怒ると怖いルーク…
「今日も依頼ありますかー?」
「あ、ルークさん。ちょうど良かったです。」
「お?何か依頼でも?」
「はい。ちょうど上弦の月の皆さんに頼みたくて…」
「俺たちに?なんでまた?」
「皆さんの依頼達成率が異常に高いからですよ。」
「そうですか?普通だと思いますが…」
「依頼達成率が8割を超えれば良い方なのに皆さんの達成率は9割以上ですよ?異例です。」
「うーん…依頼を受けたからにはやっぱり達成したいですし…」
「でも、依頼達成のために無理してたり…」
「まあ…たまーにあるかもですね…」
「そんな皆さんを信用して、ここから南に行った村の護衛を頼みたいんです。」
「村の護衛?なんでまたそんなことに?」
「どうやら賊が出るらしくて…村人の皆さんは皆、戦々恐々としてます。それで襲われたときに冒険者である皆さんが居れば対処できるであろうという考えです。」
「なるほど…まあ、人助けになるのなら受けましょう。」
「本当ですか?助かります。ではお願いしますね?」
「はい。」
そうして依頼を受けみんなのところに戻り依頼の説明をする
「賊退治ねえ…」
「賊なんて許せねえ…」
「すぐに行きましょう!」
「待て待て…そんなに急いでどうする。準備はしっかりしてから行くぞ」
「はい。」
それから数日後…
「よし、準備もできたし、向かうか。」
「準備に手間取ったけど、村が襲われてないといいわねー」
「しかし、準備不足で俺たちも道連れってのは嫌だからな…」
「それもそうねえ…。でもせっかく依頼を受けたのに村が全滅してたらそれこそ責任問題よ?」
「まあ、大丈夫だろう…村が襲われたって情報は入ってないからな。」
「ホント、ルークって無慈悲よね…」
「どこがじゃ。俺はパーティの安全を最優先してるの。危険なら尚更だ。」
「でも、そのためなら犠牲もいとわないでしょ?」
「そうだな。」
「ほら、やっぱり冷たい。」
「パーティに関しては温かい人間だろうが。」
「いや…あのルークさん?鬼ですよ?」
「それはお前たちの実力を上げるためにだな…」
「学校でもあんな厳しい訓練しませんよ。」
「そりゃ学校は責任を問われるからな。俺たち冒険者は実力主義だ。実力の無いヤツは生き残れんよ。」
「そこが厳しいですね…」
「お前たちがウチに入りたいって言ったんだぞ?その上給金も出してる文句があるか?」
「いえ…」
「アーサー?アタシたちが不利よ。ルークさんの言ってることが正しいんだから。」
「でも厳しすぎるって…」
「それも私たちが一人前になるためには必要なこと。ですよね?ルークさん。」
「そうだ。どんなに憎まれてもいい。お前たちが夢に向かって走れるならな。」
「ここまで私たちに親身になってくれてるのよ?文句なんて言えないでしょ?」
「はあ…ルークさんには適わないや…」
「これでアタシたちと同じFランクなんだから信じられないわよね。」
「冒険者ってどれだけレベルが高いんだよ…」
「命のやり取りだぞ?いつ死んでもおかしくない業界だ。その中で生き抜くには相当の努力が必要なんだよ。」
「みんな、静かに…何か気配があるわ。」
「ドール。偵察を頼む。」
「ん…任された…」
そうして俺たちの前からドールが姿を消す
「アレ、どうやってるんだろ…」
「さてな。まあ、ドールの偵察待ちだな。ここで待機だ。」
「はい。」
数十分後…
「戻った…」
「おかえりドール。情報は?」
「ん…恐らく賊…多分…目標の賊だと…思う…」
「ちょうどいい。なら狩りの時間だ。」
「場所は?」
「ここから少し行った先の水辺。キャンプを張ってる。」
「不意打ちでもするか…」
「もう、ルーク。情報がまだよ?」
「賊、場所は水辺、他には?」
「大事なのは人数よ。何人くらい?」
「ざっと20は…居た…」
「ウチは…6人か…」
「ん…アウラの魔法で一掃出来る…多分…」
「なら先手は頂こう。行くぞ。」
「おう。」
そうして賊のキャンプに近づく…
「アレか…」
「ん…」
「アウラ、魔法を撃ってくれ。強力なヤツがいい。アウラの魔法攻撃の後は混乱した賊を各個撃破。」
「了解。」
「学生陣は3人で賊に当たれ。いいな?絶対に個人で動くなよ?」
「わかりました」
「よし、じゃあアウラ。先制攻撃だ。撃て。」
「はい。」
アウラの放ったオリジナルファイアボールが賊のキャンプのど真ん中に着弾する
「なんだ!?」
「敵襲だー!」
ぞろぞろと賊が出てくる。
「突撃ぃー!」
マリアが先頭を走り接敵した賊を切り伏せる、それに学生たちも続く
「うおー!どりゃ!」
「ぐえ!」
「はっ!」
「ぐは!」
「よし、アイツらはちゃんと3人で行動してるな。アウラ!混乱してる賊を捕らえる魔法とかあるか?」
