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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第一章~異世界移転と神殺しの剣~
24/76

傷口

第24回!


―――数十分後。


ご飯を食べ終わった僕たちは部屋に居た。


お腹いっぱいすぎて気持ち悪くなり、僕はベットを占領させて頂いていた。


「食べすぎです」


くすくすと笑うクラサは、椅子に座っている。


その言葉を聞き僕は『少しがっつき過ぎたかも』と、恥かしさを覚える。


「胃薬も貰えたから…暫くすれば大丈夫だと思う…」


かなり苦い胃薬だったけど…。


「そうですか」


僕が薬を飲んでいた時の事を思い出してか、クラサはふふっと思い出し笑いをしながら答えた。


「それより…!」


僕はクラサの方に顔を向ける。


「…はい」


僕の表情をみて、クラサも真剣な話と察してくれたようだ。


「…色んな手を考えた結果。キリヤードの力に頼るしかなさそうなんだ」


「はい…わかっていました。それ以外に対抗する術はないかと、はっきり言って今のキリヤードでは勝算は低いですが…」


僕の意見に対し、クラサは目すぼめ、気まずそうに下を向いた。


「…多分、失敗すれば死ぬか、上手くいっても何十日かは目を覚まさない可能性がある」


そんなクラサに僕は予想を口にする。


「…はい」


「その時は…」


「嫌です」


僕が決断を言う前から、クラサは拒否した。


「…え?」


「置いていけ、と言うのでしょう?…言いましたよね?一緒に行くと」


少し声を荒げ、クラサは言葉を繋げる。


「これは私の決断でもあります。貴方達と進むと、私の決意を甘くみないでください」


珍しく、クラサは怒っていた。


「…ご、ごめん」


「あ…いえ、その…ごめんなさい」


怒った事への謝罪だろうか。

何についての謝罪かは分からなかったが、クラサは一緒に進むと言ってくれた。


「じゃあ、お願いしていいかな?その後の事は…」


「…・・・はい」


話は一段落ついた。


「あの…」


と思ったのだが、何故かクラサが言葉を繋げた。


「…?」


僕は再びクラサの声に耳を傾ける。


「…貴方は…」


一度言葉に詰り、もう一度最初から、クラサはその言葉を発音する。


「貴方は、死が怖くないのですか?」


いきなりだったので少しびっくりしてしまう。


だが、変に核心に触れられたような感覚だった。


「どういうこと?」


「…なんだか、軽い気がして…。自分の命だというのに…」


「……軽い…」


確かに、なんだかふわふわした感覚はある。

この世界に来た時、あの男に人が殺されたのを見た時、大柄な狼に襲われた時、ロッカさんが腕を切られた時。

確かに、恐怖はあった。

だけど、現実味がなくて、僕の居た世界とは違いすぎて。

何だかゲームの中のような、夢の中の出来事のような感覚だった。


もしかしたら、死ねば…元の世界に戻れるのかもという考えもある。


どう答えれば良いんだろう。


「…分からない」


僕はポツリと呟いた。


「…この世界は、僕が居た世界と違いすぎて、もしかしたら脳が混乱してるのかもしれない」


分からない、分からないからこそ、僕は本音を口にした。


「……」


すると、クラサは立ち上がり、僕が装着していたキリヤードを手にした。


(え…?)


雫がびっくりした声をあげる。


次に僕の手を取り…。


「ごめんなさい」と一言謝り。


刃で僕の左手の甲を横一筋に軽く切った。


「…っ!!」


ズキリと…痛みと共に、傷口から僕の血が流れだす。

そこから流れ落ちた鮮血がベットに一滴落ちシーツを赤く染めた。


「あ……」


僕から血が出ている…。

僕の血…。


「見てください。痛いですよね。貴方は生きています。この世界に生きているんです」


クラサは傷口を身ながら、はっきりと断言した。


僕は、目を閉じ左手の甲の痛みと血の流れを感じる。


「…うん。痛い」


そして、苦笑しながら、僕はクラサに笑いかけた。


それに対し、クラサも苦笑する。


「あ…すぐ手当てを…!」


と、言いながらキリヤードを僕の膝に置きクラサは僕から離れ、荷物の中から傷の手当用の道具を取り出す。


傷薬なのだろうか。

ビンのふちにつけ、液体状になったそれを布に付け。

まず、置かれていた水で血液をふき取ってから、傷薬のついた布を僕の傷口に押し当てる。


「っ…」


少し痛い。


「ごめんなさい。こうした方が分かりやすいと思って」


「…うん」


その傷はズキンズキン痛み、少し熱を持っている。

クラサがしてくれた、この心の薬は、確実に僕の心に響いていた。


最後に白い布を巻きつけて手当ては完了した。


「シーツ汚れちゃったね…」


「そうですね…少し汚れを落としてきます」


パタパタと、汚れたシーツを持ってクラサは部屋を出た。


(…雄太君?)


すると、雫が声をかけてきた。


「…まさか、切られるとは思わなかった」


素直な感想を言う。


(だね…でも、きっとこの世界じゃ、こういう事も普通なのかも)


…普通。

切られる事が普通。


「うん…」


僕は、ズキリズキリと脈だつ左手の甲を右手で覆い、その言葉を噛み締めた。


生きてるって何だろ生きてるってな~に?

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