独白 ②
――なに? お姉ちゃん……いえ、マネージャーからもう一回話せって言われたから、出てきたんだけど……
そんなに私の話を聞きたいのかしら? いいわ、みんなの期待に応えるためにも話してあげるんだから。べ、別にお姉ちゃんのためとかファンのためとかじゃないんだからね!
今日、こんな素晴らしい場所に呼んでもらえて、スピーチコンテストの最終審査まで残れたけど……ぶっちゃけ、この舞台に残ることなんて無理だと思っていたの。だって、私なんてただの配信者よ? そりゃさ、他の配信者より人気はあるし、ファンもたくさんいる。だけど……それはインターネットの世界の話……
ほかの出演者みたいに何か実績を残したわけじゃないし、知名度だってあるわけじゃないもん。だから……さっき話した憧れの配信者さんにまた相談したんだ。どうしたらあなたのように堂々と人前に出られますかって……
そうしたらすぐ返事が来たの。それもDMじゃなくて通話のお誘いで! もう緊張しすぎて何を話したのか全然覚えてないんだけど……その時、ハッキリと言われたことがあるわ。それは「優勝を最初から狙おうなどと思わないことじゃ」よ。意味が分からないでしょ? スピーチコンテストっていう千載一遇のチャンスが舞い込んできたのに、優勝を狙うなって言われたの。もうびっくりしちゃって、半分キレ気味で聞き返したわ。
ふざけるな! 自分が人気者だからって私のことを下に見ているでしょ! ってね。今思えば、たぶん……一番悔しかったのは、図星だったからなんだと思う。私はまだ、何者でもないって。
でも、返ってきた答えは全然別物……いや、もう別次元だったわ。最初から優勝を狙ったとしてもお主の良さは、一ミリも伝わらないのじゃ。そんな野暮なことを考えるより、自然体のままで思いっきり楽しんでこい。って、言われたわ……
その時、わかっちゃったのよね、この人は見ている視点も景色も違いすぎるって……
私よりも年下っぽいのに、どうしたらあんな達観した考えにたどり着けるんだろうって思うの。でもね……同時に同じ土俵に立ちたいと思っちゃった。
バカだなって思うでしょ? 私ごときの駆け出しが、何をバカなこと言ってんだと思われても仕方ないわ……だけど、言われちゃったのよ、わらわは同じステージに立てる日をずっと待っているのじゃってね。
そんなこと言われたら……やるしかないじゃない! だって、憧れの人から待っているなんて言われたら、誰でもスイッチ入るでしょ!
え? 最初と言っていることが違うんじゃないかって?
そうね、たしかにこの舞台に残れてよかったとか言っていたけど……でもそれはゴールじゃなくて、やっとスタートラインに立てただけ。私は……ずっと、画面の向こう側にいた人間……でもね、配信者になったこの私がそんなことで満足するように見える?
ふふふ、私は頂点に立つべき人間なんだからね! ええ、待っていてね……お姉ちゃんと一緒に、あなたの立つステージに上り詰めてみせるから!
そういうことよ! だから今日の優勝も私がもらっていくわ! べ、別にお姉ちゃんやファンのみんなが喜ぶ顔を見たいわけじゃないんだからね!
はい、もうこの話はおしまい! じゃあ……またね!
今回の作品はいでっち51号様の「スピーチヒーローコンテスト」の参加作品となります。
スピーチコンテストということもあり、主人公がピンマイクを付けてステージ上で語るという設定です。
静まり返る会場で彼女が何をどう話すのか……お楽しみいただけたらと思います。
※本作は二部構成となっております
最後に――【神崎からのお願い】
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感想やレビューもお待ちしております。
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