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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第二章~首都・グランモール~
42/76

覚悟

第42回!


クラサは少女の言葉に対し。


「いいえ」


とはっきり答えた。


一瞬でピリッとした緊張感が、僕たちの辺りの空気を包み込む。


「これが、最終警告なんだけど?」


「はい、わかっています。…ただ。お願いがあります」


「…お願い?」


「…はい」


ジッっと、お互いの心の内を探り合っているのか、二人は見つめ合う。


「……とりあえず、話してみて。それを叶えるかは聞いてから考えるから」


「ありがとうございます。あの…ですね」


「うん?」


「キリヤードを手に入れたいと言う、あなた方の権力者に会わせてください」


結構驚くべき事を言ったのはずだが、目の前の少女は落ち着いる。


「何故?」


一言、そう告げた。

その視線・声の性質は今までと違い、とても冷たいものだった。

これが本来の、主君を守る騎士としての彼女の姿だろうか。


「……その方の真意を確かめます」


そんな彼女にクラサも少しとまどったものの、目を反らす事無く言葉を交わす。


「……論外です」


少女は目を瞑り、クラサのお願いを切って捨てた。


「え…?」


「貴方が持っている、キリヤードはどんな力を持っているか分からない状態です。我が主君に近付けると思いますか?」


言葉遣いすらも変わっていた。

さっきまでの彼女は、あくまでも友達として『お願い』に来ていたのだろう。


「……」


「それに、会っても変わりません。我が主君はこの首都を守るために動いている。どんな事を言われても意見を変える事はないかと思われます」


少女は、冷静に、冷酷に、淡々と、事実を言い放つ。


「私のせいで……」


「?」


膝の上にある右手で左手を握り締め、クラサは自分の罪を吐露した。


「……私のせいでね……。私の安易な憶測のせいで、この人の大切な人が消えてしまったの……」


途切れ途切れ。

それは、自分の頭の中に浮かぶ言葉を口にしたようだった。

今までのクラサとは違い、幼い印象を感じる。

これが、本当のクラサなのだろうか。


「私は、自分の使命も大事だけど……あの剣はユウタの希望でもあるから……渡したくない」


昨日、クラサが少女の申し出を最初に断ったとき。

僕の事を一瞬、見た。

きっと……この事を気にしていたのだろう。


「話が見えません」


あくまで冷静に、少女はクラサへと言葉を放つ。

そんな少女へ、クラサは僕達が出会い、旅をしてきた経緯を話した。




「―――そうですか」


少女はまず、そうつぶやいた。


「あたかも信じられない話ですが…私はクラサを信じています」


「ヒリナちゃん…」


これが本来、クラサが少女を呼んでいた呼び方なんだろう。


「どうしたら良いかなぁ~…」


ここで、少女の口調が前に戻った。


「クラサのお願いは聞いてあげたいけど…。あーもぉ…」


少女は、頭を手でかきながら考えを捻り出そうとしている。


そんな姿に僕は笑ってしまった。


「…何?」


そんな僕を、少女はジロリと睨む。


「いや…ごめん、良い人だなって思って」


「別に…?友達の事なんだから当たり前でしょ?」


「あはっ」


「…笑わないっ…!」


ムスッっとしながらソッポを向く少女。


「君はさ、クラサが君の君主に刃を向けると思う?」


「……思わないけど」


「なら、会うくらい良いと思うけど…?」


「考えを変えるとは思えない」


「それはどうだろう…?新しい話し合いって、新しい意見を生む場だと僕は思うよ?一緒に考えれば、きっと新しい可能性に気付くと思う」


きっと、騎士団員、部下では、君主にものを申せる立場ではないだろう。

だが、僕たちは違う所から来た人間だ。

なら、そこから生まれる意見もあるだろう。


「……」


少し考える少女。


「確かに今の意見は、この都市の凝り固まった意見なのかもしれない。……でも、主君の前に出るということは、一つ間違えば命の保障は出来ないけど、それでもいいの?」


少女は僕たちに確認を取ってくる。


僕は、クラサとウィーネを順に見る。

二人とも覚悟は決まっているようだ。


「うん、腹は決まってるよ」


「そう…分かった」


諦めたように、そうつぶやく少女。


「ヒリナちゃん…!」


「えへへ、その呼び方懐かしい」


クラサに向かい、人懐っこい笑顔を見せる少女。


「…うん」


それに対し、クラサは少し照れている。


少女は、改めて僕たちを見回す。


そして…。


「案内します。主君の下へ」


僕たちと君主への面会を約束してくれた。

さて…どうなることやら…

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