銀座の女帝は、パリの夜に灯をともす
銀座の女帝は、パリの夜に灯をともす
第一話 女帝の値段
「お嬢様、どうか泣かないでください。お化粧が崩れてしまいます」
鏡の前で震えている若い娘を見て、玲子は胸が痛んだ。まだ十七か十八だろう。薄桃色の絹のドレスは美しかったが、少女の細い肩には重すぎる衣装に見えた。真珠の首飾りを留める侍女の手も震えている。
「泣いている女に化粧の心配をするなんて、ずいぶんひどい話ね」
玲子がそう言うと、侍女は驚いて顔を上げた。
「マダム・レーヌ。でも、今夜のお客様は侯爵様で……」
「侯爵だろうが皇帝だろうが、泣いている娘に会う資格なんてないわ」
少女が鏡越しに玲子を見た。
「でも、私がお断りしたら、母の薬代が……」
玲子はその言葉に、かつての自分を思い出した。
銀座で三十年、クラブを経営していた。名は神崎玲子。政財界の大物も、外国の大使も、彼女の前では肩書を忘れて笑った。女の子たちからは「銀座の女帝」と呼ばれていた。
最後の記憶は、雨の銀座だった。閉店後、酔った新人ホステスを車に乗せ、自分は歩いて帰ろうとした。横断歩道へ飛び出した子どもを見て、とっさに体が動いた。
そして目覚めたのが、十九世紀のパリだった。
玲子は三十二歳の未亡人、レーヌ・ヴァロワになっていた。亡き夫が残したのは、借金と、シャンゼリゼ通りから少し離れた古い館だけ。
しかし玲子には、ひとつだけ誰にも奪えない財産があった。
人を見る目である。
「あなた、お名前は?」
「エミリーです」
「エミリー。お母様のお薬は、私が手配するわ」
「でも、そんな……」
「その代わり、ひとつ約束して。嫌なことは嫌だと言うの。お金が必要だからといって、自分の心まで売る必要はないわ」
少女の目から大粒の涙がこぼれた。
「私、もう逃げる場所がなくて……」
「逃げる場所なら、ここに作るわ」
玲子は少女の肩に柔らかなショールを掛けた。
「今夜は温かいスープを飲んで、眠りなさい。明日のことは、明日考えましょう」
その夜、玲子は館の広間を歩き回っていた。
天井には古い水晶のシャンデリアが吊られ、壁には色褪せた金色の装飾が残っている。窓辺の厚い天鵞絨のカーテンには埃が積もり、暖炉の大理石には細かなひびが入っていた。
執事のアルマンが、帳簿を抱えて立っていた。
「奥様、このままでは館を売るしかございません」
「借金はいくら?」
「金貨にして八千枚です」
「ずいぶん景気よく残してくれたものね、前の旦那様は」
玲子は苦笑した。
「この館、売れば返せる?」
「おそらくは。しかし奥様のお住まいがなくなります」
「だったら売らない。商売を始めるわ」
「商売でございますか?」
「ええ。パリで一番、居心地のいいサロンを作るの」
アルマンは目を丸くした。
「まさか、クルティザンヌの館を?」
「そうよ。ただし、男がお金を払えば何でも許される場所にはしない」
玲子は埃の積もったテーブルを指でなぞった。
「女の子たちが知性と才能で客を迎え、客はその時間に敬意を払う。音楽があって、絵画があって、おいしい料理がある。誰かを見下すためではなく、誰もが少しだけ幸せになって帰れる場所よ」
「そのようなサロンが成功するでしょうか」
「成功させるの。私、こういう仕事は得意なのよ」
三週間後、館の扉に新しい看板が掛けられた。
「サロン・ド・レーヌ」
開店の夜、玲子は深い藍色の絹のドレスを着た。襟元には黒いレースを重ね、耳には小さな真珠の飾りを揺らしている。銀座にいた頃から、華美な宝石よりも、姿勢と声の美しさを大切にしてきた。
広間には蜜蝋の蝋燭が灯され、磨き直したシャンデリアが柔らかく輝いた。食卓には鴨のオレンジソース、茸のパイ、白身魚の蒸し焼き、焼き栗を添えた温かな野菜料理が並んだ。
厨房から漂うバターと香草の香りに、玲子は満足そうにうなずいた。
「いい香りね。料理長、今夜はあなたの腕にかかっているわ」
「マダム、お任せください」
最初の客は、若い銀行家だった。
男は金時計を見せびらかしながら、エミリーに近づいた。
「君のような美人なら、私が面倒を見てやってもいい」
エミリーの顔が強張った。
玲子はすぐに歩み寄った。
「ムッシュ、当館では女性に無理な約束を求めることはお断りしております」
「何だと? 私は客だぞ」
「存じております。だからこそ、素敵なお客様でいていただきたいのです」
「金ならいくらでもある」
「それは結構なこと。でも、お金で買えるのはお料理とお酒、それに楽しい時間までですわ」
男は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「生意気な女だ」
「よく言われます」
玲子は微笑んだ。
「お帰りになるなら馬車を呼びます。お残りになるなら、今夜の鴨料理をぜひ召し上がって。料理長が腕を振るいましたの」
男はしばらく玲子を睨んでいたが、やがて椅子に座った。
「……鴨をもらおう」
「ありがとうございます」
そのやり取りを、暖炉のそばにいた白髪の紳士が見ていた。
ロシュフォール公爵。芸術家の後援者として知られる老人だった。
「マダム・レーヌ。あなたは変わった女性だ」
「どのあたりがでしょう?」
「金持ちを追い返そうとするサロンの女主人など、初めて見た」
「失礼なお客様に残っていただいても、ほかの方が楽しくありませんもの」
公爵は愉快そうに笑った。
「なるほど。では、あなたのサロンでは何を一番大切にする?」
「明日もまた来たいと思えることですわ」
「ほう」
「人は贅沢な料理の味を忘れることがあります。でも、自分が大切に扱われた夜のことは、なかなか忘れません」
公爵はしばらく黙っていた。
やがて、静かに言った。
「亡くなった妻も、似たようなことを言っていた」
玲子は公爵の顔を見た。
「奥様は、どんな方でしたの?」
「庭の薔薇を愛する人だった。私が仕事で疲れて帰ると、必ず温かなスープを用意してくれた」
「素敵な奥様ですね」
「もう十年になる。だが、今でも夕食の席で、つい向かいの椅子を見てしまう」
公爵の声がかすかに震えた。
玲子は何も言わず、給仕に合図した。
ほどなく、白い陶器の器に入った玉ねぎのスープが運ばれてきた。飴色に炒めた玉ねぎの甘い香りが、湯気とともに立ち上った。
「公爵様、よろしければ」
「これは?」
「料理長の自慢のスープです。少し冷めるまで、ゆっくりお話しなさいませんか」
公爵はスプーンを手に取り、一口飲んだ。
そして、目を閉じた。
「……妻が作ってくれたものに、よく似ている」
玲子は微笑んだ。
「では、今夜は奥様のお話を聞かせてくださいませ」
老人は長い時間をかけて、亡き妻のことを語った。若い頃の失敗も、二人で旅した海辺の町も、最後に交わした言葉も。
玲子は途中で話を遮らなかった。
客が帰り始めた頃、エミリーがそっと近づいてきた。
「マダム、あの公爵様、帰り際に泣いていらっしゃいました」
「そうね」
「私、驚きました。あんなに偉い方でも、寂しいんですね」
「偉い人ほど、寂しいと言えないことがあるのよ」
エミリーは少し考えてから尋ねた。
「マダムは、どうしてそんなに人の気持ちが分かるんですか?」
玲子は窓の外を見た。
パリの夜には霧が漂い、石畳を馬車の車輪が静かに通り過ぎていた。
「昔ね、私も誰にも弱音を吐けなかったの」
「マダムが?」
「ええ。強い女だと言われるたびに、泣く場所がなくなっていったわ」
玲子はエミリーの手を取った。
「だから、ここでは誰も無理に強がらなくていいの。あなたも、私も、お客様もね」
エミリーの瞳が潤んだ。
「私、ここで働きたいです。お客様を笑顔にできる人になりたい」
「それなら、まず勉強しましょう。フランス語の詩も、音楽も、新聞の読み方も。あなたが好きなことを見つけるのよ」
「そんなにたくさん?」
「一生かけても足りないくらい、世の中には面白いことがあるわ」
エミリーは声を立てて笑った。
その笑顔を見て、玲子は胸の奥が温かくなるのを感じた。
銀座で過ごした三十年を、もう一度やり直すことはできない。
けれど、あの街で学んだことを、このパリで生かすことはできる。
夜が明ける頃、ロシュフォール公爵から一通の手紙が届いた。
「昨夜、十年ぶりに妻の夢を見ました。夢の中の妻は笑っていました。ありがとう、マダム・レーヌ」
玲子は手紙を胸に当てた。
豪華な宝石よりも、高価な葡萄酒よりも、こういう言葉がうれしかった。
「さて、アルマン」
「はい、奥様」
「今夜のお客様の名簿をお願い。それから、エミリーのお母様のお薬は届いた?」
「すでに手配しております」
「よかった。さあ、今日も忙しくなるわよ」
玲子は背筋を伸ばし、朝日に照らされた広間を見渡した。
銀座の女帝がパリに灯した小さな明かりは、まだ始まったばかりだった。
◇◇◇
第二話 修道院へ行く娘たち
「マダム、私の妹を助けていただけませんか」
