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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第一章~異世界移転と神殺しの剣~
30/76

本音

第30回!


それはとても悲しそうに見えた。


彼女に拒否権などはない。


従うしかないのだ。

自分の命を守る為にも…。


「……君はどうしたい?」


僕は、少女に質問した。

少女の意思を知りたい。


「…え?」


少女は、予想もしなかった質問に目を大きくした。


「どうして欲しい?」


続けて僕は強く質問する。


拒否権のない、そして決定権を持たない少女に向かい。


「…私には決める権利なんて…ない…」


苦しそうにそういうと、少女の腕が動きだした。


その手の照準が、僕へと向けられる。


ゆらりと、少女の右上にある水弾に反応が見られた。


僕は、あの時、泣きながら僕の怒りを止めてくれた、少女の優しさに賭けようと思う。


だから、真っ直ぐに少女を見つめた。


一向に照射されない水弾。


「…何で…?動かないの…?」


僕の行動に戸惑う少女の声。


僕はそんな少女に向かい。


「どうして、欲しい?」


もう一度、同じ質問をした。


今度はやさしく、少女の事を想って。


その言葉に、少女は涙を一粒零し…。


「……助けて」


涙と同じように、その一言だけを零した。


答えなんて決まっている。


「うん、僕が君を助ける」


途端、少女の目からはポロポロと涙が流れ落ちる。


浮いていた水弾も、少女の涙のように石造りの床へと零れ落ちた。


僕の言葉を聞き、少女は泣き崩れた。


「うぅ…っ」


そんな本音を漏らした少女の頭を撫でてあげたくて、僕は少女に近づこうとした。


その時だった。


途端に少女が苦しみだした。


「ぐっ…いっ…あぁぁあ…」


それに気付いたクラサが少女に向けて駆け出した。


僕もその異変に気付き、少女へと駆け寄る。


「キリヤードを!!!」


クラサの大きな声が部屋中に響き渡る。


その声に反応するように、僕はすぐさま、キリヤードを取り出した。


「私の言った事、覚えていますか?」


この家に来る前、宿屋から出た道で。

クラサはある可能性を話してくれた―――。


「少女も、ユウタも両方助かる可能性が一つだけあります」


「…え?」


「これも、憶測です。なので、完全に賭けとなってしまう事なのですが…」


歩を止めず、クラサは話してくれた。


「キリヤードは、ユウタだけではなく、私やその他の人の魔力も使えるかも知れないと言う事です」


「そうなの?」


「はい…。当初は、ユウタとシズクの関係が特別なものだからと思っていました。ですが、キリヤードの能力を考えるとシズクの気持ち次第で、他の人の魔力も運用出来るかも知れません」


(私の気持ち次第…)


シズクが不安そうにつぶやく。

そりゃそうだ。

自分次第で、他人の生死が決まるのだ。


「僕は、後悔しない」


そう告げる。

シズクの不安を取り除く為に。


(怖い…)


だが、そう簡単にぬぐいきれるものでもないらしい。


すると、クラサが僕の腰についているキリヤードに触れ。


「私も、後悔しません」


そう言葉をかけた。


(クラサちゃん…)


そうして、クラサはしばらく触れていた。


そんな二人に。


「本当に、分の悪い賭けだよね」


場を和ませるために、僕は軽い口を叩いた。


「はい…。ですが、これしかないかと…割に合いませんが…」


ジロリと僕を見つめるクラサ。


(あはは)


そんな僕達の冗談にシズクは笑みをこぼしてくれた。


そんなシズクの声に僕も笑みを零してしまう。


「私もシズクと話してみたいです」


羨ましそうに、クラサはそんな事を呟いた―――。



「キリヤードをこの子に、かざしてください!」


「うん!」


僕はキリヤードを刃と柄を両手の手のひらと親指の腹で持ち、少女へとかざした。


クラサはその僕の両手の間に手を差し入れ、キリヤードへと触れる。


「…準備は良いですか?」


クラサは僕へと顔を向ける。


「絶対助ける…!」


「はいっ…!」(うんっ…!)


「シズク!お願いしますっ!!」


クラサは、シズクへと呼びかける。


(うんっ!!)


その瞬間。


キリヤードから発せられた凄まじい光が、僕達を包み込んだ。


あれ…ハーレム系じゃないはずなのに、女性比率多い気がしてきた…(今更)

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