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鏡乱舞物語  作者: ニシキ
一章:昇華編
6/10

第5話:正義

「があッ…!」


 言葉にならない声を漏らし、その場に座り込む。

痛い。しかし、前回と違い出血はすぐ止まった。

これは“即時再生”による再生能力だろう。

そのお陰か激痛の最中ではあるが、絶叫は何とか抑えられた。

 なんで俺は、腕を二回も失う経験をしなくちゃならない………。

 目の前に居る人物、アルフに目を向ける。

その表情は到底人に向ける眼ではなかった。

恨みの籠った、罪人を見る様な目だった様に思えた。


「な……んで」


 至極当然の疑問。その回答は、


「分からないのか…?貴様が化物(らんぶ)(くみ)する悪党だからに決まっているだろうがッ!」


という、怒りが込められたモノだった。


「………は?」


 カガミさん…、一体コレは―――。


『………』


 喋らない、か。

 まぁ何となくヤバい存在なのは理解していた。封印されていた奴が、特別いい奴とは思えない。

 とはいえ、俺はこの乱舞とかいう存在に命を救われたのだ。俺は向き合わなきゃいけないと思う。


「乱舞ってのは………一体何をしたんだよ」


 そう問うと、先程とは違い、静かに、しかし刃を研ぎ澄ました様な声で答えが返ってきた。


「………乱舞は。乱舞は、私の家族を殺した。母と父と幼い妹だった。それは、残虐に。笑いながら」


 彼女が一息付く間があった。


「だから、私は復讐を死んだ家族に誓った。必ず乱舞を殺すと」


「いや…、貴方の親を殺したのは、この乱舞じゃないかもしれないじゃないか!」


「………それはッ!………。私には関係無い…事だ。私は正義に尽くす。私は貴様諸共、切り刻む」


 弁解は無理そうだ。と、なると俺は戦うしかないか。


『………私にやらせてくれ』


 カガミさん、この人と因縁が何かがあるのか?


『いや、無いよ。私は彼女を知らない。彼女の家族も殺してない。ただ…一万年前の罪を思い出してね。贖罪ってワケじゃないけど…此処は私が出るべきだと思ったんだ』


 ………そうか。

 何があったかは聞かない。

知っとくべき事なんだろうが、それは今じゃない。

 ところで、交代なんか出来るの?


「多分。やったことないけど」


 ………不安になってきた。が、少し緊張が解れた気もした。

 目の前に居るアルフを見据える。

ずっと切り掛かってこないと思っていたが、戦闘体制に入った俺を警戒しているようだ。


「じゃあ、カガミさん。後は頼んだ」


「………?」


 アルフさんは俺の言葉に違和感を覚えた様だ。

 既に俺の右腕は再生している。

左腕はまだ再生しきっていないが、まぁこの状態でカガミさんに託しても何とかなるだろう。

 段々と意識が()けてきた。


『ああ、任された』


 そしてそのまま―――頭を後ろに引っ張られる様な感覚を覚えながら、俺の意識は暗転していった。



 千剣破―――いや、カガミは立ち上がった。

外見に変化はない。見た目は唯の少年だ。

しかし、内面は既に鏡乱舞(カガミ)そのものだ。

 左腕はもう再生し終わっていた。

 その場に立つ者はたった二人。


「成功…かな?」


 カガミがそう呟くと、アルフは困惑の顔を見せた。


「さっきから何を言っている?」


「ああ、こっちの話。気にしないで大丈夫」


 両者とも動かない。互いに出方を窺っている。


「………ずるいなぁ。私は武器を持っていないんだ。一方的に武器を使って勝利だなんて、騎士道精神に欠けるだろ?ここは一旦、両者引き分けで手を―――」


 アルフはカガミの首目掛けて刃を振った。

それを後退し、カガミは危機一髪で回避した。


「フェアな勝負は大好物だが、今回ばかりは話が違うからな。騎士道精神なんて捨てるさ」


「―――あっぶないなぁ!結構ギリギリだったよ!?」


 そうは言っているが、カガミはかなり余裕持って回避出来ていた。


「………次で終わらせる」


 アルフはそう言い放ち、刀に“何か”を纏わせる。

それは美しく神気を帯びている様に思えた。


「それは付与魔術(エンチャント)かい?」


「少し違うな」


 そう言った直後、アルフはカガミを仕留めに入った。

刀を首に向けて振り翳す。


(………速い。これは腕を盾にして―――)


 カガミは腕を代償に時間稼ぎして、その間に反撃するつもりだった。

 腕を首の横に構える。

 しかし―――左腕がバターの様に斬られた。


「…ッ!?」


 カガミは屈んで攻撃を躱した。先程の斬撃と違い、今回は余裕がなかった。完全に予想外だったのだ。


(―――確かに切れ味はありそうだったけど、最初に千剣破の腕が斬られたときより鋭くなってる。さっき付与した何かによる力かな?)


 カガミは戦況を冷静に分析する。


「これでわかっただろう?貴様では私に勝てない」


「それは、どうかな」


 カガミは準備していた。腕を代償にしようとしたのにはもう一つ理由があったのだ。

 カガミが言葉を言い終わった瞬間、斬撃がアルフを襲う。これはカガミの特性による“反射(リフレクト)”であった。

 自身が受けた攻撃を反射する。条件次第では何倍の威力にも増大させる最強の権能。


 しかし―――


「はッ!」


アルフにその斬撃は叩き斬られた。


「………今のを無効化されると思ってなかったよ」


 戦況は段々と悪い方向へと傾いていく………。

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