ロシュフォール公爵の声には、前夜の穏やかさがなかった。玲子は彼の向かいに腰を下ろし、まず温かな紅茶を勧めた。公爵は銀の杖を膝に置いたまま、カップにも手を伸ばさない。何かを頼むことに慣れていない人間の、ひどく苦しそうな顔だった。
「妹御は、ご病気なのですか」
「いいや。修道院に入ることになった」
「ご本人の希望で?」
公爵は目を伏せた。
「それが分からんのだ」
窓の外では、朝のパリに細かな雨が降っていた。馬車の車輪が濡れた石畳を叩き、暖炉では薪がぱちぱちと音を立てている。玲子は濃紺のウールのドレスに白いレースの襟を合わせ、髪を低い位置で結っていた。
「詳しく聞かせてくださいませ」
「妹の娘だ。私から見れば姪に当たる。名はシャルロット。二十一歳になる」
公爵はようやく紅茶を一口飲んだ。
「父親が亡くなってから、家の財政が苦しくなってな。持参金を用意できない娘には、縁談がなかなか来ない。母親は、修道院に入れば衣食住の心配がなくなると言っている」
「お嬢様は、何と?」
「『お母様が安心なさるなら』と」
玲子は胸の奥に小さな痛みを覚えた。
銀座にも、似たような娘がいた。親の借金を返すために働き、自分の望みを尋ねられると、困ったように笑う娘たちだ。
「公爵様。貴族の娘だからといって、全員が結婚できるわけではないのですね」
「そうだ。家柄があっても、財産がなければ選択肢は狭い。結婚できず、あるいは結婚を望まず、修道院で生きる女性もいる。信仰によって自ら道を選ぶ者もいるが、家の事情で入る者もいる」
「では、そのお嬢様が何を望んでいるのか、まず聞かなければなりませんね」
「私が尋ねても、あの子は本心を言わん」
「それなら、私が伺いましょう」
公爵は驚いた顔をした。
「あなたが?」
「ええ。おじ様には言えないことでも、赤の他人には言える場合がありますもの」
三日後、シャルロットがサロンを訪れた。
薄灰色のドレスは質素ながら丁寧に仕立てられ、袖口には何度も繕った跡があった。栗色の髪をきっちりと結い、胸元には小さな銀の十字架を下げている。
「初めまして、マダム・レーヌ」
「ようこそ、シャルロット様。お会いできて嬉しいわ」
玲子は彼女を大広間ではなく、庭に面した小さな応接室へ案内した。
卓上には焼きたての洋梨のタルト、蜂蜜を添えた小さなパン、温かなショコラが並んでいる。雨上がりの庭からは湿った土と薔薇の香りが流れ込んでいた。
「お好きなものを召し上がって」
「ありがとうございます。でも、私は……」
シャルロットはタルトを見つめたまま、手を伸ばさなかった。
「甘いものはお嫌い?」
「いいえ。大好きです。ただ、母から贅沢は慎むようにと言われております」
「では、今日は私の贅沢につき合ってちょうだい。一人で食べるには多すぎるの」
玲子が先にタルトを口へ運ぶと、シャルロットもおずおずとフォークを取った。
「……おいしい」
その声があまりに小さく、玲子は聞こえなかったふりをして微笑んだ。
「料理長が喜ぶわ。もう一切れいかが?」
「いいえ、十分です」
「そう。では、お話をしましょうか」
シャルロットは背筋を伸ばした。
「修道院のことでしょうか」
「ええ。でも、入るべきかどうかを私が決めるつもりはないわ。あなたがどう思っているのか知りたいだけ」
「私は、母に従います」
「お母様は、あなたが幸せになることを望んでいらっしゃるでしょうね」
「はい」
「では、あなたにとって幸せとは何かしら」
シャルロットは答えなかった。
玲子は急かさず、ショコラを飲んだ。濃厚なカカオの苦みと温かな牛乳の甘みが舌に広がる。
やがて、少女がぽつりと言った。
「私、絵を描くのが好きなんです」
「まあ、素敵ね」
「植物の絵です。花びらの筋や、葉の裏側まで描くのが好きで……。でも、そんなことをしても家の役には立ちません」
「誰がそう言ったの?」
「母です。絵では持参金にならないと」
シャルロットは恥ずかしそうに俯いた。
「修道院には庭があります。薬草も育てているそうです。そこで絵を描けるなら、それでもいいと思っていました」
「それは修道院で暮らしたいということ? それとも、絵を描ける場所が欲しいということ?」
シャルロットは顔を上げた。
唇が震え、目に涙が溜まった。
「……分かりません」
「分からなくていいのよ」
「でも、もう決めなければならないんです。母は、来月には入るようにと」
「急いで決めて、あとで苦しくなったら?」
「私さえ我慢すれば、母は安心できます」
玲子はそっと手巾を差し出した。
「シャルロット様。お母様を大切に思うことと、あなたが一生我慢することは、同じではないわ」
