同盟
第46回!
その申し出に、君主は少し考えた後。
「それが本当であるという証拠はあるのかね?」
そう口にした。
「こちらとしても、早急に対処しなければならぬ事態なのは理解出来る。しかし、信じるに足りる証拠が不十分。こちらも、守るべきものがあるのでな…慎重にならねばならない」
すると、イトキはある一枚の紙を取り出した。
「この契約書。これには、デンゼルの長の署名がされている」
それは、ウィーネを苦しめた、あの契約書だった。
僕はチラリと、ウィーネを見る。
あれはウィーネの心の傷だ。
あまり見せたくはないものだ。
僕は、少し気を病み、ウィーネの頭をポンと手をやる。
それに気付いたウィーネは、ニコリと笑ってくれた。
しかし…契約書は最上級魔術師が考案し、練り上げたもので、最上級魔術師ならば解けるものだとクラサから聞いている。
最上級魔法使いが使用したところで相手の説得には使えるものではないだろう。
「しかしながら、それはそちらには意味がないものであろう?」
君主もそれは分かっているようで、それを指摘した。
「いや、この契約書は特別製。三人の最上級魔法使いの間で契約を交わす時のみに使われる契約書だ」
三人の最上級魔法使いが交わす時にのみ使われる契約書。
それは最上級魔法使いが個々で解けては意味がない。
「なるほど…そういう事か」
「察しの通り。この契約書には、三人の最上級魔法使いの魔力が込められている。これを解く事が出来るものは、神をおいてないだろう」
それがどんなものかは、魔力を感知できない僕には分からないが。
最上級魔法使いの魔力を抑えるために、雫を失った僕にとっても忌むべきものだ。
それ以上のモノがまだ存在する事に少し怒りを覚えた。
「署名の確認をさせて頂きたい」
君主はそう言葉を発すると、彼の一番近くに居た騎士の少女、ヒリナへと目配りをする。
それを受け取った彼女は、彼に近付き、その契約書を受け取る。
そして、君主の元へと踵を返し、僕達の間を通り過ぎると、まずは君主の横に居た大臣風の男に契約書を手渡した。
大臣風の男が契約書を開き、手を翳し、それを確認する。
その行動から察するに、大臣風の男は魔法の心得があるようだ。
「た、確かに…」
その声は少し震えていた。
顔色も少し青いものとなっている。
そこから察するにそれほどの品物なのだろう。
「…署名の方をご確認下さい」
魔力を確認した後に、君主へと契約書の署名の確認をお願いする。
「ふむ…確かにそのようだな」
「信じて貰えたようで何よりだ」
「仕方あるまい…ここまでされたのであれば、こちらも敬意を表さなければな」
そう言うと、一人の騎士に羽ペンとインクを持ってこさせた。
この君主は、騎士達の主君に相応しい人間のようだ。
そこにサインを終える。
そして、その署名が本物である事を確認して貰う為にもう一度、彼の元に契約書を戻した。
「確認した」
そう告げると、もう一度契約書を手渡し、それを君主の元へと戻す。
ここでようやく、都市同士の同盟契約は完了したようだった。
物語とは生き物っすなぁ…(言い訳)
うねうね動きます(遠い目)




