旅路
第35回!
チュンチュンと、鳥が囀る(さえず)早朝。
僕達はその村を旅立つ事になった。
お世話になった、宿屋の亭主にお礼を言い。
『また泊まりに来ます』と約束すると、その宿屋を後にした。
「いこっか」
「はい」「うん!」
僕達は未来に向けて足を踏み出した。
今回は僕が荷物を持っている。
前回は、力の入らない状態で苦汁を飲まされたが…!
クラサは、半分持つ事と言ってくれたが、僕が断った。
ウィーネの手前、カッコつけたかったのも本音である。
食い下がるクラサに、前回一人で持ってくれたから今回は僕が持つ番だと、平等性を主張すると。
クラサは渋々といった形で、今回は僕に持たせてくれた。
村を出てすぐ、次の街へと続く山道を歩いていると。
とことこと歩いていたが、ウィーネが少し話されると、ててて…と小走りで追いつく素振りが気になった。
歩幅の問題だろうか。
懸命に追いつこうとするウィーネも可愛いのだが、僕は歩調を緩めた。
僕の歩調が遅くなったのに、クラサも気がついたのか、それに合わせてゆっくり歩いてくれた。
出来るだけ、急ぎたいのは山々だが、今急いでも何にもならない。
焦りは失敗に繋がる可能性もある。
「次は、首都と呼ばれる街です。首都・グランモールそこでやっと半分ですね」
すると、クラサが次の目的地の説明をしてくれた。
そのせいだろうか、今までより山道を歩く人の数が多いのは。
「太陽の街と呼ばれそこで有名なのが騎士団です。インペリアル・グランナイツ。王を守る騎士団長の元、10名の師団長が居て、その下に何百人の騎士が所属しています」
「へぇ…それは見てみたいかも」
やっぱり首都ともなると、騎士団とかあるんだ…。
なんていうか、中二心をそそられるなぁ…。
「街に入ったら、すぐに見れると思います。ですが、少し避けたい町でもあります……」
「どうして?」
「はい…それだけ大きい街ですと、私達を狙う者も潜んでいる可能性があるので…」
あ…なるほど。
確かにそういう危険性もあるのか…。
「…ですが、そこである人と合う約束をしていて」
クラサは、僕が眠っている時に、その人と手紙でやり取りをしていたようだ。
その目が優しいものとなっていたので。
「恋人?」
と僕は質問してみた。
「こいびと…?」
一瞬言葉意味が分からなかったようで言葉を繰り返し、その後言葉を理解したクラサは。
「ち、ちちちちち違いますっ!」
そう言いながら、顔を真っ赤にし、手を前にすると全力で否定してきた。
珍しい…クラサがこんなに取り乱すなんて…。
「じゃあ、好きな人?」
僕はもう少しからかってみる。
「違いますっ!」
プイッっとそっぽを向かれてしまう。
クラサもそういう年齢なのだろう。
そういえば、年齢とか聞いてなかったな。
それどころか、僕はクラサとは必要最低限の話しかしていない気がする。
「クラサは、何歳なの?」
気になってしまったので、僕は聞いてみた。
「え…?何ですか?いきなり」
「歳、何歳なのかなって?」
「15ですが…。えっと、ユウタは…?」
クラサも言われて気になったのだろう。
「そうなんだ?僕は19歳だよ、雫も一緒」
「そうですか…」
やっぱり今、雫の話題は場を暗くしてしまうようだ。
「ウィーネは?」
僕はウィーネに話を振ってみた。
「分からない…」
うっ…そうですよね。
気がついたら、この状態と言っていたのだから、覚えているわけがない。
「えっと…」
僕は他の話題を搾り出した。
「その人は、クラサと同い年なの?」
「はい、幼馴染ですね…。幼少の時を一緒にしました」
「へぇ~…」
少し嬉しそうに語るクラサ。
相当仲が良かったのだろう。
「あと、二人ほど居るのですが、今連絡先が分かるのはその子だけで…」
それが、次の街に居るのか…。
「楽しみだね」
「はい。楽しみです」
本当に楽しみなのだろう、足取りも軽いものだった。
クラサの幼馴染なら、信用できる人物なのだろう。
その後も、僕達は他愛のない話しをしながら歩く。
街道から少し離れた場所の草を見つけ、これは薬草になるとか、道端の露天でモノを見たりとか。
そして、お昼は三人で宿屋で少し分けていただいた食事と、保存食を頬張る。
だけど、雫の事を頭から離した事はなかった。
本当なら4人で楽しんでいた時間だろう。
過去は変えられないかもしれない。
そんな未来が早く来るためにも、僕は…。
「もうすぐです」
そんな事を考えて歩いていた時だった。
クラサの声が聞こえた。
もう少しで、夕方に差し掛かるであろう時間帯だろうか。
日が遠くの山へと沈む頃。
僕達は、首都・グランモールへと辿りついた。
イオンモールじゃないよ…?グランモールだよ…?




