プロローグ
人間とはかけ離れた種族が住む“魔法界”。
魔法界は魔法使い、半魔獣半人間や半魔法使い半人間など多くの種が住んでいる。
魔法界の他にも魔界、天神界などが存在する。
多くの人間は天神界しかないと思いがちだ。
それはそうだ、魔法界、魔界の法令の一部で
『人間界の人種には知られてはいけない』
という法令があるのだから……
そんな私は訓練のため人間界へと降り立つ
***
ゴーンゴーンゴーン
「やばい!急がないと!」
魔法界にある優等生が通う魔法学校……色々な種族の子が通っている。
私もその種族のひとりでこの“魔法界魔界一強い魔法使い”だ。 2000年に1回行われる魔法界魔界トーナメントにて優勝を勝ち取ったため、強いらしいのだ…
「ふー間に合った!」
本当なら学校に通わなくてもいいのだが、私の意思で通っている、友達を作りたいと思っているからだ。
「リンジェ後でここ教えて!わからなくてね…」
私に声をかけたのは半人間半魔法使いの友達、生まれがもともと人間界であって魔力が少ない子だ。ちなみに私は半魔法使い半妖怪にあたる人種。魔法使いの力と妖怪の力があってかなりの魔力や体力もある。
「いいよ?後で教えてあげるよ?それより聞いた?今年度からの“人間界変装訓練”」
「聞いた!私自身あるなぁ〜!人間界育ちで良かった!あれって人間界でいうと10年でしょ?それも明日から……」
人間界変装訓練とは魔法界世界で100年間人間界で正体を隠して過ごすという訓練だ……正体が明らかになってしまうと強制終了となる。
「大変だよね……私大丈夫かな?」
「大丈夫大丈夫!だって魔法界1強いんだもん!自身持ちなさいって!」
確かにそうであるが、私ははっきりと言って正体を隠すのが苦手だ……それは私の“属性”が関係してあるからだ……
属性…一人一人が生まれてすぐに使える魔法のことだ
生まれて来た時に手に握っている色のついた玉でわかる。ちなみに私は水色に青が混ざってあった。つまりは氷と水だ。かなり珍しいとされる。それに氷属性はとても厄介とされ、人間に姿を変え力を制限するのがとても大変という。
「では、今日は明日から行われる人間界変装訓練について説明する!」
教団にたったのは私のクラスの担任のウィム先生だ、歳は若い方で結構わかりやすい先生だ。
この魔法界は寿命で死ぬことはまず無い、戦って死ぬ、闇に溺れ殺されるなどで死ぬことが多い。好きな歳になれるからとても便利だ。私が生まれたのはだいぶ昔だ、とっくに1000年は超えているはず。
「そこ!聞いていますか!?リンカさん!」
「す、すみません!」
注意されたのは私に声をかけた子、隣の席だったから少し焦ってしまった、魔法で映し出された静止画には既にいろいろと書かれてあった、私はそれをノートに写す。このノートは人間界とは違って書いた人にしか見えない仕組みになっている。それに、字が汚くても綺麗に書き直してくれるから助かる。
「では!今回の歳は13歳!場所はこちら側が決めます!降り立った地で100年間過ごすこと!魔法は使わないこと!わからないことがあれば配布する本を見ること!今日はここで終わり!あとの授業は今日はないですが、準備をするように!解散っ!」
先生はそれだけ言うとポンッと消えていなくなった。
机にはそれぞれに本が置かれてあった。
「リンジェ〜闇使いが来なかったらいいね……」
「そうだね…」
闇使いとは闇魔法使いのことをいう…闇に溺れてしまったやつだ。そいつらは魔法界、人間界、魔界を支配しようとする。全く自己中心的な考えをするものだ…
魔界に基本的に闇使いがいる…魔界にいるものはだいたい魔獣や迷い込んだ人間達、妖怪が住む。
「私どこかなぁ……リンジェと同じがいいよぉ」
「まぁ一人一人になると思うから」
人間界変装訓練は一つの場所に1人だけという、それに今回の年齢も決まっていて少し大変だ……それに闇使いが襲ってくれば守らないといけない…いろいろと大変なのだ。
「じゃ、また明日!私準備してねるから〜」
「あ、うんまたね」
リンカはポンッと消えていなくなった。私も自分の部屋に魔法で移動した。私は一様魔法界王の娘…普通ならお嬢様らしく振舞わないといけないのだが、父様は
『そんなことしなくてもいい、自分らしくしなさい縛りなんて絶対お父さんはできないから』
と言っていた、お父さんは優しくて強かったのだが…魔法界魔界トーナメントで私が勝ってしまった。今では私が守る側だ。
「ふー居るものか……」
私は最低限必要なものだけを異空間に入れ即ベッドに入り眠りについた。明日の集合時間は朝3時、私ならまだ寝ている時間だ。
「面倒事が起きませんように……」
私の行く場所に魔獣や闇使いが現れたら討伐をしなくてはならないし、見られたら記憶を書き換えないといけない……かなり面倒だ。物が壊れればすべて直さなければならない…。
***
次の日、私は人間界へと繋がる転送の泉へ来た、この泉は他にもあり、魔界、天神界などに繋がっている。
転送魔法はその世界内でしか移動できないため泉を使うのだ…泉があるのは私が住んでいる城からすぐ近くにある。
「ふぁ…よし、行くか」
朝ご飯を食べる余裕はなく、すぐに家を出た。数分でつくためギリギリまで寝ていたのだ。
「リンジェ!おはよう!もうリンジェの番だよ!?」
泉には多くの生徒が待機していた、どうやら代表で一番乗りで私が行くらしい…なんで私が…
「ではリンジェ様お気を付けて」
1人で徒歩で来るようにと書かれてあったため、徒歩で来たのだがお父さんは心配症で召使を派遣したのだ……全く。リンカはどうやらさっき来たらしく先頭からだいぶ離れている。
「ありがとうね、お父さんに手紙を出すからと伝えてね、じゃあ」
私は手を振って先生がいる先頭に向かった。
「リンジェ!何があっても頑張るのよ!じゃあね!」
ニコッとリンカは笑って手を振った、私も頷き手を振り走って行った。
「リンジェさん、代表としてお願いできますか?」
「任せてください、校長先生、では行ってきます。」
校長先生はニコッと笑ってグッドサインをしてそれから手を振った。
「では!」
ドボンっ!
私は大声で叫ぶとジャンプして泉の中に入った。
泉は暖かくも冷たくもない、しばらく沈まないと行けないのだ……泉の底に近くなると転送されるらしい。
ゴボゴボゴボッ…
「ッ!」
次の瞬間私は強い光に飲み込まれ意識を失ってしまった。
『運命はよからぬことになるであろう』
「だ……れ……っ」
意識がなくなる前にとつぜん女の声が聞こえた、私は目を開けて確認したかったがその前に意識がなくなった。