遭遇
第3回!
斬られた者達は一体何者なのだろう。
僕は斬られた人達に近づく事にした。
まだ助かる人が居るかもしれない。
「うっ…」
はっきりとその現場を視界に納めると、その無残さがよく分かる。
服を裂き、未だに肉から血液が流れ出ている。
その血液は血溜りを作り、円となって人の侵入を妨げるかのように広がっていた。
これは助からない。
医学に精通していなくても分かる程の惨劇だった。
血の匂いと、現場の状況が脳を刺激してくる。
口と鼻を自分の衣服で押さえ、その匂いの侵入を防ぐも、あまり意味のない行動かもしれない。
長居はしない方がいいだろう。
ここが何処か分からない。
だけど、この状況は理解できる。
ここは危険な場所だ。
ガサッ!
僕は物音に反応する。
やばい…さっきの人が戻ってきたのかもしれない。
ど、どうしよう。
正直、動く事が出来なかった。
きっと動いたら殺される。
そう感じていたから。
数秒待ってみたが、一向にその時はやってこない。
僕は勇気を振り絞り振り返る事にした。
……
………
誰も…いない?
気のせいだったか、それとも小動物だったとか?
しばらく注意深く回りを観察する。
異状はないようだ…。
もしかしたら…。
「小野…さん?」
彼女の名前を呼んでいた。
僕の姿を見たとして、出て来ないのはおかしいとは思うけど。
もしかしたら、この二人を殺したのが僕だと勘違いしているかもしれない。
(川本君…?)
声が…聞こえた。
はっきりと。あの子の声が。
「小野さん!」
無事だったんだ!
不安でいっぱいだった心が、安堵へと変わって行く。
だが、それでも小野さんは姿を現してくれない。
「小野さん!何処?」
僕は大声で叫んでしまっていた。
(分からない。暗くて…。何処だろう…ここ…。)
暗くて…?そんなに暗いだろうか?全然視界は開けているけど…。
もしかして、目を…?
なら…。
「声を出し続けて!探し出すから!」
(うん…ごめんね。ありがとう)
僕は声のする方へと歩き出す。
「あと少しかも!頑張って!」
(うん…!)
ここだ、ここから聞こえてくる。
僕は急いで草むらを掻き分けた。
だが、そこには。
知らない外国風の少女がそこに居た。
「…誰?」
思っていなかった事態が起こり。
突拍子のない意見が素のまま言葉となって出ていた。
「…※!□◇#△!」
その子は何語か分からない言葉を放ちながらで、持っていたナイフを抜き、僕に刃を向けてきた。
見た事もない衣装。
髪の長さは、ボブぐらいの長さだろうか…目の色はグリーン…その目には恐怖からか涙が溜まっていた。
きっとさっきの惨劇を目の当たりにしたのだろう。
「待って!お願い!」
僕は手を前にして降伏のポーズをとる。
「◎△$♪×¥●&%#!」
あちらもこちらの言葉が分からないのだろう。
震えながら、刃を下ろす気配はない。
(どうしたの…?!川本君?)
僕の様子にとまどった小野さんが話しかけてくる。
どうする?
僕は小野さんの所に行かなきゃいけないのに…。
震えてる女の子になら勝てるか…?
いや…刃物相手だぞ…?
一刺しでもされれば致命傷だ。
ガサッ!!
僕と少女は物音の方に目を見張る。
あ…。
そこに現れたのは狼のような獣だった。
初モンスター!