憶測
第28回!
村人達がざわついていく。
そんな中、この騒ぎに気付いたクラサが僕達に気付き、近づいてくる。
「何かあったんですか?」
そう問いかける。
ここで話してもいいのだけど、少しこのざわつきが気になった。
「宿屋で話そう」
こそりと、クラサに耳打ちをする。
こくりと頷いたクラサと共に、少女が残したいった水桶を手にすると、宿屋に戻った。
「で、何があったんですか?」
宿屋に戻ると、クラサが僕を問い詰めてきた。
「うん…実は…」―――。
―――「そんな事が…。」
クラサは僕の話を聞くと、少し考える素振りを見せた。
「それは…止めておいて正解でしたね」
「え…?」
クラサはそう口にした。
「確かに、一か八かの賭けだっただろうけど…」
「いえ…一か八かなんてものではないかと…確実に死んでいたと思います」
「え…?どうして…?」
僕はクラサに問いを投げかけた。
「…シズクに質問します」
(え…?私?)
僕の質問に対し、クラサは何故か雫に対し質問を振った。
「どんな気持ちでした?」
僕は、雫の答えを待つ。
(…うん。雄太君と同じように怒ってた…かな)
僕はその答えを聞くと、クラサに伝える。
「そうですか…それは、黒い感情ですか?」
(えっと…どうかな…でも…そうかも…)
クラサに雫の答えを伝えながら、僕は少し考えを巡らした。
黒い感情。
確かに、少女の事を考えてはいたものの、僕も相手に対して強い怒りの感情を持っていた。
それがいけない事だったのだろうか。
「多分、それでは死んでいたと思います」
「え…?」
(え…?)
雫と声がハモる。
「力は発動したと思います。ですが…きっと、何かを守る…ではなく、攻撃するという方向で」
「攻撃…」
「そうです…だから、きっと相手を倒せたとしても、、ユウタ自身も守れなかったはずです」
「……」
あの子が止めてくれなかったら…死んでいた…?
あの子はきっと、契約上の話をしていたのだろうけど…。
何はともあれ…僕はあの子に助けられたようだ。
「……話を続けますね…?」
クラサが僕に伺いを立ててくる。
「うん…」
今は話を聞こう。
「本来のキリヤードの力は意思によって、使い方も左右されます。持ち主は、宝石に篭った力をキリヤードに装着し、同調する事で、力を操ることが出来ます。攻撃したり、守ったりも。ですが…あなた達の場合は逆のようです…。どうやら、シズクの気持ちによって、ユウタが持っている魔力を使っている傾向があります」
「だから、僕がキリヤードを使ったら寝てしまうのか…」
「はい…ユウタの魔力を何日分か前借りしているのかもしれません…魔力の前借りなんて聞いた事ないですが…」
(つまり、私がちゃんと使いこなして、力を調整出切れば…それも解消される…)
雫がつぶやく。少し強張った声で。
「じゃあ、雫がキリヤードを使いこなせれば…?」
「はい…。ユウタは一週間も寝る必要はなくなる可能性はあります。ですが、これは現在伝えられているキリヤードの力から、今現在考えられる、もしもという憶測です…。ユウタの体への負担も変わらいと思います。なので、出来るだけ使わない事に越したことはないんですが…」
「うん…ありがとう心配してくれて」
僕は、まず心配してくれたクラサにお礼を言った。
そのお礼に、クラサは困ったように笑い…。
「それに、今回の件…。最上級の魔法使いの魔力から、自分を守る。それは…きっと…シズクの感情とは関係なく…ユウタの力をどれだけ使う事になるか分かりません…数十日…いえ…数百日…」
「なので…」とクラサは言葉を続け。
「勝算は低いどころか…今は、無いと考えた方が…」
と、目を反らし僕へと述べた。
死なないにしても、僕はずっと眠り続ける。
その間何も食べられない状態が続き。
僕は…そのまま。
それを想像し、僕は下を向いてしまう。
目線の先には、布を巻かれた左手があった。
昨日、クラサが教えてくれた事。
生きていると言う事。
少しだけど、この世界に生きている実感がわいた事。
今日、一緒に湖に行った少女事。
あの男の言葉やあの男が少女にした事。
そして、僕を止めてくれた少女。
色んな事が頭を駆け巡った。
僕は左手をギュッと握り締める。
その痛みは…もうなかった。
「……行こう」
僕は、そう口にした。
「…はい」
クラサは僕の言葉に、ただ頷いた。
きっと、時間が経てばもっと良い方法が思いつくかも知れない。クラサがいう力の入った宝石を手に入れられれば何とかなったかもしれない。
だが、それよりも…。
その間に受ける少女の苦痛を考えると、前回以上に動かずにはいられなかった。
段々キリヤードの能力の謎に近付いてきた気がしますね!




