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神殺しの剣―キリヤード―  作者: からあげ丸・イッシ
第一章~異世界移転と神殺しの剣~
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空腹

第16回!


すると、ギュルルルルルルとお腹がなる音がした。


感動の再会に水をさされた気分だ…。


まぁ…僕だよね。この場合。


自分のお腹をさすってみる。

一週間も寝ていたのだ。

水もご飯も飲まず食わずだっただろうに…それで良く生きていたものだと思う。


そう考えると、もっと体の脱力が強くなった気がする。


とりあえず食べるものが欲しい。

口の渇きは何故かないからだ。

僕は小野さんの入った剣を持ち上げる。


ズシリ…と手に負荷がかかる。


「あ…れ…?」


(…どうしたの?)


「小野さん…少し重くなった?」


(…っ!それ!ちょっと失礼だよ!?)


確かに…。

今の発言は女性に対したら失礼だったかもしれない。


「ご…ごめんっ」


でも、今まで感じてた倍の重さを感じたのだ。


あ…そうか…。

筋力も落ちているという事か…。

一週間寝たきりなら仕方ないかもしれない。


それでも、まずは何かお腹に入れなきゃ。

僕はフラフラとドアに近付く事にした。


すると…。


ガチャリとドアが開かれた。


「あ……」


「あ……」


声が重なり合う。


ドアから入ってきたのはクラサだった。


驚いた表情のクラサに、僕はとりあえず挨拶をしてみた。


「えっと、おはよう」


「…あ、おはようございます。…起きられたんですね。良かったです…」


言葉の最後にさしあたるにつれ、目を反らしながら、クラサは返事を返してくれた。


「…?」


頬も少し赤らめている。

どういう事なんだろう。


その瞬間またしても、僕のお腹が悲鳴をあげた。


グルルルルルルルル…


猛獣かよ…と自分でも突っ込みたいレベルの音を上げる。


「あ…まずはお食事、持ってきますね」


「うん…ありがとう、あと聞きたい事が…」


「それは後でゆっくり話しましょう」


そういうと、クラサは僕がベットに戻る手助けしてくれた後に「待っててくださいね」と言葉を残しドアから外へと出て行った。


一瞬前回の事を思い出したが、そうそう二回も同じようなことはないだろう。


それよりも…。

僕は手に持っていた小野さんに向かい口を開いた。


「…小野さん」


(…え?)


「何か…あった?」


(……)


小野さんは、何も答えてくれない。

あのクラサの反応は…何かあったとしか思えないんだけど。

そんな事を考えていると。


(…名前)


「え?」


(名前で呼んでくれるって言ったのに…)


あ…。つい癖でそう呼んでしまっていた。

気恥ずかしい思いでいっぱいの中、僕は名前を呼ぶ事にした。


「雫…」


「えへへ。…雄太…君」


雫も気恥ずかしいのか、何とか名前を言えたものの気恥ずかしさに負けて最後に「君」をつけてしまっている。


「…教えてください」


この気恥ずかしい雰囲気に耐え切れず、僕は会話の先を促した。


(あ…うん…えっとね、雄太君が倒れてから、ずっとクラサちゃんが介抱してくれてたんだよ)


そうつぶやく雫。


「えっと、どんな感じで…?」


想像したくないが…多分、そういう事だろう。

そういえば、僕の服装は、ここで出会った人たちのような服装になっている…。


(えっと…)


言いにくそうな雫の声を聞き。

僕の妄想は、確信へと変わってしまった。


「いや…いい!…聞かない事にする!」


事細かに聞くと、僕の心のダメージもでかくなりそうだ…。


何もなかった…。何もなかった…。何もなかった…。

僕はそう思う事にした。


丁度話が終わった頃に、ドアをノックした後にクラサがドアから現れた。


「お待たせしました」


湯気の立った食事を持ってきてくれたようだ。


ほんのりとおいしそうな良い香りがする。

やばい…涎が垂れそうだ。


そういえば、先程も疑問に思っていたが、水分をとっていないかったはずなのに、口の渇きがない…。

不思議だ。


クラサは、まず小物置き台に食事を置いた。


白くおかゆのようなものが僕の視界に移り、僕はそれに釘付けになってしまう。


すると…

ベットで腰を起こしている状態でいる僕のすぐ隣にクラサが座り込んだ。


「…え?」


戸惑う僕にお構いなしに、クラサはまず、白い布と水の入った急須きゅうすのようなものを手に取った。


「……あ」


そこでクラサも気付いたのか、あわあわとなってしまう。


「ごめんなさい!」


バッと、その場を立ち上がるクラサ。

少し水がベットにこぼれてしまった。


なるほど、そういう事か。

白い布はこぼれた水を拭くため、急須はちょっとずつ口の中に水を入れるため。


だが、少しずつしか与えられない水をずっと、口から僕に与えてくれてたのか。

人が一日に必要な最低水準は1日で2.5 リットルぐらいと聞く。

それを毎日、時間をかけてくれたのだろうか…?


「ううん…ずっと水を飲ませてくれてたんだ。ありがとう、助かった。」


僕は素直にお礼を述べると。


「…いえ、このくらいしか恩を返せなかったので…」


クラサは、苦笑しながら首を振り謙遜した。


ギュルルルルルルル…!!!!


おかゆのようなご飯を目の前に、僕のお腹は我慢の限界のようだ。

早く寄こせと、告訴せんとばかりに。


「あ、今すぐ…!」


クラサは再び僕の隣に座ろうとする。


「あ、大丈夫!自分で出来るから!」


それを僕は慌てて静止した。


「そうですか…?」


戸惑いながら、クラサは近くにあった椅子へと腰を下ろした。


食べさせてもらうとか、恥ずかしいってものじゃない!

っていうか、彼女が見ているのに、これ以上甘えたら恐ろしいことになりかねない。


チラリと僕は、雫の入っている剣を伺い見る。


その剣からは、表情なんて読み取る事も出来るはずもなく。


怒っているのか、傍観しているだけなのか分からない、無言を貫く雫さんがそこにいた。


なんだ…このラブコメ臭は…っ!

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