モンスター討伐と宿屋での出会い
「えーっと…ここが東の草原か…」
暖かい風が吹いている気持ちの良い草原だ。
「しかし…こんなところにモンスターが居るなんて…。まあ、スライムだし…大丈夫だろう…」
装備の弓を確認しながら辺りを探索する…と
「お?アレか?ここから狙えるかな…」
弓を構えてみると、照準器が目の前に現れる
「うお!?勝手に照準が…ここからだと狙えないってことか…もっと近づくか…」
そろりと近づき…
「ここならどうだ?お、照準が合ってる…そりゃ。」
ヒュンと矢が飛んで行き、スライムらしき生き物に当たる
「よし、命中!」
当たったことを確認し、傍まで行くと…
「おお、溶けたスライムに…コレが核か?それに…なんだコレ…」
白色に輝く小さい石を拾う。
「くそ…鑑定スキルも無いから何か分からねえ…。まあ、いいや。このモンスターがスライムだろうし…狩っていくか…」
そうして探索して狩るの繰り返しをし、気づけば太陽が傾きかけていた
「おっと…もうこんな時間か…早く冒険者協会に戻って依頼の完了報告をしないと…」
そうして俺は街に戻り冒険者協会に行く
「すみません。Gランクの依頼を受けたルークですが…」
「あ、ルークさん。お帰りなさい。成果はどうでした?」
「えーっと…コレですよね?」
そう言いながらスライムの核らしきモノをいくつか提出する
「こんなに狩ったんですか?凄いですね。」
「あはは…楽しくてつい…あ、そうだ。あと、コレは何ですか?」
そう言ってスライムの落とした白い石を見せる
「それは魔石ですね。スライムの核と合わせてこちらで買い取り致しましょうか?」
「え?良いんですか?」
「はい。」
「では、お願いします。」
「はーい。では精算しますので少々お待ち下さい。」
数分後…
「お待たせしました。こちらが今回の報酬です。」
「ん?ひぃ、ふぅ…報酬多くないですか?達成報酬は銅貨30枚でしたよね?」
「はい。成功報酬に、残りの核と魔石の買い取り分が上乗せされています。」
「なるほど…」
覚えておこう…追加報酬もあるのか…
「他になにか御用はありますか?」
「いえ、大丈夫です。あ、そうだ…あの…宿はありますか?」
「宿ですか?えーっと新人冒険者から人気なのは、ウチの目の前に道を真っ直ぐ行って右に曲がればありますよ?下弦の月亭って言います。お店のマークに月が描かれているのですぐ分かりますよ。」
「ありがとうございます。行ってみます。」
そうして冒険者協会を出て宿に向かう
「えーっと…ここを曲がって…お、アレか?」
月が描かれた看板を見つける
「ふむ…外装は案外キレイ…安宿じゃないのかな?入ってみよう…すみません。」
「あら。いらっしゃい!」
「あの…ここが下弦の月亭ですか?」
「ああ、そうさ。アンタ新人かい?」
「あ、そうです。ルークと申します。」
ペコリと頭を下げる
「アタシはココの女将のレミーだよ。よろしくね。」
「はい。よろしくお願いします」
「それで?ウチに来たってことは泊まりかい?」
「はい。そうです。」
「ウチは朝、夕の食事が付いて一泊銅貨10枚だよ。」
「食事付きでその値段…格安ですね…」
「赤字覚悟さ。どうする?」
「うーん…」
さて、どうするか…拠点は必要だし、もちろん食事も大切…それがセットになってるんだ。こんな好条件無いだろう…ええい、今日稼いだ分、全部使ってしまえ!
