第8話:武器選び
次の日。
昨日は疲れを癒せとの事で試練は休みになった。
そして今日からは試練が始まる。
起床して俺の師匠―――スロフさんと鉢合わせた。
「よう。朝飯は“戦闘試練”の後だ。腹が空いた方が飯が美味いからな」
一旦欠伸を挟んで、師匠は続ける。
「練習場はあっちだ。すぐ来いよ」
そうして師匠はその場を後にした。
さて、俺も練習場に移動するとするかな。
ところでカガミさんは―――
『昨日の感じだと、朝食も豪華かな…』
うん。マイペースに朝食のことを考えている。相変わらずの事だが、今回に関しては完全に同意である。
昨日の料理は美味しかった。お腹が空いていたのもあってそれはもう本当に。異界の地なのでよく分からない食材もあったが、全て完食出来てしまうほどだ。
特にあの汁物なんか―――
おっと。話が逸れてしまった。
俺も足早にその場を後にする事にした。
試練場は屋外。岩の群生地帯のように思えてくる場所であった。
「さて、一通りの武器共だ」
ガシャンと音を立てて、数種類の武器が並んだ。
剣・槍・斧・弓・盾の五種類セット。
「この中から選ぶんですか?」
「いや、もっと有る。が、まずは絞らんと話にならんだろ」
ふむ。ごもっとも。
さて、どの武器を選ぶか………。
俺はそれぞれの武器について思案した。
まずは剣。悪くない。オーソドックス。自身が剣を持った事すらないのは不安要素だろうか。
槍。リーチが長い武器。弱くはないだろうが、かなり筋力が要りそう。
そして斧。手軽に振り回せそうな形をしている。
次に弓。格好良いとは思うが、実践となるとエイムがブレそうな気がしてならない。
盾。………盾?攻撃手段となり得るだろうか。いや、攻撃は最大の防御とも言うし、逆も然り…?
俺がこの中から選ぶのは―――
「じゃあ剣で」
「おーけー。まぁ取り敢えず試してみろよ」
そういって師匠は長剣を手渡した。
「うっ」
その重さに腰がガクンと落ちてしまった。
剣ってもう少し軽いモノと思ってた。
重さに慣れると普通に持つことは可能だった。
でも、コレを振るのか………。かなり重い。
アニメとかゲームで軽々しく剣を振り回してるキャラクターの様にはいかないって事だ。
「よし。振れ」
そう命令が飛んできたのでその通りに剣を振る。
重々しく振り上げた剣は、軽く風を斬った。
やはり太刀筋は自分でも分かるぐらいに悪かった。
「………御世辞にも良いとは言えないな」
「―――はい」
「そんな落ち込むな。初心者なんて全員そうだ。まぁどうにかなるさ」
そんなに慰められると逆に落ち込みそう。
「しっかし、重さが問題だな…。―――そういや、剣といえばアレがあったかな。ちょっと待ってろ」
そういって師匠は少しその場を外した。
数分後。ゆっくり歩きながら帰ってきた。
その手には―――刀が握られている。
見た目は殆ど日本刀そのまんまだ。
「………それは?」
「コレは軽い金属で作られた刀だ。これならアンタでも振りやすいと思ってな」
差し出されたその刀を手に取る。
「―――軽い」
思わず漏れ出た本音。
「だろ?」
柄を握り直して前に構える。
足を出して―――そのまま斬り込む。
ブンッと風を大きく切り裂いた様な感覚が腕に伝わる。
それをみて師匠が一言。
「―――悪くない。粗いところはあるが、初心者なら才能ある方だと思うぜ?」
それに続くように、カガミさんも感想を述べる。
『相性は悪くなさそうだね。私も刀を使っていたし、丁度良いと思うよ』
なら、刀にしようかな。
使い心地を悪くないし、長時間戦闘出来そうだ。
「それじゃ、次は―――」
師匠が説明に入ろうとしたその瞬間。
何かが飛来してきた。コレは―――鳥?
鳥は近くの木に留まった。足には紙が括り付けられている。この鳥は伝書鳩だろうか。
「ちょっと待ってろ」
その手紙を解いて、師匠は読み始めた。
それと同時に伝書鳩も風の如く去っていく。
「面倒臭そうな依頼が来た。実践形式で鍛えるつもりだったが、予定変更だ。アンタも付いてこい。少しでも見た方が経験の足しになる」
「どんな依頼なんですか」
俺がそう問うと、師匠は神妙な顔をした。
それをみて、思わず俺も唾を飲み込んだ。
そして、師匠はこう言った。
「奴隷回収のお仕事だ」