「一応あります!」
「よし、じゃあソレう使って賊を捕まえてくれ。俺はマリアたちの援護に回る!」
「はい!」
そうして俺は弓が届く位置からマリア達の後ろを守る。
「射手まで居るのかよ!ぐわ!」
「弓に気をつけろ!」
「弓に気を取られてたらコッチがお留守よ!」
「うわ!」
そうして、戦闘はあっという間に終わってしまった。捕らえた賊から話しを聞くとこの辺りを根城にし、今日も村を襲う予定だったらしい…良かった先に捕まえることが出来て…
「ドール。街から増援を送ってもらうように連絡を取ってくれ賊の搬送はその増援に任せよう。」
「分かった…行ってくる…」
「頼んだ。俺たちはコイツらが脱走しないように見張りだな。」
「はい。」
そうして賊を見張っていると…
「なあ…ちっとションベン行かせてくれないか?」
「ダメに決まってるだろ。そこでしろ。」
「漏らせってのかよ。」
「ああ、貴様らに人権は無い。それともココで死ぬか?」
「ちっ。」
「ふん。図々しいヤツらだ。」
その時1人の賊がエーリに体当たりする
「きゃっ!」
「この野郎!」
「おーっと、待てよ、コイツがどうなっても良いのか?」
エーリの首筋にナイフを当てる賊
「くそ!」
「任せろ…エーリ。動くなよ。そいつの頭ぶち抜いてやるからな。」
そう言って弓を引く…
「ルーク。無茶よ!」
「黙ってろ…アイツは俺が殺す。」
引き絞った弓を放つと賊の右目に命中する
「うが!いてぇ!あああ!」
「喚くな。ウジ虫が。」
倒れて転がってる賊にトドメとして右目に刺さった矢を靴で踏みつけ脳まで貫く。
「やっぱり…コイツら殺すか…」
そう言って1人の賊のノドをナイフで掻き切ると血が首筋から噴出する
「ふはは…賊共が、俺たちに逆らった罰だ。1人残らず殺してさらし首にしてやる」
「ねえ…ルーク…どうしたの?大丈夫?」
「俺は大丈夫だ。マトモだしな。頭もクリアだ。」
「だったら皆殺しなんてやめて。ね?」
「はあ…仕方ねえな…皆殺しはしない、だが…あと1人は殺す。見せしめだ。」
「やめてくれ…もう俺たちは抵抗出来ねえじゃねえか…」
「そうやって命乞いをした村人をお前たちはどうした?どうせ笑いながら殺したんだろ?それと一緒さ。」
「ひぃ…」
「狩る側から狩られる側になった気持ちはどうだ?さぞかし恐ろしいだろうなあ…。よっと。」
1人を蹴飛ばす
「ぐえ!」
「おら!おらぁ!」
ぐしゃぐしゃと何度もソイツの頭を蹴りつけソイツは何度も悲鳴を上げ最終的には声も出せなくなり、痙攣してそのまま果てた。
「いいか?これが見せしめだ。貴様らのような下賤な輩には分からんだろうよ。ああ、恨んでくれて構わない。次会った時に殺してやるよ。」
そう言って少ししたらドールが増援を連れてきた。
「あんたらコイツらに何をしたんだ?こんなに大人しい賊は初めてだ。」
「恐怖を植え付けただけだ。さっさとそのゴミを連れて行ってくれ。」
「アンタは?」
「Fランク冒険者ルークだ。」
「Fランクでこんなことが出来るのかよ…アンタ、イカレてるぜ。」
「誉め言葉として受け取っておくよ。」
「じゃあな。」
「しっかり運べよ。」
そうして皆を見ると…
「ルークって怒るとあんなに怖くなるのね…怒らせないようにしないと…」
「そうですね…」
「超絶怖かったぜ…」
「賊くらいにはちょうどいいくらいだ。人から獣に堕ちたヤツらなんてあの程度で十分だろ?あれでも優しい方だ。」
「アレで優しいのかよ…」
「そ、そういえばルーク?依頼はどうするの?」
「あー…一応村に行って説明しよう。」
そうして、村に行き説明をしてから、俺たちは街に戻り冒険者協会に依頼達成の報告をする。
「なるほど…それでこんなに早く戻ってきたのですね?」
「そういうこと。信じられないなら街の警備兵に話しを聞くといいよ。」
「いえ、もう噂になってますから。十分です。ではこちらが今回の報酬になります。」
ドサっとそこそこ大きな革袋が置かれる
「あの…報酬ってこんなに?」
「はい。賊の中には指名手配中の人物も居たのでその報酬も上乗せされてます。」
「はあ…しかし、こんなに…」
「受け取ってください。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「お疲れ様でした。」
そうして報酬をもらいみんなの元へ戻ると…
「こんなに貰ったの?」
「ああ、今回は学生陣に危険手当として日当の銅貨20枚」に上乗せして銅貨50枚を渡す。異論は無いな?」
「もちろん。」
「じゃあ、決定だ。ほら早く戻って分け前を渡すぞ。」
「よっしゃあ!」
「やったー!」
「早く帰りましょう。」
そうして俺たちは意気揚々と拠点に帰るのであった




