覚醒
第5回です!
気が付くと…僕は…。
ベットの上に寝転がっていた。
「ん…」
目覚めが悪い…。
そんな目覚めを振り払うかのように、身体を起こそうとすると、一気に身体に脱力感が襲ってきた。
「…あ…れ…?」
何これ…すごい疲れてる。
高熱で、身体が動かなくなった時があるけど、あれぐらいの脱力感だ。
僕は起き上がることなく、その場でへたり込んでしまった。
それでも幸い思考能力に衰えはない。
何処だ…ここは。
僕は情報を求める為に、いう事を聞かない身体の代わりに視線をさまよわせた。
木材で出来た屋根。
デザイナーズな家の作りではなく、昔ながらの民家に似ている感じだ。
いや…民家でもないな…木が剥き出しで、そもそも丸太を組み合わせたような…。
なんというか…昔のゲームのRPGをリアルにしたような作りだ。
そこで、小さなため息をつく。
多分…まだ、僕は現実には帰っていないのだろう。
実感として、なんとなしにここは自分の居た世界ではないと感じ取っていた。
平気で刃を向け戦う人たち、大柄な狼。
僕が居た世界じゃ…いや、例外はあるかもしれないけど…まずありえない。
「…ん。」
小さな吐息が聞こえる。
僕の右手のあたりに椅子に腰掛け、ベットを机代わりにした居眠り状態の外国風の少女が居た。
うまい例えが思い浮かばなかったが、大体そんな感じである。
えっと…これは…
看病フラグかな?
すみません。ゲーム脳で…。
結構その手のゲームはやり込んでまして。
確か、この子にナイフを借りて…。
厳格に言えば奪い取ったのだが…。
ともかく、そのナイフが光って…。
じゃない…。
その前に…小野さんの声が…!
「ナイフ!」
僕はガバッ!とベットから起き上がる。
脱力感で、へなっとしそうな身体を立て直す。
「…っ!ぁ…。」
疲れている場合じゃない…。
僕は覚束ないような動きでキョロキョロと周りを見回す。
「小野さん?」
声をかけてみる。
…すると。
(…川本君?)
返事があった。
「何処?」
結構近い位置で声があった気がする。
(右手…)
「え…?」
僕の手にはあのナイフが握られていた。
(ずっと、握ったまま、離してくれなくて…その…嬉しかったよ?)
いや…照れてる場合ではないです。
あなたこの状況わかってます?
手を繋いで離してくれなかったみたいに語るのとでは全然違いますからね?
とりあえず。
「何でナイフなの?」
僕はありのままの思った事を口にした。
(…分からない)
あー…ですよね…。
(…あの日ね。…川本君に…告白されて、嬉しくて、うなずいて…落雷にあって…)
あの日の事を思い出すように一つずつ口にしていく小野さん。
(気が付いたら、暗闇で…話し声は聞こえるんだけど、呼びかけても誰も答えてくれなくて…。)
気が付いたのは僕と同じぐらいだろうか。
(そしたら、何かと何か…鉄のような硬いものが打ち合う音がして…)
声が暗くなっていく。
「ごめん、もう大丈夫。大体把握できたから。ありがとう」
つまり、最初からこの状態のようだ。
そして、僕と再会して、僕がナイフを握ったら光を放ったのだろう…。
「小野さんは…光の後…覚えてる?」
(うん…なんかね…ビームが出てた…)
「は?!え?!どういう事?!ビーム!?え!?剣先からってこと?!」
(うん…そのビームが大きな狼を貫通して、そしたら…蒸発…?ううん無数の光の玉になって消えて…)
無数の光の玉…?良く分からない表現だけど…。
「えっと…それは見えてたの?」
(うん…川本君に触れて貰ってからは…えっと、その…うん///)
何で照れてるんだろう…。
とりあえず…。
「無事で良かった」
安心した。
いや…無事ではないのだろうけど…。
ナイフなんだけども…。
(うん、ありがとう。川本君も)
僕がうっとり、ナイフを眺めていると…。
さっきまで、居眠りをしていた外国風の少女が、とても気持ち悪いものを見てしまったような顔でこちらを見ていた。
やっとキャラ同士での会話が出来ました!
楽しいですね!