約束
第17回!
気を取り直し、僕はクラサの持ってきてくれた、おかゆのようなご飯を、力の入らない何とか口に運ぶ…。
「…はふっ…もぐもぐ…」
急いで食べてしまったから、少し舌を火傷した。
……でも、おいしい。
何せ一週間…いや?ここに移転するまで僕は何も食べていなかった気がする。
口に広がる味を噛み締めた僕は、自分のお腹が相当減っていたのだと自覚した。
食欲が抑えられない。
つい、僕は目の前の食事にがっついてしまった。
「あつっ!」
木で作られたスプーンを、木で彫られたお皿の上に落としてしまう。
スプーンの柄がご飯についてしまった。
「あっ…!ダメですよ」
それを見兼ねたクラサが、僕の持っていたお皿ごとご飯を取りあげた。
「あ…」
食事を取り上げられた僕は、きっととても悲しそうな顔をしていただろう。
まるで躾の為に、途中で食事を取り上げられたペットのように。
そんな僕を横目に、クラサはスプーンの柄についたご飯を、白い布で拭い取り。
「そんなに急いで食べたら胃がびっくりしてしまいますよ?」
と、困ったような表情で怒っている。
確かにそうだけども…。
僕はしゅんとした顔をしていただろう。
その姿はまさに、ご主人様に怒られたペットである!
するとクラサは。
「はい、どうぞ」
ご飯の乗ったスプーンを僕の方へと差し伸べてきた。
僕は少し躊躇した。
これは、いわゆる「あーん」状態である。
僕はチラリと剣を意識する。
雫は何も答えてくれない。
「どうしたんですか?…私が食べちゃいますよ?」
うっ…。
意地悪なことを言われてしまう。
ご飯の為、ご飯の為…だからっ!
僕は、食欲に負け、スプーンの上のご飯を頂いてしまった。
少し冷まされたご飯がおいしい。
はぁ…しあわせ…!
次に運ばれてくるご飯を待っていると。
僕はある事に気付いてしまった。
クラサは次のご飯をすくい上げると、ふぅふぅと息を吹きかけ、ご飯を冷まし始めた。
な、な、なんだってぇ!?
さっきは、叱られたショックで下を向いて、そのシーンを見逃していたようだ。
え…これって浮気になる?
え…?これって…どうなの!?どうなの!?
アウトなの!?セーフなの!?
審議を確かめる為に、僕は剣を見つめる。
剣は依然として沈黙を保ったままである。
よし…後で土下座しよう。
僕は開き直り、罪悪感と共にご飯にかぶりついた。
―――数十分後。
食事を済ませた、僕のお腹はご満悦のようだ。
食事と共に何か大切なものを失った気がしますが…。
クラサは食器を片付ける為に、洗い場に行っているらしい。
僕はというと、ベットの上で、剣に向かい土下座した状態である。
「すみませんでしたぁ!!!」
僕の土下座に、雫さんは。
(…えっと、何?)
と不思議そうに答えた。
え…怒ってないの?
僕は勇気を出して、審議を確かめることにした。
「…さっきの、『あーん事件』の事です…」
『あーん事件』って!
自分の発言ながら、とても恥ずかしい命名である。
するとクラサは。
(仕方ないんじゃないかな?)
と、返してくれた。
「え…?怒ってないの?」
(怒るって…クラサちゃんに下心はないわけだし、親切でやってくれてるんだから…別に怒る必要ないかなって…)
正論です…正論ですとも!!!
(…雄太君も私を気にしててくれたし…)
雫は言葉を繋げる。
(…でもね、少し羨ましかったかな。)
そして、最後にとても寂しそうにそうつぶやいた。
「あ…」
最後に漏らした本音。
僕の心はズキリと痛んだ。
だから…
「約束!」
(え?)
「約束する!元の世界に返ったら、いっぱいそういう事しよう?」
(そういう事って……?)
え…?そこ返すの?!
「…恋人達がする普通の…?」
剣から目を逸らし、僕はごにょごにょと発言した。
(ふふ…あはは。…うん、ありがとう。約束ね)
その日、僕達は一つの約束を交わした。
前日休んだので、今日は2つあげたいです!




