第2話:初戦闘①
長距離を随分歩いた。
日を跨いでは居ないが、恐らく正午は過ぎただろう。
やはり現時点での大きな問題は“食料”だ。俺は今まで感じたことの無い規模の空腹感に襲われていた。
何か気を紛らわせられるような事を考えるしか無いか―――。
あ、そういえば訊き忘れていた事があった。
カガミさん、俺が居た元の世界に戻る方法は何かあるのか?
『…私は知らないね』
そうか…。どうやら暫くは帰ることが出来なさそうだ。
異界の人間は珍しい…ってさっき言ってたな。
てことは、他にも俺みたいな人がいるのか?
『いるにはいるよ。大抵、転移する時点で死ぬけどね。この世界には百人いるかいないかくらいかな』
そんなに少ないのか―――。
この世界の人口は分からないが、取り敢えず少ない事には変わらない。
えっと、一応聞くけど、このまま歩き続ければいいんだよね?
『ああ、大丈夫。少し時間はかかるけど、廃都市部からは抜けれるハズさ』
何も問題がなければね―――と、こっそり付け加えたのを俺は知っている。
何だかフラグが立ったような気が…。
まぁしかし、歩き続けるしかないのだ。それしか生きる手立てはないのだから。
………
……
…
一時間は歩いただろう。一応まだ日は落ち切っていない。茜色に染まった雲一つ無い空。
うーん、空が美しい。…なんて現実逃避をしている。さて、直視したくない現実に目を向けてみよう。
目の前に狼魔族が居る。
小さな瓦礫をかき集めた原始的な巣の中でぐっすり寝ている。いや、かなりマズイ状況なのでは?
起きそうな気配はなさそうだし、一体だけだが。
『………うん』
完全なフラグ回収。綺麗すぎてびっくりするね。
というか、軽口を叩いてこそいるが普通に怖い。心臓とかバクンバクンと鼓動しているし。
目の前に俺の腕を食った奴…ではないかもしれないが、その同種族がいるのだ。普通に考えて怖いに決まってる。
少し見ただけでも分かる。とても大きい。二足歩行する骨格ではないだろうが、
もし二足立ちしたら恐らく男性日本人の平均身長である俺の身長を超すだろう。
毛色は白銀。と言っても、こんな環境だからか薄汚れていて綺麗には見えない。
爪や牙がとても発達していることも見て分かる。
迂回するしかないか―――。
『…いや、戦ってみよう』
「は?」
『どうせの機会だ、この世界では戦闘なんてザラだし、扱いやすい獣で練習しておくべきだ』
何を言い出すかと思えば奇想天外な事言い始めた。
あの狼野郎と戦うだって?素手で?
『大丈夫、私の力を貸すから』
断固拒否。例えカガミさんの力がいくら頼れようと無理な物は無理―――
『食料』
おっと。今一番効く攻撃だ。
一日は食べてない。此処で食事の機会を逃せば…下手したら餓死。狼の肉が美味しいかは疑問だが…。
仕方ない、戦おう。
俺一人なら流石にこんな馬鹿な行動考えもしなかったのだが。カガミさんの力が有るのなら大丈夫だろう。
うん。きっと大丈夫…なハズだ。
『よし、じゃあ早速殴ろう!』
………。え、本気で素手で行くの?
『うん。身体能力は強化されてるから大丈夫』
まぁ、ならそれしかないか。
恐怖より食欲の方が強いと頭の中に擦り込ませて、俺は右拳を強く握り締める。
こっそりと近づいて―――その拳で狼魔族の胴体に本気で攻撃した、のだが…
………狼魔族は“無事”俺の打撃によって目を覚ましてしまったのだ。
あの?カガミさん?コレって一体…?
『―――下手くそ』
失望した様な声が頭に響く。
そこまで下手だっただろうか…。
『うーん。身体強化は出来てるハズなんだけどなぁ』
カガミさんの『大丈夫』『〜なハズ』は、信用出来なくなってきてしまった。
『………』
あ、ちょっとカガミさんが怒ってる気配。
今回は俺に非があるかもしれないからそこは謝罪しておこう。さて、今は狼魔族に集中だ。
取り敢えず逃げるか…?いや、でも―――
思考に浸らせてくれる訳もなく、狼魔族は咆哮した。そして獲物を狩ろうと、狼魔族は巣から飛び出し、そのまま爪の斬撃が俺に迫る。その攻撃は俺を死に至らしめる事が出来る攻撃だと一目で分かった。
視覚するのも一瞬で、体感にして一秒も無かった。
到底、人間では回避不可能な攻撃―――なハズだった。
「うわッ」
俺は咄嗟に“回避”したのだ。
ちわーすニシキでーす。
遅くなりました、本当にすみません。
説明ターンが本当に書くの難しすぎる………。
ここら辺の文は結構後々修正入るかもです。
よければ感想等々お願い致します。