「では、まずは5泊お願いします。」
そう言って銅貨50枚を渡す
「あら?案外泊まってくれるんだね。」
「こんな好条件を見過ごすほど馬鹿じゃないですよ…今日の稼ぎが銅貨50枚だったので、今日の稼ぎ、全額を使います。」
「いいのかい?そんなに使っちまって」
「拠点と食事が手に入るならいくらでも使います。寝床と食事は大切なので。」
「アンタ、随分と大胆なんだねえ…ならオマケしてあげるよ。」
そう言ってレミーさんは銅貨20枚を返してくれる…
「え?なんで…?」
「アンタがド新人だからだよ。明日も同じだけ稼げたら残りをおくれ。今回は銅貨30枚で5泊させてあげるよ。」
「ありがとうございます。」
「それじゃ、食事が出来るまで部屋で休んでおいで。ほら、コレが部屋の鍵だよ。好きな部屋を選びな。」
「ん?鍵1つでどの部屋にも入れるんですか?」
「ん?1つでどの部屋にも入れると鍵代が浮くだろう?」
いかん…コレは防犯意識が皆無だ…まあ安宿だし…コレくらいは許容しよう…んで、自分で防犯してれば良いし…
「あー…そうだった。一番奥の部屋だけはもう人が居るからね。ソレ以外の部屋にしておくれ。」
「あ、はい。」
「客室は2階だよ。それでコッチが食堂ね。」
「了解です。」
「じゃあ、食事が出来たら呼ぶから、それまでゆっくりしておいで。」
「ありがとうございます。」
お礼を言って階段をギシギシと鳴らしながら登る…
「えーっと…奥の部屋はダメだから…この部屋にするか…」
2階の真ん中にあたる場所であろう部屋に決める
カチャカチャ…ガチャ…
「おお…そこそこキレイ…」
部屋は狭いが中々綺麗な部屋だった。
「さてと…どうするかなあ…メシまで時間があるみたいだったし…」
ベッドに腰掛け呟く…
「日本に居た頃だったらメシはコンビニ弁当だったもんなあ…」
ぐぅ~っと腹が鳴る
「あー…腹減ったー…」
そのままゴロンとベッドに横になる
「今日は色々あったから少し疲れたな…あ、そうだ。今のウチにちゃんと財布の中身の確認しとくか。」
ガバっと起き上がり机に財布の中身を出す
「えーっと…銅貨が数十枚に銀貨が3枚…まあ、ココの宿だったら困らないだろう。明日も依頼受けるし…」
とりあえず、1ヶ月は泊まれそうだ。しかし…何か忘れてるような…
「あ、タバコ…。」
そう、コッチの世界に来る前の俺はヤニカスを名乗れるほどの愛煙家だったのだ。
「うーむ…こちらの世界にタバコなんてあるのか?しかし、思い出したら吸いたくなってきた…レミーさんに聞いてみるか。」
思い立ったら即行動。部屋を出てレミーさんに聞く
「あのー…レミーさん…」
「なんだい?食事はもう少しで出来るから待っておくれ。」
「いえ…食事ではなくて…」
「じゃあなんだい?」
「タバコを取り扱ってる店ってありますか?」
「タバコ?あの薬かい?」
薬?あー…コッチでは薬って名目で売られてるのか…俺が居た世界でも昔は薬って名目だったからなあ…
「多分ソレです。」
「なんだい?アンタ体調でも悪いのかい?」
「あー…いえ、昔、愛飲してたので…」
「薬をかい?アンタ変わってるねえ…」
「あはは…それで、どこで買えますか?」
「そりゃ薬屋さ。ここから一番近いのはウチの前の通り沿いさね。真っ直ぐ行けば薬屋があるよ。」
「ありがとうございます。ちょっと行って来ます」
「ああ、行っといで。」
そう言って宿を出て薬屋探しをする。
歩くこと数分…
「あった。ここか…お邪魔しまーす。」
「ん?いらっしゃい!何かお探しかい?」
「えーっとタバコが欲しくて…」
「タバコ?ああ、あるよ。ほれ。」
袋に細かく刻まれたタバコが入っている
「おお…ってコレどうやって吸うんですか?」
まさか、紙に巻いて吸うワケじゃないよな…?こんな中世のヨーロッパみたいな世界で紙巻きなんて予想出来ん…
「ああ、吸うにはコイツを使うんだ。」
店主はそう言ってパイプを取り出す。なるほど、パイプタバコか…口腔喫煙がメインなんだな…そりゃ、依存度は低いし薬として使われるのも納得だ。
「では、ソレとタバコを1袋下さい。」
「んじゃ、銀貨1枚と銅貨50枚だ。」
「ンな…高すぎですよ…もう少し安く…」
「これでもウチは良心的な値段だよ。他の店じゃもっと取られるぞ?」
「そこをなんとか。定期的にタバコ買いに来ますから。ね?」
「定期的に?そりゃ、あんちゃん…どえらい病気なのか?」
「あー…いえ…ただ単にタバコが好きなだけです。」
「こんな煙たいモンが好きだなんて、あんちゃん変わり者だなあ…」
「ねー?お願いしますよー…」
「はあ…分かった。んじゃ銀貨1枚だ。これ以上は無理だぞ?」
「よっしゃ!んじゃソレで。」
ガッツポーズして銀貨1枚を支払う…そう、散財だ…しかし、タバコの為ならば…
「ホントにウチに定期的に来いよ?」
「来ますってば。」
「約束だz…ってえ」
「さよーならー。」
ピューっと店から出て、宿に戻る
「ただいま戻りましたー。」
「おかえり。食事が出来てるよ。」
「お。じゃあ、頂きます。」
「それじゃあ、座って待ってておくれ。」
「はーい」
そうして食堂の端っこに座り料理を待っていると…
「んしょ…よいしょ…」
小さな女の子が料理を運んでくる
「おまたせしました。ごはんです。」
そう言ってお皿をテーブルに乗せていく女の子…
「じー…」
「な…何かな?お嬢さん…」
「じー…」
「う…」
コレはアレか?チップを要求してるのか?
