第1章 胎動
変な夢を見た気がする……。
ベッドから起き上がり鏡の前に立つ。
朝食を簡単に済ませて、学校に登校する。
マーナ。と後ろから背中を叩かれ、振り向くと世界にノイズが走ったように見えたがすぐに戻り、黒髪の清楚なお嬢様風の“大河舞香”がいた。
「マイじゃん、早くしないと学校遅刻するよ」
えっ嘘と。言って、走って学校へ向かう。
学校につくと、始業チャイムの2分前だった。
先生が入ってくると、そのあとを追うように眼鏡の銀髪のいかにも新しい生徒が入ってきた。
新入生の「宇佐美紅葉です」と先生が、案内をするとお辞儀をする。
先生に言われた席に、紅葉は着席する。
よろしく小鳥遊真奈さん。と私のほうを向いて、向いて淡々と言う。
また、ノイズがはしると目をこする。
「あなたも、ノイズが見えるんだね」
「紅葉さんも見えるの?」
もちろん。と言って紅葉はうなずく。
「あなたにこの景色には、どう映ってるの?」
普通の景色よ。と紅葉の問い見たまんまの答えで、返答する。
「放課後、もう一度お話ましょと」
うん。と言って真奈はうなずく。
放課後、紅葉から呼ばれた通りに屋上に行く。
よく来たわね。と紅葉は言って、メガネを渡してきた。
「これは?」
「世界を知るための道具。まぁ存在の改竄の手法」
「メガネの形の必要性あるの?」
ないわ。とあっさり紅葉は言う。
「しかし、アシッド・エリアに侵入するには便利だから」
そうなんだ。と言ってうなずくしかなかった。
「まぁ、かけてみなさい」
いわれるがままに、メガネをかける。
そうすると世界が、一変して荒廃した世界に変貌をとげる。
「これが〝現実〟よ」
「こんな街が私の街なの?」
受け入れがたくてもそうなの。と少しばかりくらい言葉でしゃべるクリス。
「あの教室にはね、私とあなたを含めて10人しかいないの存在しないの」
ちっ、政府の人間にばれたか。と声を潜めて言うと、どこからともなく、透き通った蒼白の二又の剣を取り出す。
「おい、真奈。今すぐに走って逃げろ、ここは私が片づける」
えっ何で?と言って瞬間に、約1m程のロボットが現れる。
オートマタだ。と言って、紅葉は真奈の手を握って、屋上を走り屋上の入り口にたどり着く。
「あれは、私たちのバイオグラフを見てこの世界の存在に、気が付いた者から次々に、排除してゆくシステム」
「あいつに、見つかるってことは死ぬこと?」
「違うが半分は正しい。再設定がなされ、死んだように生きる」
まぁ私みたいに、覚醒すれば世界は変わってしまう。と少しさみしげに紅葉は続けて言う。
「まぁ、覚醒した状態で、バイオ…」
「バイオグラフは安定するから、ばれないわ」
ごめんなさい、あなたをこんなことに巻き込んで。といって、紅葉は足早に階段を下りて行った。