名前
第15回!
「「きっと、ユウタさんの心と、シズクさんの心が通った時に、力を発揮するんだと思います」」
その言葉を試すために、僕は瓦礫に向かい剣をかざした。
僕は少しでも小野さんの気持ちを感じられるように目を閉じ、小野さんに小声で話しかける。
「小野さん、聞こえる?」
(うん…)
「力を貸して欲しい…」
(うんっ…!)
心が通った時…と少女は言った。
だが…あの時、気持ちが通ったとは言えなかった…。
僕は生き延びることで精一杯だったからだ。
なら…きっと小野さんが鍵なのだろう。
小野さんの気持ちがあの光を生んだのなら…。
「……ここから脱出できたら、何かして欲しい事ってある?」
これって死亡フラグになるのかな…?
少し不安になる。
(え…?えっと……)
僕が長々と話していると男達がざわつき出した。
「あいつ、ぶつぶつと何を言ってるんだ?」
「詠唱ってやつじゃないのか…?」
「あいつ、魔法が使えるのか!?」
男達が変な解釈をしている。いや…ある意味では、間違ってはないのだろうけど…。
(えっとね…)
少しの沈黙の後、小野さんが言葉を繋げる。
(…名前で…呼んで欲しいな…って)
小野さんは、いきなりそんな事を言い出した。
「…っ…!」
(ダメ…かな?)
ダメなものか…良いに決まっている。
「…分かった。小野さんも僕を名前で呼んでくれるなら…」
交換条件だ。
自分だけ呼ぶなんて恥かしいし、不公平だ。
(あ……うんっ!)
条件は揃った、これで光が出なかったら本当に恥ずかしい事になるが…!
心は決まっている。
僕は目を見開き。しっかりと小野さんの入っている剣を見つめ。
大声で…
「好きだ!!!!雫ッ!!!!!!!」
もう一度彼女に告白をした。
(…っ!!)
雫の声が聞こえた瞬間、また眩い光と共に…僕はまたしても意識を無くした。―――
―――「…はっ!」
目が覚める。
またしても目覚めは悪い。
目覚めた僕は天井を見上げている状態だ。
今回は、木ではなく、石の作りの天井で、壁に備え付けられているランプの火がゆらゆらと揺れている。
指を動かしてみるが…やはり気だるさがあり、動きづらい。
「…成功したのか…」
一瞬だけど、安心してしまった。
他の皆は…?キョロキョロと周りを見回す。
今回は誰も、僕の近くには見受けられなかった。
僕は、むくりと上半身を起こす。
やはり、くらくらとし、力が入らない状態だ。
だが、前よりはましの状態だ。
これならすぐにでも歩けるかも知れない…。
二度目だから、身体が慣れていっているのだろうか…。
(あっ…起きたんだね!)
そんな僕に小野さんが声をかけてくれた。
ベット横の小物置き台に、小野さんの入った剣が鞘にしまわれた状態で置かれていた。
「あぁ…おはよう。成功したんだ…?」
(…うん)
「あれから、また一日まるまる寝てた?」
(……)
息を呑むような沈黙に続き、小野さんは発言した。
(…一週間)
「…え?」
一週間…?
僕は一週間も眠っていた…?
(うん…ずっと眠ってて…何度呼びかけても起きてくれなくて…ぐすっ…)
不安だったのだろう。小野さんは剣の中で泣いていた。
「ごめん…ありがとう…」
僕は剣に触れ、謝る事と、お礼を言うしかなかった。
恋愛要素回?




