表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

童話:花束のしごと

作者: 沢 一人

人の役に立つって、

どんなことだと思いますか。

このお話は、

その答えを知っている花束のお話です。

――あなた達は、僕をどうしようって云うの?


ぼくは花束。


白いバラと、やさしい色のガーベラ、ふわふわのカスミソウが集まっている。


細いりぼんで結ばれて、静かに息をしている。

朝の光はやわらかく、

白い布がゆれて、音楽が遠くから聞こえる。


ぼくは、二人の小さな手に持たれていた。


男の子の名前はルキ。

女の子の名前はミオ。


五さいの二人は、少し大きなきれいな服を着ている。

靴はぴかぴかで、歩くたびに小さな音を立てた。


まわりには、きれいな洋服の人たちが並んでいる。


みんな静かで、でも、顔はやさしい。


ぼくは、ここに集まった人たちの気もちが、

同じところを見ているのを感じた。


前のほうに、白いドレスの人と、黒い服の人が立っている。 


二人とも、少し緊張した顔。


けれど、目が合うたびに、

ゆっくり、同じ笑顔に変わっていく。


ルキとミオの手に、力が入る。


二人の胸の音が、早くなる。


それに合わせて、前に立つ二人の気もちも、

同じ速さになっていくのが、ぼくにはわかった。


合図の音がして、

ルキとミオは一歩前へ出た。


ぼくは、ていねいに、両手で差し出される。


白いドレスの人は、口に手を当て、

黒い服の人は、まっすぐうなずいた。


そのとき、まわりの人たちの表情が、

一斉にほころんだ。


拍手が広がり、

あたたかい音が、空気を満たす。


ぼくは、胸の奥が静かに満たされていくのを感じた。 


白いバラは「約束」。

ガーベラは「希望」。

カスミソウは「感謝」。


声にしなくても、

その気もちは、ちゃんと届いている。


そのあと、ぼくは近くに飾られた。


ルキとミオは、ほっとした顔で手を振っている。 


白いドレスと黒い服の二人は、同じ方向を見て立っている。


ぼくは思う。

人の役に立つというのは、

前に出ることじゃない。


大切な気もちが、迷わず進めるように、

そばにいることだ。 


そのはじまりの場所で、

ぼくは静かに、きらきら輝いていました。


この物語は、

「人の役に立つって、どういうことだろう」

という問いから生まれました。

答えは、いつも静かで、

すぐそばにあるのかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