「…。」
黙って財布から銅貨を1枚出して、女の子に渡す。
「ありがとうござます。」
そう言って、トコトコと厨房へ戻って行った…
「アレは反則だろ…。まあいいや、メシだメシ。」
運ばれきたのは、パンとスープ、それに豆?をミートソースっぽいもので煮たもの…?よく分からんが食べてみよう。
「いただきまーす。」
一口食べると
「うま!コレは手が止まらん。この煮豆、パンとの相性良すぎ!」
ガツガツと食べきってしまった…
「ふう…美味かった…」
「良い食べっぷりだったねえ…作った甲斐があるモンだ。」
「レミーさん。美味しかったです。」
「そりゃ良かった。アンタ酒は飲まないのかい?」
「酒?」
「そうさ。エールとかビアーとか。」
「ふむ…お酒か…果物酒とかあります?甘いやつ。」
「あるよ。飲むかい?」
「はい。頂きます。あ、あと火を貸して下さい。」
「火?良いけど何に使うんだい?」
「タバコを吸いたくて…」
「ああ、そういうことかい。それじゃ、持ってくるから待っときな。」
「はい。」
返事をしてすぐにお酒と火の付いたロウソクを持ってくるレミーさん。
「ほら、酒と火だよ。」
「ありがとうござます。」
「おかわりしたい時は声をかけておくれ。」
「はーい。」
そう言って厨房へ戻るレミーさん。
「さて、タバコと酒を楽しむか…」
いそいそと袋からタバコの葉っぱを取り出しパイプにつめてロウソクから火を付ける
「スパスパ…お、付いた。すぅー…はぁー…」
煙を肺腑に染み渡らせると…
「くぅー…コレコレ…。」
くら~っと目眩のような症状が出てくる。俗に言うヤニクラである。この身体ではタバコを吸っていなかったので少しでも強いタバコを吸うとこのような症状が出るのは当然。懐かしさすら感じる。
「んで、お酒っと…ゴク…ゴク…ぷはあ…美味い!」
少し酸味があるがキツ過ぎない。アルコール度数は低めだな…
そうして、1人飲んでいると…
コツコツ…
「ん?女性…?」
食堂に現れた女性を見る
「あー…あの人がもう1人の宿泊客か…しかし…装備は中々…」
その女性はレミーさんと話している…その時…こちらを見る女性…
「う…目が合った…」
即座に視線を逸らすが多分、目が合った。そうして…
コツコツ…
俺の居るテーブルまで来て…
「貴方…新入りなんだって?」
「あー…はい…どうも、ルークと言います。」
「私はマリア。ランクはDランク、ジョブは剣士よ。」
「あ、自分はGランクでジョブは射手です。」
「射手なのね。レア職じゃない。」
「え?そうなんですか?」
「ええ、パーティにもよるけど…魔法でも遠距離攻撃出来るけど、魔法は魔力が尽きたら終わり…だけど、弓を使う射手は矢さえあれば無限に攻撃出来る。だから重宝されるの。魔法使いも魔力を回復させれば魔法は使えるけど、魔力の回復は時間経過か、ポーションしかないの。」
「ふむふむ…」
「それに魔法使いは魔法の詠唱の時は隙だらけになるから…。不意打ちなどの即座の攻撃には弱いの…その分射手は即座に対応できるから余計に重宝されるの。まあ、あとは実績と経験かしら…?強いパーティに入るには実績と経験、実力が必要よ?まだ、貴方はGランクだし…」
「それは分かってるさ。無理もする気ないね。」
「そう…。ねえ、良かったら貴方のステータス見せてくれない?」
「え?ステータスは個人情報だろ?」
「分かったわよ…私も見せるから。ね?」
「んじゃ、先にマリアな?」
「はあ…分かったわよ。オープンステータス。」
フォン。とマリアのステータスが見える
「ふむふむ…身体強化、連撃、攻撃速度上昇…連撃と攻撃速度上昇のコンボは強そうだ。」
「次はルークよ?」
「ああ、オープンステータス。」
「なになに…?クリティカル上昇、連射、矢筒無限、体術レベル5…って貴方ホントにGランクなの?強すぎるわ…」
「誤魔化して何になるんだよ…」
「こんな神スキルに恵まれてたら貴方…即ランクアップするわよ?私なんてすぐに追い越されちゃうかも…」
「何言ってるんだよ…んなワケ…」
「何があるか分からないのが冒険者よ?そうだ、ルーク。私とパーティ組まない?」
「え?良いのか?」
「もちろんよ!こんな射手が居たら私も最高のパフォーマンスが出せそうだし。」
「俺も高ランクの依頼が受けられるし…お互い良いことずくめか…」
「どうかしら?」
「乗った。」
「それじゃ、決まり。明日、冒険者協会で申請しましょ。じゃあ、また明日。」
そうして、マリアは部屋に戻ってしまう。
「俺も部屋に戻るか…レミーさん。ご馳走様。」
そう一声かけて俺も部屋に戻りベッドに寝転がる
「はあ…今日は大変だったけど…パーティか…明日が楽しみだ。」
そう呟いて眠りに落ちるのであった




