斬撃
第12回!
ロッカさんの問いかけに、犯人は…。
「そうだな…その女を返して貰って、この場を退いて貰えたら、命は助けてやるが?」
「この状況でまだ、そんな大口が叩けるとはな…恐れ入ったぜ」
ロッカさんは手を振り下ろし、男達に呼びかける。
「取り押さえてくれ」
その言葉を皮切りに5人の男達が犯人の男へと襲いかかる。
ザシュッ!ザシュ!
何が起こったのか…襲い掛かった5人の男達が胸や腕、足などに複数の傷を負って倒れている。
僕の位置からだと、よく見えなかった。
「ぐ…っ…」
「が…っ…」
その光景に目を見開いたロッカさんだったが、瞬時に判断し、この隙をつこうと踏み込んだ。
他の8人もロッカさんに合わせるように、犯人の男を目掛けて飛び出した。
ザシュッ!ザシュ!ザシュッ!
再び、肉を切り裂く音が何回も繰り広げられ。
各々に苦痛にゆがませ倒れる男達。
「っ…!ロッカさん!」
僕はロッカさんに近寄る。
「くそっ…つえぇ」
傷はそこまで酷くはなさそうだ。
手加減されたのが目に見えていた。
刃についた血を振り払いながら、犯人の男はロッカさんに言葉を放つ
「もう終わりか?」
先程は本当に不意打ちでうまい運びになったが、やはり力の差は大きいようだ。
「……くっ」
「分かったのなら、その女を渡せ。貴様等に恨みはない。」
本当に興味がないのだろう。
そう言い出すと、クラサに向かい歩み始める。
さっきの剣術を見てしまったからだろうか、力量を感じ、クラサを守っていた斬られていない男もジリリと一歩下がってしまう。
…が、それでもなお勇気を振り絞り。
「うおぉおおおお!」
持っていた、ハンマーで殴りかかった。
だが…
「ぐあぁっ…」
無残にも切り倒されてしまう。
こちらもまだ手を抜いているのか、死に至る傷じゃ無い事は明白だった。
「こい…」
ぐいっっと、クラサの手を縛っていたロープの切れ端を掴み、強引に引き寄せる。
「っ…!」
クラサは痛みに顔を歪ませた。
僕はナイフを取り出し両手で構える。
使うしかない。
あの技を……。
僕は犯人の男目掛けて狙いを定める。
どうやって出したのか分からない。
でも、あの時出たのだ。
やれない事はないはず。
だが……
「何で…」
その気配すら感じられなかった。
体力が戻ってないから?
理由は分からない…でも…。
「出ろよっ!」
僕の悲痛な叫びに…
犯人の男は僕の方へ顔を向ける。
すると…何かに気付いたのか、今までに無いように声を荒らげた。
「それは…!!」
クラサに興味がなくなったのか、ロープから手を離し、こちらに向かい歩いてくる。
「貴様が持っていたのか」
コツコツと近付く足音と犯人の男。
早く。早くあれを出さないと。
犯人から離れるように一歩ずつ下がりながら、僕は剣に念じ続ける。
出ろよ…!
出ろって…!
「逃げて!!」
クラサの声と共に、目の前に居た犯人の男が消えていた。
何処に…。
たいまつの火が僕の右上から照らしている…?
僕がそちらに顔を向けると。
あ…。
両手が切られる…。
そう感じた瞬間だった。
ドンッ!!!
前方から何かに押される感じがした。
そして…。
ザンッ!!!!!!
誰かの右手が、空中を舞った。
僕のじゃない…。
僕は押された力で、後方へとゴロゴロと転がる。
「ぐあぁああああああああ!!!」
その悲鳴を聞き、僕は無理矢理顔を上げた。
「ロッカ…さん…?」
僕の両手の代わりに斬られたのは、ロッカさんの右手だった。
やはり…男達では…無理だったか…。




