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鏡乱舞物語  作者: ニシキ
一章:昇華編
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第1話:転換点

 意識が暗い海の中に引き込まれる様な感覚。

俺は不思議な昔の夢を見た。

いや、これは走馬灯という奴なのかも知れない。

それは、惹かれた少女と対話した記憶。

確か紅葉が色づき始めた秋麗(しゅうれい)の季節だった。


「おねーさん、何してるの」


 当時6歳だった俺は何となく気分が落ち込んだときに、気まぐれでよく神社へ来ていた。

 其処に―――“彼女”がいたのだ。


「んー?ああ、ちょっと竹が欲しくてね」


 彼女は、神社の傍に自生している竹林を見つめながらそう言った。

 俺は何故そんなものを、と不思議に思った。


「たけ?」


「そう。竹」


 他愛の無い無意義な会話。それなのに何処か大切な想い出の様な気がするのは何故だろう。

子供の好奇心は止めどなく溢れ、疑問が止まらない。


「食べるつもりなの?」


今考えると、少し恥ずかしく思えてしまう質問だ。

まぁそれも、今考えると子供ながら浮かぶ疑問なのだろうと思う。こんな意味の分からない質問にも、

彼女は反応してくれた。


「かもね」


 悪戯(いたずら)っぽくニヤリと彼女は笑った。

その表情が何処か大人びていて、惹かれる物があった。

風に吹かれて彼女の長髪が靡いていた。

 その風に合わせて、少し彼女は身震いした。

そして一言、空を見上げながらぽつりと彼女は呟いた。


「―――君の名前は?」



------------------------



 眩しい光で目が覚める。

日光…もう夜が明けたのか………?

朧げな意識が覚醒するにつれ、異常に気付く。


「あれ…、生きてる」


 俺は咄嗟に自身の右腕を確認する。

―――ちゃんとある。

ぐーぱーぐーぱー。うん、機能性も問題はない。

苦痛に悶えていた痛覚も無くなっている。

 あれは悪夢だったのだろうか?

 辺りを見回してみるが、やはり瓦礫の山と連なるビルしかない。一つ昨日と違う事といえば…

鉄が錆びた様な匂いと、辺り一面に何箇所も大きな血溜まりが出来ていることだ。

その血は俺自身のものだと察した。


「…夢じゃ…なかったんだ…」


 そう確信した瞬間―――脳に声が響いた。


『あ、やっと目を覚ました?』


気楽に声の主はそう言う。女性の声質…な気がする。


「えっ、あえ?」


驚きのあまり、気の抜けた声が出てしまった。

 俺は至極当然の疑問を声の主に問う。


「誰…でしょうか?」


『うーん、取り敢えず、名前を訊く前に君が名乗るのが筋じゃない?』


まぁ、それもそうか…。


「“永瀬(ながせ) 千剣破(ちはや)”です」


『変な名前だね』


素直に答えたというのに…。確かに顔に似合わない名前だと小学生の頃はよく揶揄われたが。

どうやら、俺に話しかけている人物は相当捻くれた奴らしい。


『失礼な。性格が良いと自負するつもりは無いけど、そこまで捻くれてないよ。まぁ…名前のことについては申し訳ないけど…』


 あ、普通に思考読めるんですか…。

わざわざ何も無い所に話しかけていたのが、まるで馬鹿みたいだ。

 それに、もう脳に語りかけてくるこの状況にも慣れてしまった自分が怖い。未開の地を探検したり、

腕を食われたり色々あったからなぁ…。

 そもそも何で腕が健在なのだろう。確かに食べられた筈なのに…。


『まぁそれについても説明するよ。まずは自己紹介。私は“カガミ”。人間からすれば怪物(かいぶつ)さ』


 怪物…?カガミ…?

そもそも論、どうやって俺に話しかけているんだ?


