独白 ①
――えっと、これちゃんとマイクは入っているわよね?
……大丈夫? それなら始めるわ。まったく、私が話すんだからちゃんと聞きなさいよ!
はじめまして。
本日のファイナリストの一人に選ばれたライブ配信者の光坂 桜よ。
え? なによ! こんな子供だからってバカにしないでよ! こう見えても配信開始から一週間で登録者百万人を突破したんだからね。ほんともっと称賛されてもいいと思っているんだから……
前置きはさておき、こんな性格だから結構大変だったんだから……今日は――私の大切な人について話したいなと思います。
私の家庭はちょっと複雑でね……両親はいるんだけど、小さいころからずっと世界を飛び回っているの。だからめったに家に帰ってこないんだ……幼い私はそんなことわからないからすごく寂しくて、泣きわめいて暴れていたんだ。そんなときにずっとそばにいてくれたのが年の離れたお姉ちゃんなの。
でもね――このお姉ちゃんがほーんと絵にかいたような不器用で危なっかしいの。
何がって、ゆで卵を食べたいって言ったら、電子レンジに放り込むような人なのよ? 信じられる? もう何台破壊したことやら……それだけじゃないの! 洗濯をお願いしたら洗面所が泡だらけになるし……もう危なっかしくて見てられなくて。
まあそれでも楽しく姉妹で生きてきたんだけど、お姉ちゃんが就職してから状況が一気に変わっちゃったの。
大手の芸能事務所でマネージャー見習いをしているんだけど、忙しくてなかなか帰ってこれなくなっちゃって……また一人の時間が増えて……
そんな時にスマホをいじっていたら、ある配信者に出会ったのよ。年は私と変わらないくらいで、すごく変なしゃべり方をするの。それにファンのことを下僕とか呼ぶし……熱狂的なリスナーは「我々にとってはご褒美です!」とか言い出して、ほんとカオスだったわ。でもね、不思議と心地よかったの……だから、彼女の配信がある日は欠かさず見るようになったの。最初は楽しかったんだけど、だんだん「私もあの舞台に立ちたい」って願望が出てきちゃって、いきなりDMを送ったのよ……どうしたら「あなたみたいになれますか?」って。
……バカでしょ? 返信なんて来るはずないと思っていたら、すぐに来たのよ。しかも「一緒に配信で世界一を目指すのじゃ」って書いてあったの。ほんと無謀な挑戦だと思ったわ……でもね、私が有名になれば、お姉ちゃんと一緒にいられる近道だって諭されたの。
だから、その日から死ぬ気で努力したわ。でも、こんな性格だから素直になれなくてね……配信開始して、リスナーにすごくきつく言い返しちゃったの……。そうしたら三回目の配信から一気にバズって、気が付いたら期待の新人とか言われちゃったわ。
ま、まあ、別にリスナーのおかげじゃないんだからね!
おかげさまでお姉ちゃんのいる事務所と専属契約できたし、誘ってくれた配信者とコラボもできて、私にも下僕……みたいな人ができたの。
私くらいになれば当然よね!
……私の夢は、お姉ちゃんに恩返しすること、リスナーを幸せにすることだから……
いい? これから私は世界一の配信者になっていくんだから、古参を名乗るなら今のうちなんだからね!
もう弱虫の私はいない……憧れの人と一緒にお姉ちゃんに世界一の景色を見せるんだから! こんなところで立ち止まるわけにはいかないの――約束したから……
あーもう! なんか熱くなってきたし、この話はおしまい!
じゃあね、ちゃんと配信に来なさいよ……待っているからね……
今回の作品はいでっち51号様の「スピーチヒーローコンテスト」の参加作品となります。
スピーチコンテストということもあり、主人公がピンマイクを付けてステージ上で語るという設定です。
静まり返る会場で彼女が何をどう話すのか……お楽しみいただけたらと思います。
※本作は二部構成となっております
最後に――【神崎からのお願い】
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想やレビューもお待ちしております。
今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!




