二十一階層、森と巨大な脅威
第5章:二十一階層、森と巨大な脅威
悠が二十階層の平原を抜け、次の階層へと足を踏み入れると、そこには鬱蒼とした森が広がっていた。生い茂る木々が視界を遮り、鳥の鳴き声や葉のざわめきが辺りを包み込む。
「森か……平原よりも魔物にとっては隠れやすい環境だな。気をつけないと。」
彼は慎重に森の中を進み始めた。しかし、森は不気味なまでに静かだった。
突然の襲撃
悠が進んでいくと、突然、背後から激しい風圧とともに大地を揺るがすような足音が響いた。振り返った瞬間、彼は圧倒的な存在感に息を呑んだ。
そこには、巨大な熊のような魔物が立ちはだかっていた。その体躯は悠の何倍もあり、全身を覆う黒い毛皮にはところどころ光る緑色の模様が刻まれている。その瞳は鋭く輝き、悠を睨みつけていた。
「フォレストベア」
•レベル: 25
•攻撃力: 35
•防御力: 30
•スキル: 大地震撃、再生能力
「これまでの魔物とは次元が違う……!」
悠はすぐに短剣を構え、『獣の脚力』を発動して距離を取った。しかし、フォレストベアの動きはその巨体からは想像もつかないほど素早かった。悠が避けようとした瞬間、熊の巨大な腕が振り下ろされ、大地が大きく揺れた。
「くっ……!」
辛うじて直撃は避けたものの、衝撃で吹き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられる。
「やばい……これ、まともに戦ったら勝てない。」
悠はすぐに立ち上がり、再び距離を取ろうとするが、フォレストベアはその再生能力で傷を瞬時に癒し、悠の動きを見切るように攻撃を仕掛けてくる。
初めての敗北
「どうすれば……!」
必死に戦うものの、悠の攻撃はフォレストベアの分厚い毛皮に阻まれ、ほとんど効果がない。一方で、熊の一撃は悠の体力を容赦なく削っていく。
最後の一撃を避け損ねた悠は、フォレストベアの強烈な一撃を受け、吹き飛ばされて地面に倒れ込んだ。
「……こんなところで終わるのか……」
意識が遠のきかけたその時、手の甲の紋章がかすかに光り、卵の声が響いた。
「まだ終わっていません。力を得るのです。」
悠はその声に奮い立たされ、最後の力を振り絞ってその場から撤退した。
力を得るための戦い
森を抜けて安全な場所にたどり着いた悠は、改めてフォレストベアとの戦いを振り返った。
「勝てる相手じゃない……いや、今のままじゃ、だ。」
彼はこれまで戦った魔物たちのスキルや特徴を思い出し、それらを徹底的に習得することを決意する。
「全ての魔物からスキルを手に入れれば、きっと勝てる……!」
それからの日々、悠はこれまでの階層に戻り、次々と魔物に挑んだ。
•ダークバットからは『暗視』を獲得。
•ポイズンスパイダーからは『毒耐性(中)』と『蜘蛛糸生成』を獲得。
•フロストゴーレムからは『氷耐性』と『氷結の拳』を獲得。
•シャドウウルフからは『影移動』を獲得。
•サンダースタッグからは『電撃強化』を獲得。
さらに、ダンジョン内の隠されたエリアを探索し、新たな魔物とも戦った。その中で、彼は『再生能力(小)』や『反射の盾』といった貴重なスキルも手に入れることができた。
準備を整えて
数週間にも及ぶ訓練と戦いの末、悠のステータスは大きく向上していた。
•体力: 大幅上昇
•攻撃力: 上昇
•防御力: 上昇
•スキル数: 15以上
「これだけの力があれば……次こそは、勝てる!」
悠は森の奥深くへと再び足を踏み入れ、フォレストベアとの決着をつけるべく、前進を開始した。