しずくの変化…もしくは覚醒
その日しずくは二日前にAmazonで注文したある物を待っていた。
しきりに配送状況を確認し、すぐ近くの配送拠点を出発していることに笑顔になる。
今日は仕事は昨日までに済ませた。
ただ注文した品が到着するのを待つだけだ。
ただ時間が過ぎる。
少しイラつくしずく。
するとそのイラつきが、ざわつきに変わり、股間を刺激する。
脳より先に体がうずき、そのあと思考が快楽に取りつかれる。
しかし、しずくはそれをグッと堪えた。
それは夜になってからだ。
そうやって必死に自分を制御していた。
そして、昼前にそれが届く。
大きな段ボールを開けると、お待ちかねの品物がびっしり詰まっていた。
それを丁寧に取り出し、作業に入る。
ベッドルームを覆う防音板。
部屋の大きさをしっかり計って注文した。
しずくの得意分野だ。
もっと卑猥な言葉を声を出して、もっと大きな声の恋人のさえずりを聞きたい。
もうこの部屋は恋人との二人だけの空間である。
しずくの中で、闇が広がる。
その闇は妄想などではない。
しずくの妄想は、進化して覚醒していた。
もう、しずくは後戻りはできない、究極の快楽を求める悪魔に取りつかれてしまったのである。