『簡単な話さ、私は君の中にいるからね』


「え?」


待て待て待て。今俺の中には、怪物が居るってことか…?ちょっとワケが分からないんだが…。

 怪物って言うのもよく分からないし…。昨日俺の腕を食った奴の仲間って事か?


『まぁ、そりゃあ混乱するか。一旦全部説明するから、落ち着いて』


 あっハイ。


『まずはこの世界について。君は異界の人間だろ?今の世界じゃ珍しいからね。一目見たら分かったよ。此処は“廃都市部(はいとしぶ)”だ。唯の人間じゃ、とても生きていけない場所』


その名の通り、この地は廃れた都市って事か。

 うーん。どうやら俺は、俺のいた世界とは別の、

“異世界”とやらに来てしまったようだ。


『次に、君の腕の件。そして、私が君の中にいる事にも関係あるかな。君の腕は、私が生やした』


 生やした―――って。そんなことが可能なのかよ。

まるで生物を超越した存在みたいだ…。(にわか)には信じられない………。


『可能だね。といっても君が考えるほど私は万能じゃない。私だって生きてるし、死ぬときは死ぬ』


 生きては…いるんだな。


『話を戻そう。君の腕を喰い千切った者の正体は、狼魔族(ヴォーグ)。簡単に言えば、夜行性の(けもの)さ。食事が無くても数十年は生きていられる。まぁ喰ってない分だけ、凶暴なんだけど』


 成程。通りで、その狼魔族(ヴォーグ)とやらがこんな何も無い場所でも生きていけるワケだ。

 一息吐く間があって、彼女はまた話し始めた。


『さて、次は私についてだったかな。私はこの世界において“乱舞(らんぶ)”という怪物として認知されているんだ。乱舞という怪物は私含めて、四体居てね。私は世間一般的には、鏡乱舞(きょうらんぶ)と呼ばれている。で、私が君の中にいる理由は簡単に言えば…相互利益を得られると思ったからというワケさ』


相互利益?


『そう、チハヤを生かす代わりに君の体に宿らせて欲しい。お互い、Win-Winだろ?』


 何で俺の体に宿ろうとするんだ?

今聞いた感じだと…えっと、カガミさん?は、怪物と呼ばれるぐらい強い様に思えたけど―――。

今更、体とか必要あるのだろうか?

 少し言い淀んだ後、カガミさんはこう言った。


『実は、恥ずかしい話、大昔に封印されちゃってね。その封印をさっき強引に突破した結果、このザマってワケ。今じゃ、この世に顕現するのも相当エネルギーを消耗するみたいでね。君から生活に支障が出ないぐらいに、養分を貰っているのさ』


 今までの話もどのくらい信用できるかは分からないが…。まぁ嘘を付いている気はしない。

 まだ疑問点はいくつかある様な気もするが、取り敢えずは移動しなければならないだろう。

 あの獣は夜行性という事なので、夜までにこの廃都市部とやらを抜け出したい。

 それに、あまり同じ場所に居ては、また狼魔族(ヴォーグ)か何かに狙われる気もするし。


『今は動くのが得策だろうね』


 そして―――昨日とは違い、今回は頼れそうな奴も付いているのだ。どうにかなるだろう。

俺は果てしなき道を、目的地も定めぬまま歩み始めた。

 そんな中、一つの思いが頭を()ぎる。

昨日から何も食べていないせいか、お腹が減ったな、と。

はいどうも、ニシキです。


今回は完全に設定解説回ですね。

多分、このあたりはまだ投稿スピード早めですね。

やはりある程度書かないと魅力が伝わらないので。

ところで、場面転換の線についてなんですけど、

正直どれ使えばいいのかよくわかりませんでしたね。

取り敢えず基本ぽそうなヤツで区切りましたが、

後々もしかしたら変更するかもしれません。


次の更新も早めにするつもりなのでぜひ楽しみにしておいてください!

批評•指摘もぜひぜひお待ちしております。

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