53回!


「精霊族…だと!?」


発言した僕と、状況の分かっていないウィーネ以外の皆が驚いていた。

ただ、精霊族とはいえウィーネだと魔力が小さすぎる。

あの場で大臣が狙われたのは良い証拠だ。


「精霊にも、強い弱いってあると思う。大精霊クラスが居るとしたら、人間の最上級魔法使いに引けは取らないと思うんだけど…」


「確かにそうだが…」


僕の意見に、魔法使いの彼も少し考える。


「説明しましたよね?」


すると、僕に意見してきたのは、クラサだった。

少し怒ったような表情で僕を見つめてくる。


覚えている。

精霊族は優しい種族で人間族に利用される事が多かった。

だから、人間族と精霊族を切り離したという事。


「うん…覚えてるよ」


「一つ間違えばもう一度神の怒りに合う可能性もあります…」


クラサは真剣に僕の顔を見て忠告する。


「それに…」


ちらりとウィーネを見る。

クラサはウィーネの心配をしているのだろう。

ウィーネが精霊族と知れば、心無い人間がまた利用しようと近づいてくるかも知れない。


「それに、精霊族に会う方法も分かっちゃいない。たまに姿をみるヤツも居ると言うが…噂程度だ」


その続きを魔法使いの少年が続けた。

クラサが言いたかった内容とは違うものだったけど。


「大丈夫。怒りは買わないと思う。僕たちは、精霊族を利用するんじゃない、協力を得るんだから」


「協力…」


クラサが僕の言葉に反応する。


「うん、魔族が悪魔になったらこの世界はどうなるか分からない。それは精霊族にとっても困る事なんじゃないかな?」


そういうと、皆なんとか納得してくれたようだった。

だが、神の怒りを買わない言うのは『おそらく』の範囲内だ。

しかし、その前に僕達は現実問題として、魔族をなんとかしなければならないのだ。

それが皆を納得させる決め手となった。


そうは言ったものの、精霊族に会う方法についてはノープランだ。

ウィーネが精霊族とバラす気も僕にはない。

どうしたら…。


「そういえば…」


そう切り出したのは騎士団長だった。


「天然都市ファンノンの片隅の集落には、精霊族と強い繋がりがある部族が居るって話を聞いたことがあるな」


おぼろげな記憶なのか、体格とは比例せず少し自身なげに答えた。


「あぁ、それなら俺も知っている。だが、あそこは不可侵な地域だ。近づくものを良しとされていない。協力してくれるかどうか…」


思い出したのか、魔法使いの彼もその話の続きを話してくれた。


「なるほど…だが、あそこは特別な場所と言われているようでな…。神に守られた集落と言われている。天然都市には話を通す事は出来るが…」


君主が気を利かせてくれた。

話を通してもらえるのはとてもありがたい。


こうして、次の目的地が決まった。

僕・クラサ・ウィーネの三人は明日の朝、天然都市ファンノンへと旅立つ。


魔法使いの彼は、デンゼルの様子が気になるようで案の定、僕らの制止を聞かず、僕達との話が終わると魔法都市へと戻っていった。

彼曰く、現在は魔力も残り少なく狙われる可能性は普通の人間と変わらないらしい。


安心できる内容ではなかったが、彼の強い要望に負けた形となった。



―――その夜。


クラサが僕の部屋へと来ていた。

一人でこの大きな部屋に居るのはなぜか落ち着かないので、なんだか助かった気持ちになる。


ウィーネは早めに寝たようだ。

これも朝早く起きていた、彼女の習慣の一つのようなものなのだろうか。


「…実は、あの場では言えなかったけど、二つ打算があったんだよね」


この場で、僕はクラサにだけは打ち明けておきたい事があった。

今まで一緒に旅をしてきてくれた、この少女にだけはちゃんと方針を伝えておきたい。


「なんですか?」


椅子に腰掛けているクラサがベットに居る僕を不思議そうに見ている。


「一つ目はね、最上級魔法使いの知識を上回る精霊族に会えるかもしれないという事。時を戻す魔法の方法が分かるかもしれない。もしくは、それに属する精霊に会えるかもしれないって事」


「…確かに、長年生きている精霊族なら、最上級魔法使いの上を行く知識を蓄えている可能性があります」


「うん。二つ目はね」


これは少し言うのを躊躇った。

この城内に来るとき「二人と一緒に居たいから」と言ってくれたウィーネにも悪い気がしたから。


「…なんですか?」


クラサは、躊躇った僕の目をジッと見つめてくる。


「…うん、二つ目は、精霊族との繋がりを許されている部族なら、精霊族であるウィーネを暖かく迎えてくれると思うんだ。僕たちと一緒に居ると、きっとこれからもいっぱい怖い目に合わせてしまうかもしれない。ウィーネがそれを良しとしたとしても…僕はこの世界の人間じゃない。いつか元の世界に帰る事になるかもしれない。なら…早めに別れておく方がお互いにとって良いんじゃないかなって…」


静かに僕の話を聞いていたクラサは、少し寂しそうな顔で。


「そうですね…なんだか、少し…寂しいです」


と、口にした。

それは、ウィーネと離れる事がだろうか。

それとも、僕の言葉にだろうか…。

だが、その意図は分からず。


少し重い空気が部屋を取巻いていた。


「…そろそろ帰りますね」


すると、クラサはそう言いながら立ち上がった。


「うん、聞いてくれてありがとう」


「いえ…」


苦笑とも呼べる笑顔でを浮かべながらドアの方へと歩いていく。

僕は部屋のドアまで見送りをする事にした。

クラサとウィーネの部屋は正面に位置している。

部屋を出ればすぐ自分の部屋に帰れる。


すると、ドアに手をかけ、こちらを見ながらクラサはある言葉を口にした。


「あなたは、神が怖くないのですか?」


そんな一言を。


「…怖いよ?僕なんて一瞬で消されちゃうかもしれない。でも、進むしかない。望むものを手に入れたければ前へ…進むしかないから」


そんな僕の言葉に、クラサは目を見開いた。


そして…。


「ふふ…なんだか貴方の手に神殺しの剣がある理由わけが、分かった気がします」


クラサはそんな冗談言って笑った。

3つ目の都市現る…自然都市ってどんな都市だよ!(自らの突っ込み)

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