決裂
第39回!
「久しぶりね」
彼がいなくなるのを確認すると、少女は剣を鞘へとしまい僕たちへと近づき、挨拶を交わしてきた。
そこで倒れている騎士達とは出で立ちが異なる少女。
重苦しい兜や甲冑を装着していない。
だが、騎士と分かる服装である。
騎士の礼服みたいなものなのだろうか。
「はい…お久しぶりです。ヒリナ…」
クラサは警戒しながらも返事を返す。
『そいつも神殺しの剣を狙っているぞ』
そう…。
彼が残した言葉、それが僕の脳内にもこびりついている。
警戒するのが当たり前だろう。
「も~硬いなぁ」
そういうと、ヒリナと呼ばれた少女は、ポンポンとクラサの方を叩き。
「昔みたいに呼んでよ」
と、困ったように笑顔を見せた。
そんな彼女を、クラサはじっと観察するように見つめる。
「…あいつめ…ホント余計な事を…」
少女はボソリとそんな事を口にする。
その事から察するに、この少女は本音が隠せない性格のようだ。
「えっとね…。白状すると、クラサをここへ呼んだのは騎士命令。理由は、あいつが言ったうように、神殺しの剣を手に入れるため」
頭を掻きながら説明する少女。
「…そうですか…」
悲しそうに、クラサはつぶやいた。
『色んな権力者が、その剣を欲している』
彼はそんな事も言っていた。
ならば、騎士団長が欲しているのだろうか…?いや、騎士団の上にはもっと騎士団が仕える人間がいる。
この都市のトップだろう。
「でもね!会いたかったのは本当だよ?今だって会えて、すっごく嬉しいんだから!…って信じられないか…」
本気で訴える様子から、最後は苦笑する少女。
ころころと表情が変わる。
「いえ、それは私も嬉しかったので」
そんな少女に苦笑にも似た笑顔を見せるクラサ。
「良かった♪」
仲直り…なのかな?
でも、根本的な事が解決していない。
水を差すべきではないのかもしれない。
だけど、ここははっきりさせておく必要があるだろう。
「君は、敵なの?味方なの?」
僕が質問すると、少女は僕に顔を向ける。
「…貴方は?」
少女はクラサに向ける表情とは少し違った表情を僕に見せた。
今日二度目の質問である。
「僕はユウタ、この子はウィーネ。クラサと一緒に旅をしてる」
前回はクラサが答えてくれたが、今回は僕がしっかりと答えた。
僕はクラサの味方だという意思表示として。
「…そう」
僕の意思表示が通じたかは分からないが、少女はそうつぶやいた。
「それで…君は、敵なの?味方なの?」
僕は質問を重複させた。
「…そう…ね。神殺しの剣を渡してくれないのであれば、奪うしかない。敵になると思う」
少し言いにくそうに、少女はそれを口にした。
「……」
クラサは少し暗い顔をしたが、ここははっきりさせておかなければならない。
頼れる人間か、頼れない人間か。
僕たちの戦力を考えると、そこははっきりさせておかないと致命傷になる。
ただでさえ、戦力として、絶望的なものである。
「だからね…渡してほしい」
少女はそう懇願した。
「ダメです…」
それをクラサは即座に断った。
「なんで!?この都市の騎士団を敵に回す気なの?!」
「それが、私の使命だからです…」
チラリとクラサは僕を見る。
そこにどんな意味があるか分からないが、強い意志をしっかり感じた。
「……そう」
その答えに、少女は唇を噛み、無言で目を伏せた。
交渉決裂。
またしても、先ほどのように戦闘が始まる。
……かと思ったが。
ヒリナはスッと僕達を通り過ぎると、倒れている騎士団員へと近づいた。
「明日、宿屋に迎えに行くから…もう一度だけ…考え直して」
視線は騎士団員へと落とし、僕たちを視界に入れず、そう口にした。
「……」
ここで争っても、僕たちに勝ち目はない。
少女もここで争う気はないようだ。
僕たちは、その言葉に甘え、その場を後にした。
表通りに戻って来たが、露天のざわめきは変わらない。
なんだか、そのざわめきが先ほどの楽しいものではなく、ただ騒がしいだけのものに感じた。
「行きましょうか」
クラサは苦笑しながら僕へと行動を促す。
「…うん」
僕たちは、重い足取りで宿屋へと向かった。
そろそろ二文字題名苦しくなってきました(ぉぃ




