試行
第14回!
洞窟内に地響きが鳴り響いた。
グラグラと周りの景色が揺れ始まる。
「?!」
地震…?
その揺れはすぐに収まった。
辺りに異変はなさそうだ…。
男達が額の冷や汗を拭いながら推測を言葉にする。
「ふぅ…ここを巣食うモンスターの仕業か?」
ここを巣食うモンスター。
出来れば出会わないで脱出したいものである。
再び、僕達は出口へと続く通路に向かって歩き出した。
するともう一度…。
地響きと共に、グラグラと揺れが起った。
今度のはさっきの揺れより数倍大きかった。
「くそっ…またか!何かに掴まれ!」
僕達は周りの洞窟の壁にしがみ付く形を取った。
「……」
「収まったか…?」
「なんなんだよ…まったく」
ぼやきながら僕達と数十人の男達はは出口の方に向かう。
すると…。
「あれ…?」
先頭の男から疑問の声が浮上した。
「こっちだよな…?」
先頭に追いついた僕達が見たものは、瓦礫で埋もれた出口に繋がる通路だった。
「ちっ…さっきの地震でこうなったのか…」
一刻を争う状況だと言うのに。
ロッカさんの様子を伺うと、やはり顔色が明らかに悪くなっている。
「どうする?」
瓦礫をどかしている時間はないだろう。
たいまつにも限りがある。
時間が経てば経つほど、ロッカさんだけじゃない僕達自身の生存の可能性も減っていくのだ。
どうしたらいいんだろう…。
別の洞窟を進んだ男達が「馬鹿でかい穴」と言っていた。
この地響きからも、相当でかいモンスターのはずだ。
そいつを利用して、この瓦礫の山にぶつける事はできるだろうか…?
しかし、ここまで道は一本だった。
それだと誰かが囮になり、モンスターを誘き寄せなければ成功しないだろう…。
誰かが犠牲になるなんて…あまり考えたくない。
それに、この広いそのモンスターを見つけられるのだろうか。それに掛かる時間は…?
地下のモンスターなら、地下に潜っている可能性もある。
「……」
それなら、その地下に潜っている穴から、地下から地上に出られる可能性はあるのだろうか。
いや…その穴も外まで続いている確証はない…。
それに、穴は無数に存在してそうだ。
周りを見てみると、みんな各々に考え、活路を見つけようとしている。
「ユウタ」
そんな中、クラサが話しかけてきた。
「?」
僕はクラサの方に顔を向ける。
たいまつの炎で、その整った顔がより際立つ。
「あの光は?あの光なら、あの瓦礫を吹き飛ばせるのでは…?」
あの光…クラサの言う光は、きっとそれは大柄の狼を倒した光だろう。
「…実はさっき、あの男に使おうと思ったんだけどダメだった」
僕がそう打ち明けると。
「…あの時ですか」
クラサ、ふむ…と考えだす。
「何か条件が違ったのかも知れませんね…」
「条件…?」
あの時の条件…?相手に向かって剣の刃を向けて…。
いや…条件は違いはあまりないはず…。
気持ちの問題…?
いや、僕の気持ちはどちらも同じようなものだった…。
なら…。
「小野さんか…?」
(…え?)
あの時…小野さんが何かつぶやいてた気がする。
「あの時、何かつぶやいてなかった?」
(えっ…えっと…ううん…?)
何か照れたような感じだ。
何かを隠しているのだろうか。
「じゃあ、何か感じなかった?」
僕は質問を変えてみた。
(えっとね…えっと…)
言いにくそうに小野さんは言葉を閉ざしてしまう。
乙女の心のうちを暴くようで、ちょっと気が引けたが…今は一刻も争う。
「ごめん…でも、今は言って欲しい」
(…川本君…うん、そうだよね、ごめん。恥かしがってる場合じゃないよね…えっとね。)
「うん」
(…温かかったの…)
「温かかった?」
(あとね、何か私の心に流れ込んできて…きっとあれは…)
少し躊躇してから、小野さんは口を開く。
(川本君の…心だと思う)
僕の…心?
(あ…変なこと言ったよね。ごめんなさい、でもそう感じて…)
どういう事だろう。
僕はあの時、大柄の狼に必死だった。
はっきり言って、小野さんの事に気なんて回ってなかったかもしれない。
「どうですか?」
僕が考え込んでいると、クラサが話しかけてきた。
「あの時、僕の心を感じたって…小野さんが…」
「心…ですか」
「うん」
クラサは少し考えた後、何かを決めたように口を開いた。
「…その剣、独特なデザインで、刃に穴が何個か開いてますよね?」
「…うん」
1・2・3…計3個の穴が刃に開いている。
失礼ながら、包丁の切れやすくする為に、穴を開けてるあれかと思ってた…。
「本来はそこにある宝石を入れることで、本当の力を解放するといわれています」
真剣な眼差しでクラサは説明してくれる。
「その宝石には、偉大な魂が入っていると言われていて…それをこの剣にはめ込む事でその魂が使っていた業が手に入ると言われています」
「きっと、ユウタさんの心と、シズクさんの心が通った時に、この剣は力を発揮するんだと思います」
あたかも信じられない絵空事のような事だった。
でも、クラサの目は真剣で。
それにあの光を見てしまった僕が否定など出切るはずがない。
それにしても…。
「どうして教えてくれたの?それって…大切な事なんじゃ?」
僕は素直な疑問をクラサにぶつけてみた。
そう、大切な情報だ。
この剣を本来扱う人間にだけ教えられるものではないだろうか。
「私は…ここで死ぬわけにはいかないので…それに…私は助けられたので何か形として返したいんです…」
クラサという少女から、僕は何か強い意志を感じた。
心を通じさせる…か…。よし。
僕は気合を入れ、瓦礫をどかそうとしていた男達に向かって大声で発言した。
「試したい事があります!!」
やっと二週間目!