少女の頬を涙が伝った。
「私、本当は……もっと絵を描きたい。知らない花を見たい。海の向こうの植物も描いてみたいんです」
「それなら、まず絵を見せてくださらない?」
シャルロットは鞄から小さな画帳を取り出した。
そこには野薔薇、菫、薬草、枯れかけた木の枝が、驚くほど細やかな線で描かれていた。葉脈の一本一本にまで、描き手の愛情が感じられる。
玲子は思わず息を呑んだ。
「これを、全部あなたが?」
「はい。紙が高いので、裏にも描いてしまいました」
「素晴らしいわ」
「お世辞は結構です」
「お世辞なら、もっと上手に言うわよ」
玲子が笑うと、シャルロットも涙を拭いながら小さく笑った。
その日の夕方、玲子はエミリーを呼んだ。
「ねえ、エミリー。あなた、最近読み書きの勉強を頑張っているでしょう」
「はい。まだ難しい本は読めませんけれど」
「シャルロット様は植物の絵がお上手なの。あなたは人と話すのが上手。二人で何かできないかしら」
「私が、貴族のお嬢様と?」
「ここでは身分より、何ができるかを大切にしたいの」
翌週、サロンには新しい催しが加わった。
シャルロットが描いた植物画を飾り、薬草や花について語る小さな午後の集まりである。エミリーは来客を案内し、玲子は芸術家や出版業者を招いた。
初めての集まりで、シャルロットは緊張して声を震わせた。
「こ、こちらは野生の菫です。花の形は小さいのですが、葉には……」
言葉が途切れると、エミリーが明るく声をかけた。
「シャルロット様、この葉の裏側に描かれた細い線は、何ですか?」
「あ、それは葉脈です。水分や養分を運ぶ大切な部分で……」
シャルロットの表情が変わった。
好きなものを語る声には、次第に熱がこもった。
集まりの終わりには、出版社の男が彼女の画帳を手に取っていた。
「植物図鑑の挿絵をお願いできませんか。まずは数点、報酬をお支払いします」
シャルロットは信じられないという顔をした。
「私の絵に、お金を?」
「もちろんです。これほど丁寧な仕事なら、ぜひ」
その夜、シャルロットは玲子の前で泣いた。
「マダム、私、初めて自分の力でお金をいただけるんです」
「おめでとう」
「母に、少しでも渡せます」
「そうね。でも、全部渡してしまわないで。あなた自身の画材も買いなさい」
「はい」
シャルロットは画帳を胸に抱いた。
「修道院へ行くのは、もう少し考えたいと思います。信仰を大切にしている気持ちは本当です。でも、今の私は、外の世界も見てみたい」
「それでいいと思うわ」
玲子は彼女の手を握った。
「修道院で生きることも、結婚することも、働くことも、誰かに決められるのではなく、自分で選べたらいいわね」
窓の外では、夕暮れのパリに街灯がともり始めていた。
玲子は銀座で働いていた頃を思い出した。華やかな着物や宝石の陰で、家族のために夢を諦めた女性を何人も見てきた。
時代が変わっても、国が変わっても、女たちの涙には似たところがある。
だからこそ、ここでは違う未来を見せたかった。
「マダム」
エミリーが扉から顔を出した。
「今夜のお客様がいらっしゃいました。ロシュフォール公爵様もお見えです」
「そう。では、迎えに行きましょう」
玲子は鏡の前で髪を整え、深紅の絹のショールを肩に掛けた。
今夜の食卓には、茸を詰めた鶏のロースト、白いんげん豆の煮込み、焼きたてのパンが並ぶ。厨房からはバターとローズマリーの香りが漂っていた。
広間へ出ると、公爵が待っていた。
「マダム・レーヌ。シャルロットから手紙が届いた」
「何と書いてありましたの?」
「初めて、自分の明日が楽しみになった、と」
公爵は目を潤ませた。
「ありがとう。あの子に、道をひとつ増やしてくれた」
玲子は静かに首を振った。
「道を見つけたのは、シャルロット様ご自身ですわ」
公爵は微笑み、玲子の手を取った。
「あなたのサロンは、不思議な場所だな」
「そうでしょうか」
「ああ。ここでは、誰もが少しだけ、自分を取り戻して帰っていく」
玲子は大広間を見渡した。
笑い声と食器の触れ合う音が響き、蝋燭の光が人々の顔を温かく照らしていた。
贅沢な夜を売るつもりで始めたサロンだった。
けれど今、玲子が何より大切にしたいと思うのは、ここを訪れた人が、自分の人生をもう一度好きになれることだった。
「さあ、公爵様。今夜も温かなスープをご用意しております」
玲子は微笑んだ。
「どうぞ、ゆっくりしていらして」
パリの夜は、今日も静かに更けていった。




