本郷愛1
しずくの指が、キーボードの上で静止した。午後8時45分、モニターに映るコードの行間は、彼女の疲労を映し出す。
在宅プログラマーとしての仕事は、昼間のしずくを無機質な世界に閉じ込める。
Slackの通知音が、時折、部屋の静寂を破る。「確認お願いします」「納期は明日正午です」――感情を欠いたメッセージが画面を流れ、しずくの存在を誰も顧みない。
「私は、ここにいるのに…」
囁き声が、部屋の静寂に溶ける。窓の外、街灯の青白い光がカーテンの隙間から差し込み、彼女の色白の肌を照らす。東京の夜は、しずくの孤独を静かに包み込む。
昼間のしずくは、誰にも必要とされない存在だ。クライアントとのチャット、コードのデバッグ、納期のプレッシャー。
すべてが、彼女の心をすり減らす。昨夜の石川澪との夜が、脳裏にちらつく。鏡の前での3度の絶頂、澪の清純な微笑み、「君は私のもの…」という囁き――あの夜は、しずくの「愛されない」信念に深いひびを入れた。
「澪…君は、私を見てくれた…」
声が震え、彼女の目は、モニターの光に吸い寄せられる。だが、昼間のしずくには、そんな希望も遠い。澪の微笑みは、夜の闇にしか現れない。
彼女は、椅子の背もたれに体を預け、大きく息を吐く。
肩の凝りが、疲れの重さを物語る。高校時代の初恋が、ふと心に浮かぶ。図書室の静寂の中、先輩の栗色の髪が夕陽に輝いていた。
しずくは、モニターを閉じ、立ち上がる。部屋の空気が、彼女の疲れを包む。
彼女は、キッチンに向かい、冷蔵庫からハーブティーのボトルを取り出す。
冷たいガラスが、手に冷たく触れる。
「今夜は、誰と…？」
囁き声が、部屋に溶ける。
彼女の心は、夜の解放を求めている。
あや花、澪との夜は、しずくに希望を灯したが、彼女の変態的な欲望は、さらに深い繋がりを求める。
彼女は、ベッドの端に腰を下ろし、タブレットを手に取る。
FANZAのアイコンが、画面に光る。
「今夜は、別の君に会いたい…」
声が震え、彼女の指が、アイコンをタップする。
FANZAのサイトが、しずくの前に広がる。
色とりどりのサムネイルが、彼女の心をざわつかせる。
「今夜は、どんな夜になるんだろう…」
囁き声が、部屋に響く。彼女の指は、検索バーをタップし、「本郷愛」と打ち込む。
愛の名前は、しずくの心に温かな波を起こす。
彼女の愛らしい母性と情熱的な魅力は、しずくの疲れた心を癒す鍵だ。
「愛…君は、私をどうしてくれる…？」 声が震え、彼女の目は、画面に吸い寄せられる。
FANZAの画面に、愛の動画が並ぶ。「優しい抱擁」「情熱の夜」「母なる微笑み」――タイトルが、しずくの心を掻き乱す。
彼女の目は、サムネイルに映る愛の姿に釘付けになる。柔らかな白いセーターに身を包む愛、汗で光る頬、温かな瞳――すべてが、しずくの心を揺さぶる。「愛…君は、私を見てくれる…？」囁き声が、部屋の静寂に溶ける。彼女の指は、「優しい抱擁」をタップする。
動画の説明文が、しずくの心をさらに高鳴らせる。「本郷愛が、温かな抱擁であなたを包む。彼女の母性と情熱が、あなたの心を癒し、燃やす…」
しずくは、部屋の照明を落とし、カモミールのアロマキャンドルを灯す。甘やかな香りが、部屋を漂う。スピーカーから、ジャズの低音が流れ始める。サックスフォンのしっとりした音色が、しずくの鼓動と共鳴する。
彼女は、ベッドの端に置かれた全身鏡を調整し、自分の姿が映るようにする。黒髪のボブ、疲れた瞳、色白の肌――昼間のしずくは、そこにいる。
だが、夜のしずくは、もうすぐ現れる。
「愛…君と、どんな夜になるんだろう…」
囁き声が、部屋に響く。
彼女は、タブレットを手に、ベッドに腰を下ろす。動画の再生ボタンを押す瞬間、しずくの心が震える。
愛の声が、スピーカーから流れ出す。
「ねえ…私のこと、ちゃんと見ててね…」
その温かく包み込むような囁きが、しずくの心を突き刺す。画面に映る愛は、窓辺に立ち、柔らかなセーターをそっと脱ぐ。
汗で光る首筋、愛らしい微笑み――すべてが、しずくの心を掻き乱す。
「愛…君は、私を見てくれる…」
声が震え、彼女の指は、キャミソールの裾をそっと握る。
妄想の中で、愛がベッドのそばに立ち、しずくの頬を撫でる。
「君は私のもの…」
その囁きが、しずくの心を温める。
