打開
第52回!
壊滅…?
僕たちは、騎士団員の言葉に耳を疑った。
それに一番驚いていたのは魔法使いの彼だった。
「嘘だろ…?」
ふらふらとした足取りで、騎士団員に近づき、その甲冑を掴む。
「どういう事だ!!!」
「え…えっと…」
いきなりの奇行に戸惑う騎士団員に、騎士団長は言葉を投げた。
「説明してやれ」
「は、はい。今より半日前、何かの集団に襲われ、驚くべき速さで壊滅したと…」
半日前…?
それは、僕たちがあの女性のようなものに襲撃されたのと同じ時刻だろう。
「それは、女性の形をしていた?」
「は…はい。そう伝令は受けております」
僕が質問すると、思った通りの言葉が返ってきた。
一気に魔力を手に入れる為に、魔法都市を襲撃したのだろう。
「…婆さん…いや、デンゼルの長はどうなった…?」
イトキが続けて騎士団員へと質問を交わす。
「…確認しておりません」
「……」
最悪、二人目の最上級魔法使いも魔力を奪われている可能性がある。
だとしたら、魔族であるあの女性本体はどれだけの魔力を集めたのだろうか。
「う…おえっ…」
魔力により血液を失った上に、この最悪の報告は、彼の心に多大な負担をかけたようだった。
嘔吐しながら、イトキは倒れこんでしまった。
「イトキ…!?」
―――再び、魔法使いの彼はベットで眠ってもらっている。
「この状態ではキリヤードの量産化もままならんな…この状態でキリヤードを持って出向くのは危険か」
僕たちは、壊滅したと思われる魔法都市へ向かう事を躊躇していた。
本来の目的であるキリヤードの研究・量産化が今の魔法都市の状況で進められるわけがないからだ。
そして、真の力が分からないが、魔族に唯一対抗出来るかもしれないキリヤードを失うのは、避けた方が良いと言うのがこの都市の見解のようだ。
「ですが…イトキが起きれば、私達の制止も聞かず飛び出すと思います。キリヤードを持っていくかは不明ですが」
そう口にしたのは騎士の少女だった。
僕たちとしても、魔法都市の長に会えなければ、魔法都市に行く意味はない。
だが、今現在。
あの女性の本体は魔力を集める事に行動を費やしている。
「あの女性は魔力を狙っていました。なら魔力がない僕たちなら安全なのでは…?」
「いや…」
僕の意見を否定したのは、いつの間にか目を覚ました魔法使いの彼だった。
「魔力は、血から生成される…。時間はかなりかかるが…人の血があれば魔力は作れるんだ。魔法使いは、すぐに魔法に変換出来るように身体の血液を魔力に変換してある。そして、魔法使いの大半はデンゼルに居る…それを一掃したのなら、次は…魔力のないものを襲う可能性もある」
ゴクリと、喉を鳴らしてしまう。
僕はあの気配を思い出していた。
ピタリと背中に憑かれ命を握られている感触を。
「それでは、あれに対抗する術はないのか…?」
君主が次に魔法使いの彼へと質問をした。
「あれは純粋な魔力で作った影だ。魔力で打ち消すしかない…。だが、相手は最上級魔法使いの最高純度の魔力を所持した魔族だ…。俺の魔力では歯が立たなかった」
彼は、握った拳を見つめ、ギリッと歯軋りをした。
自分の力不足に苛立ちを隠せないようだ。
果たして、キリヤードでも通用するものなのだろうか…。
雫が居たとしても、キリヤードを使って僕の一生を捧げたとしても、あれには敵う気がしなかった。
すると…。
「宝石があれば…」
クラサがそう呟いた。
「キリヤードに装着出来る宝石があれば、魔族に対抗できるかも知れません」
それは希望的観測だった。
「伝承の上ものだろう?どこにあるかは分かっているのか…?」
案の定、魔法使いの彼に指摘され。
「それは…分かりません」
クラサは黙るしかなかった。
しかし、魔族も伝承上のものだった。
それが存在しているという事は、キリヤードの本当の力を出せる宝石も存在している事になる。
だが、その場所が分からないのでは意味はない。
下を向いたクラサをウィーネは慰めようと、クラサの服をぎゅっと握った。
それに気付いたクラサはそんなウィーネに大丈夫と、笑顔を向けた。
待てよ…?
ウィーネ…?
RPGの世界での、精霊はすごい魔力を秘めてた気がする…?
なら…。
「精霊族に力を借りるのは?」
僕は一つの打開策を提示した。
争奪も何もなく争奪編終わっちゃいましたね!(ぉぃ)
二章サブタイトル変えますか…(震え声)




