再会
第36回!
首都・グランモール。
街の外でも市が立っており、すごく賑やかな街だ。
喧騒の中、僕達は街へと向かう。
クラサが言っていた通り、すぐに騎士団員と思われる鎧を装着した人達を見る事が出来た。
中世っぽい鎧が格好良い。
少し、装備してみたくなる。
騎士団員は騒動に対処すべく、常に何十名かが見回っているようだ。
高い壁に囲まれた街の入り口に入ると、外以上にガヤガヤと市場は賑わいを見せた。
楽しそうな祭りのような雰囲気が当たりを包み込んでいる。
なんだかこちらまで、ウキウキするような感覚だ。
「まずは、宿屋を探しましょうか」
日も落ちかけて、薄暗くなって来ている。
「うん、そうだね」
僕らは入り口付近にある案内地図を頼りに、街の中心に向かい足を進めた。
街の中心に向かうにつれ、人は多くなっていくだろう。
これは迷子になったら大変だ。
僕は、ウィーネに手を差し伸べた。
「?」
「ここからは、手を繋ごうか」
「…何で?」
首を傾けるウィーネ。
「お互いに、離れ離れになったら大変だからね」
僕がそういうと、ウィーネは素直に僕の手を握る。
「クラサとも手を握ってあげて?」
僕はそう促す。
ウィーネは素直にクラサの手を握った。
「ふふ」
その姿を見たクラサは嬉しそうにその手を握り返した。
宿屋へと続く道を歩きながら、クラサは街に無数に開かれている露天について説明してくれた。
「商品を売るには、騎士団にお金を払う必要があるんですよ。場所の代金ですね。その代わりに、騎士団の名に懸けて商人たちを守るという規約をしています」
「あの魔法の契約書で?」
「いえ…必要ないみたいです。騎士団は忠義に熱い人が選定されます。裏切るようであれば自ら命を絶つ覚悟で志願している話しです」
「話?」
「あ…はい、私も幼馴染の子に聞いた話なので」
「あ、って言う事は、会う子は騎士団の人なの?」
「はい。…ですが、もう5年は会っていませんが」
そう言いながら、苦笑するクラサ。
何か複雑な理由でもあるのだろうか。
「じゃあ、その子に会うのも、かなり久しぶりなんだね。会ってすぐ分かる?」
「そうですね、確かに少し戸惑ってしまうかもしれません」
そうやって歩いていると、一層喧騒が強まった。
なんだろう…。
「てめぇ!ふざけるなよ!?」
いきなり雷のような大声が聞こえてきた。
一瞬ビクリとしてしまう。
その方向を見ると、どうやら喧嘩のようだった。
誰も厄介ごとに首を突っ込みたくないのか、誰もその場を諌めようとしない。
確かに、僕も他人の喧嘩には口を挟みたくない。
誰もが騎士団員の到着を待っているようだ。
「そんなニセモノを売りつけようとするのが悪いんだよ」
「あぁ?!」
商人をますます煽る若い男。
そう言うと、若い男は露天を背にし、こちらに向かい歩を進めてくる。
集まっていた野次馬も関わりたくないのか、彼を中心に道を空ける。
「待ちやがれ!」
商人の男はかなり頭に血が上っているのか、その若い男を追いかけ、肩を掴もうとした。
その瞬間。
バチッという音が聞こえ、一瞬の光が放たれた後に、商人の男は来た方向へと吹き飛ばされた。
そのまま商人の男は自分がしていた露天へと突っ込んだ。
「ぐあっ!」
痛々しい音と共に、商人は自ら売っていた商品に埋もれ、意識を失ったようだった。
なんだろう…一瞬光ったような。
電気に触れたような…。
「こっちか!」
すると、やっと騎士団員が現れたようだった。
僕らの反対方面、数百メートル先の方から数名の騎士団員が野次馬を掻き分け、僕達の方に近づいてくる。
そんな騎士団員の姿を見つけた若い男は、ため息をつき。
こちらに向かい逃げてきた。
僕達に気付くと、若い男は驚いた表情をし、一瞬笑みを浮かべクラサの前で立ち止まった。
「…久しぶりだな」
「え…?」
クラサは目を大きくし、びっくりした様子だ。
新手のナンパか…?
いや…もしかして、こいつがさっき言ってた幼馴染の可能性も…?
でも…。幼馴染の子は、騎士団員だったはずじゃ?
僕はこの若い男について考察していると。
「待てっ!」
騎士団員の姿は百メートルにまで近づいていた。
「あ~…仕方ないか」
そう呟くと、若い男はクラサの身体をヒョイっと持ち上げた。
「は!?」
僕は驚愕する。
な、なんだ!この男はっ!!!
「えっ!?えっ!?」
驚くクラサを担いだまま若い男は僕達が来た方向へと走り出した。
「ちょ!!」
僕も突然の事過ぎて、動けないでいた。
…しかし。
ウィーネは瞬時に水の弾を煉りだしていた。
え!?水の弾!?
攻撃する気なの!?
僕が止めるのよりも早く、ウィーネは水の弾を数発、容赦なくあの若い男へと撃ち放った。
クラサには当たらない角度、主に足を狙っているようだ。
直撃コースだ…!
だが、直撃するかと思われた水弾は、またしてもバチンバチンという音と、一瞬の光と共に消え去ってしまった。
「!!」
それを見たウィーネは即座に次の弾を用意する。
しかし、ウィーネが次の弾を用意した頃には、あの若い男はこの街の区切りである壁を曲がり、その姿を消した。
その早業を見る限り、戦いなれている事は明白だった。
騎士団員が、僕達の横をすり抜け、その若い男を追いかけていく。
僕達は一瞬のうちにクラサを連れて行かれてしまった。
よくさらわれる子ですね…!




