表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】妄想オナニー女子  作者: 泉水遊馬
エピローグ 水沢しずく 実はここからが本編
79/80

水沢しずく10

列がゆっくり進み、しずくはつぼみの前に立った。

書店のサイン会会場は、ファンの熱気とざわめきで満ちていた。

つぼみは、テレビで見るような輝く笑顔でしずくを迎えた。

彼女の目は穏やかで、幻影の冷たい影とは別人のようだった。

しずくの心臓はまだ高鳴っていたが、予想していた恐怖は湧かなかった。

彼女はフォトブックを差し出し、つぼみの笑顔を見つめた。

「こんにちは! 名前、教えてくれる?」。

つぼみの声は明るく、会場のにぎわいに溶け込んだ。

しずくは小さく息を吸い、答えた。

「しずく…です。」

彼女の声はかすかに震えたが、落ち着いていた。

つぼみは微笑み、ペンを手にフォトブックを開いた。

「しずくさん、いい名前だね。来てくれてありがとう!」。

その言葉に、しずくの心は意外なほど静かだった。

3日間の闇で彼女を縛った幻影の声は聞こえず、冷たい笑顔も現れなかった。

しずくは、自分の強さに驚いた。

治療で築いた自信、彩花やあかねの支えが、彼女をここまで導いた。

つぼみの手がペンを動かし、サインが紙に刻まれた。

会場のにぎわいが、しずくを普通の世界に引き戻した。

彼女は、初めて過去を越えた実感を得た。

つぼみの笑顔は、大学時代の先輩を思い起こさせた。

愛らしい表情、可愛い笑顔。


しずくは、幻影が自分の心の産物だったと気づいた。

「ありがとう…」

しずくは小さく呟き、フォトブックを受け取った。

つぼみはさらに明るく微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